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ゆいにしおの『mid-20s的生活』- #1 mid-20sと結婚事情 -

ストッキングを脱ぎ散らかして、華やかに飾られた髪はそのままにソファーに横たわる。美味しいご飯と幸せムードにあおられて、少し飲みすぎちゃったみたい。
ドレスに包まれほほえむ友人の写真をアルバムにまとめながら、700mlのペットボトルをがぶ飲みする。



今日は友人の結婚式だった。
我々mid-20sの恒例イベントといえば、友達の結婚式である。みんなタイミングを示し合わせてたのではと思うほど、ポンポンと結婚していった。驚くほどに。
毎日が「結婚するって本当ですか」状態である。


友達の結婚式に行った帰り道や寝る前は、自分だったらどんな結婚式にしたいかというイメージが、ぐるぐる頭の中を駆け巡る。
やっぱりご飯は美味しいものがいいとか、乾杯の挨拶は絶対あの人にやってもらいたいとか、このタイミングでこの曲を流してほしいとか。(余談だが私はnever young beachの「明るい未来」で登場したい。)

だけど、詳細な段取りやヘアメイク、ドレスに至るまですべてが理想の結婚式を思い描けるのに、肝心な新郎の顔だけが1ミリも思い浮かばない。
挙げ句の果てに我々は「普通の人でいい」とかなんとか抜かしだす始末。
「普通の人」を探し、さらに結ばれるのは大変なことである。なぜなら「普通の人」というのは存在しないからだ。

考えれば考えるほど、「結婚とはなにか」のアマゾンの奥地から帰って来られなくなるばかり。


お母さんは、「こういう(結婚して子供を授かる)人生は良かった」と言っていた。もうすぐお母さんが結婚した年齢に近付いている。
今のところ、お母さんが選ばなかった方の道をのしのし歩いている。
一旦今は、独身のmid-20sを謳歌するとしたい。

※OKMusicにて連載していたものに加筆・修正を加えています。


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