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2017年4月13〜18日「メッキの星」浮世企画

浮世企画『メッキの星』
遅まきながら浮世企画『メッキの星』終演いたしました。ありがとうございました! 

面白い作品に出られたことが本当に嬉しくて楽しくて、千秋楽の寂しさとプレッシャーがかつてなく、私まだまだ演劇に慣れてない! と思いました。修行足りなくな~い? と数日ションボリしました。 なんでこんなに『メッキの星』を好きだったのか、終わってからボエーと考え続けていたのですが、作中の「馬鹿だとは思ってるけど馬鹿にはしてない」 という台詞が全てだな、と思い至りました。 今城文恵さんの書く作品って、まさにそうだな、と。登場人物はみんな駄目な奴なんだけど、でも現世に生きる私たちもみんな駄目な奴じゃないですか。

 「あるある~」な人たちを誇張して描いたものをみて、そんな人たちを小馬鹿にして笑う、みたいなことが年々できなくなってる自分がいまして、それは歳をとって自分の駄目さから目を背けられなくなったからでもあるんですけど、そんな私にも浮世企画の作品は優しい。それは今城さんの「馬鹿だとは思ってるけど馬鹿にはしてない」っていうスタンスのおかげなんじゃないかな、と。劇中の誰1人として、雑なジャッジを受けてないですからね。ジャッジしちゃうのは簡単だけど、浮世企画の作品はそれをしない。なので演じる方も毎回バランスをとるのが実は難しかったです。カリカチュアに走れば楽だが、そうすると今城さんの描きたいものがこぼれてっちゃう。 つくづく、今城さんは人間が好きで、演劇をやってる人なのだなあと思う『メッキの星』でした。

 そして、ずっとずっと私が観たかったシーンが観られたのも嬉しかった。主人公の美子さんが、勢いセックスでなんとか今夜のやるせなさを埋めようとゲイの大ちゃんに「お願い!」っていうところ。馬鹿で滑稽で笑いながら胸が痛んで泣いちゃう、最高のシーンでした。童貞男子がセックスしたくてジタバタするのを面白がるコメディは数多あるのに、女性のリビドーのどうしようもない馬鹿さを、下品にならず、誠実に描いたものって、特に日本には
なかなかないから、嬉しく楽しく観ていました。鈴木アメリちゃんはやはり稀代のコメディエンヌなんだと思う。笑わせながら人を泣かせるなんて、チャップリンかよと思うよ。

共演者のみんなも面白い人ばっかりだったし、スタッフ陣もめちゃくちゃ頼もしくて、わたしゃ幸せでした。終わってすぐ別現場の稽古だったのでなかなか振り返れなかったけど、いやはや、なんか別の人生を一回やってきたみたいな、不思議な感覚がありますよ。そんな『メッキの星』はソフト化されませんので、また観たい、観てみたかった、そんなお気持ちの方は、私と一緒に再演キボンヌと唱え続けましょう。でも今城さんの新作も観たいですもんね。再演と新作、どっちもキボンヌと唱え続けましょう。

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*追記*2020/9/17

思春期の女の子の明るいリビドートーク、『ブックスマート』がやってくれました! こういう、自分たち主体の青春コメディ、自分ごととしてやっと観られてうれしい。

日記が好きなので書き続けているわけですが、読んで、面白がっていただけたら、それほど嬉しいことはありません。いつもありがとうございます。