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星芒鬼譚6「腹が減っては戦はできぬ、だよ」

鴨川のほとりといえば、地元の住民たちの憩いの場である。
川辺に腰かけイチャつくカップル、喫茶店のペーパーカップを片手に会話に花を咲かせる女子大生のグループ、寝そべって本を読んでいる若者。
そんな風景に似つかわしくない、旅人風の痩せぎすの男がどこからか現れ、とぼとぼと歩いてきた。
それを見たカップルがひそひそと小声で話しだす。
男はふと足を止めると、大きなため息をついた。
本を読んでいた若者がちら、と男を見たが、また本に目を戻した。

「日本に来てもう三ヶ月かぁ…老子様はどうしておいでだろうか…」

男は死んだ魚のような目で空をあおいだ。
遠くから、悟浄~~~!と叫ぶ声がした。
女子大生たちが何事かと振り返る。
男---悟浄が振り向くと、丸々とした男がその大きなお腹を揺らしながら走ってくるところだった。

「いちいちでっかい声で呼ぶんじゃないよ、八戒」

目を丸くしている女子大生たちに、悟浄はどうもすいません、と一声かけた。
八戒と呼ばれた太っちょは、えへへ、となぜだか照れ笑いをした。

「それで?お前は何を持ってるんだ」

悟浄に聞かれると得意気な顔をして、手元の白い紙袋をずいっと差し出した。

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