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ダルビッシュ投手の言葉「自分には価値がない」の「価値」の意味

ダルビッシュ有投手は自身のことを「自分には価値がない」と繰り返し仰っている。私はこの考えが好きだ。できるだけ「自分には価値がない」と思って生きたいと思っている。実際にそう生きるのは、想像以上に難しいのだけど・・・

「価値がある人なのかそうじゃないのか僕の中ではすごく大きかったんですけど、価値があると思っていた自分がそうではなかったと気づいたときに、例えば野球をしているときも、色んな周りの方がサポートしてくださっていることも当たり前じゃないというのが本当に深い所から理解できる訳じゃないですか」

YouTube動画(5分22秒)
「【遂に登場!!】ダルビッシュ有が見た「大谷翔平」と「佐々木朗希」の可能性とダルビッシュの”人間力”」
チャンネル名:高木 豊 Takagi Yutaka

勿論、ダルビッシュ投手は野球選手として価値があるのは間違いない。野球を少しでも知っている人は皆そう思うはず。となると「価値がない」とは、野球選手として、ではない。

それに、ダルビッシュ投手は「自分に価値がない」と言いながら、その口調は淀みなく真っ直ぐだ。謙遜しているわけでも自身を卑下しているわけでもないと思う。

ダルビッシュ投手の言葉は、私が聞いてきた仏教(浄土真宗)の話と、通ずるものがあるなと感じた。
私たちは、成績や業績、フォロワー数や人からの評価に悩み、ときに自分や他者を傷つける。しかし、仏様からすると、いくら野球が上手くても成績が良くても仕事ができても全く関係なく=「価値がない」であって、皆同じかけがえのない仏の子なのだ。

ダルビッシュ投手はこんなことも言っていた。

「野球なので、そんなの気にしていても仕方ないですし、人生の方が大事ですから。野球ぐらいで落ち込む必要はないと思いますし、休みもあると思うので、野球以外のところ、楽しいことをしたり、おいしいご飯食べたりしてリラックスしてほしいなと思います」

ダルビッシュ有「人生の方が大事ですから、野球ぐらいで落ち込む必要はない」 不振の選手へ助言
3/13(月) 日テレニュース

この言葉について、侍ジャパンの若いメンバーのプレッシャーを軽くするために言ったのだろうという意見が飛び交っていたが、私は誰かを気遣った言葉ではなく心からそう思って言った言葉だと思う。ダルビッシュ聖子さんの兄・山本KID徳郁さんの死や、弟ダルビッシュ健太さんの闘病など、「命」に触れてきたからなのだと想像する。

ただそこに生きていることの重さ=「本来の価値」を感じているダルビッシュ投手からすると、野球が上手くても下手でも「本来の価値というのは生まれたときから変わらない」のだろう。

――ダルビッシュが合宿に参加してメジャーリーガーがリスペクトされているのを感じた。日本の選手がもっとリスペクトされるのは何は必要?
 「誰にリスペクトされるためですか?(ファンに)うーん、自分が特別だと思わないところじゃないですか。そこはやっぱりファンの方々も僕らも基本的には同じなので。確かに自分たちとしてはいろいろ写真撮影とか、サイン下さいとか言ってもらえますけど、その価値というのは勝手に周りがつくってくださっているもので、本来の価値というのは生まれたときから変わらないわけじゃないですか、そこに惑わされないで、自分の言動に関してはきをつけるということかなと思いますけど」

【侍ジャパン】ダルビッシュ一問一答 「体がでかい」と驚いた打者 カーショー辞退、チーム見て感じること
2023年2月21日 スポニチ

WBCでダルビッシュ投手が登板した準々決勝のイタリア戦後のインタビュー。
日本で最後の登板かもしれないから「かみしめて投げていました。」と答えていた。これも凄く素敵だと思った。

Q:大声援の七回、マウンドに上がったときの心境は
ダルビッシュ:うれしかったですけど、集中していたので。そこまでしっかりは聞こえてなかったですけど、これが最後になるかもしれないということで、マウンドをかみしめて投げていました。

Q:どんなことを思いながらかみしめてなげていたのか
ダルビッシュ:最後になるかもしれないということなので、わかんないんですけれども、ここ(日本)で生まれ育って、おかげで今があるので、そういう意味では感謝だと思っていました。

「これが最後になるかもしれない。マウンドをかみしめて投げました」ダルビッシュ有
2023/03/17 テレ朝news

自身のことを「価値がない」と仰るダルビッシュ投手が、感謝の気持ちを持って噛み締めて投げていたというコメントに感動した。自分もできるだけ、そんなふうに毎日を過ごしたいと思った。


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