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【感想】ブルシット・ジョブ

タイトル

タイトル:ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論
著者:デヴィッド・グレーバー
発売日:2020/7/30

概要

世の中には、携わっている人自身もが「価値がない、意味がない、存在しなくてもいい(クソどうでもいい)」と思うような仕事がある。それはどのような仕事か、なぜ存在しているのか、深掘りする内容。

本を読んだ理由

1.仕事と給与の関係を知りたかった

最近、エッセンシャルワーカーという名称をよく耳にするようになったが、エッセンシャルワーカーの給与は総じて低い。看護師、介護士、ごみ収集員など。エッセンシャルなのに、なぜ必要な人たちに十分な報酬が渡されないのか、調べると、この本にヒント(答え)が載っていると知ったので、読もうと思った。

2.実体験

現在、事情により給与の低い仕事に就いている。前職と比べると半分以下の収入になった。それを思い出すときに毎回考えることがある。以前の仕事は今の仕事と比べて、2倍以上価値ある仕事だったのか。特別な技能を用いて会社や社会に貢献している度合いが、今の2倍以上あったのだろうか。はっきりと、そうではないと思う。しかし、結果としての収入は今の2倍以上だった。なぜ、社会の仕組みとしてそうなっているのか。

3.年末年始の休み

本を手にしたことがある人は知っていると思うが、本がとても分厚い。424ページあるらしい。そして(なぜか)余白がやたらと狭く、1ページにぎっしりと文字が書いてある。これはまとまった休みのときで無いと読めないと思ったので、年末年始の休みの間に読んだ。それでも、100ページほどしか読めなかったので、途中までの感想となる。

ブルシット・ジョブの例で印象に残ったもの

1.受付嬢

『電話や来客の対応』が仕事だが、1日に数回しかない。会社が「受付嬢が居るちゃんとした会社だ」と思われるために用意されたポジション

2.監督の必要のない人を監督する人

マネージャーとして就任し、5人の部下の仕事を管理することになっているが、5人とも自分自身で仕事をコントロールできる。つまり自分自身にすることが無い。会社や5人にとってはマネージャーは居てほしい。

3.レジ担当

とても暇な曜日・時間がある。棚の整理や商品の確認をしてみても、あっという間に終わってしまう。雑誌を読んだり退屈そうにしていると「不真面目だ」と会社から怒られる。何もすることが無いのに、真面目な態度で居なければいけない。

感想

「ブルシット・ジョブ」というものをいろいろな側面から考え、各側面を深掘り(寄り道?)した考えが書かれているので、ボリュームがとても大きいが、今まで知らなかったり考えたことが無かったような話が展開されていて面白い。しかし、それが逆に、話が紆余曲折するので長々しく難しい。この本がこれだけ長編になっているのは、まさしくブルシット・ジョブの結果のような気がする。

一番腑に落ちた話は、ブルシット・ジョブに就いている人は、大した仕事をせず十分な報酬を得ているのに、不幸な気持ちになっている人が多い。「少ない労力で大金を得られるのは良いことなのでは?」「そもそも、資本主義の社会(営利企業)で無駄な仕事が存在しているのか?無駄な人が雇われているのか?」と不思議に思うかもしれないが、それは経済的な面での考えであって、道徳的・政治的な面で考えるとそうではないと説明されていたことだ。

私は自分自身の前の仕事がブルシットなのではないかと思った。しかし、その当時は『ブルシット・ジョブ』という言葉を知らなかったし、まさかそんな仕事が存在しているとは思いたくなかった。ましてや、自分自身の仕事が意味のないものではないかとは考えたくなかった。

また、別の例として、『使えない社員』が居たときにブルシット・ジョブが生成されるという。使えない社員であっても会社は簡単には解雇できない。しかし、そのままにしているとその社員の担当業務Aが進まない。仕方がなく新たな社員を雇うが、業務Aの担当者は既に存在するので新入社員の担当業務はA’ということにしておき、実際にはAの仕事をしてもらうという状況が発生する。

これは自分自身の体験談にかなり近かったので、やはり、前の仕事はブルシット・ジョブに当てはまるのだろうなと思った。

本の展開についていくのが大変だったので、今回はノートに手書きでまとめながら読んだ。ノートは気付けば11ページに及んでいた。いろいろな発見があったのに、まだ、全体の4分の1か3分の1しか読んでいないことに驚きと少しショックを受けた。しかし、まだ本当に知りたいことまでたどり着いていないので、また次の長い休みのときにでも続きを読んでいきたい。

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