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コンフォートゾーンの外に出る

今週末は、プロジェクトでイタリアのフィレンツの郊外にあるダイナモキャンプ(Dynamo Camp)という、美しく素晴らしいリクリエーションテラピー施設に滞在し、子供たちと一緒に遊んできました。

ダイナモキャンプとは?

深刻な病気を持つ子供たちが、”子供に戻る”ための場所です。真の治療法は、笑顔になることです。笑いと楽しさが薬になります。ダイナモキャンプは、重症で慢性的な病状を抱える6歳〜17歳の子供を対象にした、リクリエーションテラピーがベースとなってつくられたホリデー施設で、なんと無料で滞在をすることができます。多くの企業のドネーションで2007 年にイタリアで設立され、多くの子供たちがここでホリデーを楽しみます。


子供たちだけで過ごす夜

キャンプ場のキャビンは3部屋が繋がっている不思議な設計。それは、①子供たちだけの部屋、②ボランティアスタッフだけの部屋、③家族の部屋。3つの部屋はガラスで仕切られ、カーテンロールで通常は見えなくなってますが、何かあればいつでも駆けつけられる体制になっています。そして、ドクターやナースも24時間体制でキャンプ場にいます。子供たちは、時に病気の辛さや苦しさを分かち合い、そして、夜中までおしゃべりしたりはしゃいだり、子供たちだけで過ごすという貴重な経験をします。

子供たちの病気で閉ざされた扉を開けるための冒険的なアクティビティ

プール、乗馬、アーチェリー、ロッククライミングなど、様々なアクティビティがあります。私がもっとも驚いたのは、車椅子の子供たちがロッククライミングに挑戦をしていることでした。大人2人が支えながら一緒に登り、下で3人の大人がロープで支え、大勢の声援と共に、ゆっくりだけど、一歩一歩進んでいきます。上まで到達した時の子供たちの満面な笑顔。下で見ているご両親の涙ぐむ姿。スタッフやボランティアの方々の「ブラボー!」という声援と笑顔。ダイナモキャンプは、言葉では言い表せないくらい深い優しさとエネルギーが満ち溢れている、そんな素晴らしい空間でした。

人生のほとんどの時間を病院で過ごしている子供たち。慢性的な痛みや恐怖。病気による仲間や社会との関わりの断絶。そしてその結果、子供の頃の喜びを経験することができていません。だからこそ、グループアクティビティを通じて仲間と笑いあったり、チャレンジすることの楽しさや勇気を手に入れることが彼らにとっては貴重な経験となり、それが病気を治すための薬にもなるのです。

スタッフの方は「ここは不可能を可能に変える魔法の場所。ここでは、できないことは何一つなく、全てのことは可能なんだ。病気や障害ではなく、子供たちのスキルに焦点をあて、リスクを冒しチャレンジし、成功を体験してもらう。それが子供たちの自信へと繋がっていく。」のだとおっしゃっていました。

アクティビティを始めるとき、スタッフとボランティアと子供たちは手を繋ぎ輪になりながら、子供たちに向かってこういっていました。「この輪の中は君たちのコンフォートゾーンだ。もちろんこの中にずっと居てもいい。でもこの輪の外には、楽しく驚きにみちた新しい世界がある。自分自身をどこまでプッシュするのかはあなた次第。あなたはなんでもできるんだ。あなたは、この輪の内側にずっと居たいか?」

美しく、エネルギーに溢れたこの場所で、

なんだか私自身も勇気づけられたような気がします。

明日からは、インクルーシブデザイン、ソーシャルイノベーションをテーマにした、このダイナモキャンプの戦略デザインプロジェクトが始まります。チームメンバーとどんな創造的な提案ができるか楽しみです!

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