惟式(身式であり武式)による基礎的な理論

根本原理の解明

力。

力とは何か。

力とは、物事が変化する原因となるものを指す。

変化とは何か。

ある状態や性質などが他の状態や性質に変わること。

では解字から紐解く変の意味とは。化の意味とは。

変とは旧字では變と書く。

變の解字は会意。䜌レンは「絲+言」の会意文字で、乱れた糸を解こうとしても解けないさま。

変にもつれた意を含み、乱と同系のことば。變ヘンは、「䜌(もつれる)+攴(動詞の記号)」で、不安定にもつれてかわりやすいこと。

化は金文の左は倒れた人、右は座った人。篆文テンブンの左は正常に立った人、右は、妙なポーズに体位をかえた人。いずれも両者をあわせて、姿をかえることを示した会意文字。

ということを素直に姿勢として思考すると変化するには不安定にもつれるように姿勢を変えれば、物事が変化する原因となるもの、つまり力が生まれる。

この時に大切なことは不安定であること。

不安定とは安定していないということで、安定とは激しい変化がなく、物事が落ち着いた状態にあること。

不安定とは安定しないこと。状態が一定していないことで、ではなぜ安定しないのかといえば激しい変化があり、物事が落ち着いた状態にないから。

つまり物事が変化する原因となる力が生まれるには激しい変化で物事を落ち着いた状態にしないことが必要になる。

ということは力である物事が変化する原因を生み出す為には、激しい変化で落ち着いた状態でない姿勢が必要になることは分かるだろう。

実は根本であるこの変化の原理を理解しないと本質的な合気や発勁の原理は理解出来ない。

原理を理解出来ないならその原理を用いた身体操作も出来るようにはならない。

根本的に合気にしても発勁にしても原理は不安定の中の安定と安定の中の不安定の変化に過ぎない。

なぜ合気や発勁が不可能なのか。

その理由は本質的には単純で、自分の体重を自分の両足で支えるからに過ぎない。

故に惟式では片脚で立つことを重んじる。まずは片脚で立って身体を振ることに慣れないと、自分の体重を相手に預けることで相手の重心をずらし姿勢を崩す技術を身につけることは不可能。

分かり易い力を正の力とするなら、合気や発勁で用いる力は分かり難い力で、負の力と言えるだろう。

分かり易い力が押す力で、分かり難い力は引く力。

表の力と裏の力は繋がっている。押す力が表の力なら引く力は、裏の力。引く力が表の力なら押す力が裏の力。

押す力と引く力の相反する力を合わせると反発しあう力が生まれる。

まずは反発しあう力で始めの力、つまり物事が変化する原因を生み出せなくては神技と呼べるような技術は成り立たない。

自分の体重に自分が振り回されているようでは、とても勢と呼ばれるものは生み出せない。

惟式で用いる力は勢。なので勢が生み出せないと動くことも出来ない。

次は惟式にとっての動きとは何かを解明する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?