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ブラックコーヒーと私

お洒落なカフェの窓際で、ブラックコーヒーを飲みながら本を開く。本の内容は頭に入ってきてない。もう何度も何度も同じページを見てる。だけどそれで良かった。だって私が好きなのは本じゃない。

ブラックコーヒーは苦い。とても苦い。正直に言うと美味しくない。でも毎回このカフェの窓際で、ブラックコーヒーを飲んでる。このカフェのブラックコーヒーが特別なんじゃなくて、カフェにいる私が特別なの。カフェの窓際で、ブラックコーヒーを飲みながら、本を読んでる私が特別なの。そのために毎週このカフェに来てる。
お洒落なことをしてる私でいられるこの時間が好き。このカフェでブラックコーヒーを飲んでいる私が好き。この私はお洒落で大人っぽい。


本当の私はお洒落じゃない。ブラックコーヒーよりもお砂糖たっぷりのミルクティーが好きだし、なんならメロンソーダが1番好き。でも、メロンソーダが好きな私は特別じゃない。だからブラックコーヒーを飲むの。ブラックコーヒーを飲んでいる私が好きだから。私を好きでいられる時間が好きだから。


お洒落なカフェの窓際で、ブラックコーヒーを飲みながら本を開く。本の内容は頭に入ってきてない。もう何度も何度も同じページを見てる。だけどそれで良かった。私が好きなのは、この場所にいる特別な私だから。


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