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京都ゆんゆん日記。6

5/19(木)
朝食は納豆チーズトーストと、塩昆布と梅干しのお吸い物。
生活となるとこのへんちょっと雑になってくる。それに明日にはチェックアウトなので、冷蔵庫にしまってあるものは使いきらないといけない。
もはや、映えないの極みすぎて写真も撮っていない。
しかし、朝はキッチンもラウンジも誰もいないので、独占状態で快適だ。

今日こそはと思い、出町柳を経由して叡山電鉄で瑠璃光院を目指す。
最寄駅の八瀬比叡山口は、京都駅近辺から来るとすごく時間がかかるイメージだが、神宮丸太町からならまあまあ近い。30分くらいかな?
電車で30分を近いと感じるか遠いと感じるかは個人差があるだろうけどね。
橋を渡って、てくてく歩いて瑠璃光院へ。

この景色が好きすぎて、近所に住んで毎日眺めたいレベル。

しかし、電車内も意外と混んでるなとは思っていたが、瑠璃光院の前にはなんと行列ができていた。
前に来たときはこんなに並んだっけ?いや、並ばなかった気がする。
基本的に並ぶのが嫌いなので心が折れて引き返しそうになるが、こんな山中では他に寄るところもないので大人しく並ぶ。

まぁ、天気もいいですし…。

一昨日くらいから感じていたけど……
平日だから大して混んでないだろうと踏んでいたのに、修学旅行生はもちろん、それ以外にもみんな結構観光に来てるんやな。これは大きな誤算だった。
5月の京都は混む。むらた、おぼえた。
前までは5月、平日ならそんなに混んでなかったけどなぁ。
逆にいつなら混んでないんだろう。真夏か冬?
冬の京都も一回来てみたいなぁと思うけど、きっとめちゃくちゃ寒いんだろうなぁ。死ぬかなぁ。

そんなことを考えていると、思ったほどは待たずに中に入ることができた。
やっぱりここの緑は、相変わらずの美しさだ。

床紅葉というか机紅葉ですが。

前に「死にたくなったら死ぬ前に一回ここに来る」という話をしたことがあったが、今回は別に死にたくなってないので心配はいりませんよ。至って元気である。

こっちはちょっぴり床紅葉ね。
絵みたいな池も良き。
なんか物語が始まりそう(雑な感想)

人が多くて賑やかであまり落ち着けなかったので、滞在時間としては30分弱くらいだったが、綺麗な緑を楽しめたのでよしとしよう。

趣のある橋をまた渡って帰るのだ。
駅舎もなんだか良い感じ。

おなかがすいてきたので、出町柳まで戻って腹ごしらえをする。
商店街を進んで辿り着いた第一候補のお店には「予約でいっぱいなんです」と断られた。
しかし、こんなこともあろうかと第二候補のお店も選んでいたのだ!よっ!できる女!!
そのお店は、商店街をさらに奥へ進んだところにある「司津屋」。こちらは時間もあってか、すんなり入店できた。
古くからあるお店のようだが、入り口にはペッパー君がいるし、メニューはタブレット。時代ですな。
蕎麦屋さんなんだけど親子丼も美味しいそうなので頼んでみる。

ホカホカ感の伝わる良い写真だな(自画自賛)

おいしい!
ぷるぷる半熟の卵、柔らかい鶏肉。もちろん、たっぷりの九条ねぎも。
お吸い物も優しい味だ〜。
かなりおなかいっぱいになり、満足してお店を出る。

電車とバスを乗り継いで、今度は昨日「明日また来ます」と約束した二寧坂の「ちりめん細工館」へ足を運ぶ。
道すがら、一寧坂でこんなお店を見つけた。

こーひーあんどすちーむぱんく…!?

店先のメニューをちょっと覗いてみたら、コーヒーとかカヌレとか書いてある。
喫茶店っぽいけど、店内どんななんだ?き、気になる。
でも、先に手作り体験やったほうがいい気がする。時間を気にして喫茶店は楽しめまい。
というわけで、ちりめん細工館へ急ぐ。

お店に辿り着き「体験をやりたいんです」と言うとすぐに準備をしてくれた。
どうやら教えてくれるのは店長さんで、昨日お話しした店員さんがレジ番をしているそうだ。
つまみ細工のお花のイヤリングを作ることにした。
パーツの色選びでめちゃくちゃ悩んだけど、今回は鹿葉イメージで渋めにまとめてみたよ。
鹿葉というのは以前「大家族」という作品で演じた黒油家長女の役。私にとって、とても大切な役のひとつであり、とても大切な作品のひとつである。
このカラーリングなら、手持ちの浴衣にも合いそうだしね。

"やってる"感のある写真を撮らせてもらった。

で、左右で色柄の配置なんかを変えているのがミソ。片方ずつ使ってもかわいいのさ。大ぶりなイヤリングは片側だけつけるのが最近の私の中の流行り。
浴衣や着物に合わせるときは両方つけるのがいいかな。
これ、友達とキャッキャしながら作ってもきっと楽しいね。

マンツーマンで丁寧に教えてもらえたので、私でもなんとか形になった。
(店長さんにちょっと手直ししてもらったのは内緒)
今回はペンチでパーツを曲げる作業とかはほとんどなかったんだけど、できるようになるとアクセサリー作りができるからついでにと、パーツを繋げるときの曲げ方なんかも教えてもらった。
試行錯誤しながらなんとか覚えられた。
店長さん曰く「すごく手先が器用だし、飲み込みも早い。たくさん見てきてるからわかる」とのこと。アクセサリー作りが初めてでもとても上手な人もいるし、逆も然り…らしい。

私は昔から不器用と言われて育ってきたし、自分でもそう思って生きてきた。
平面ならいざ知らず、立体となるとどうも思いえがいたものが作れなかったからだ。
でも不器用じゃないとすると、思いえがいたとおりに作るための知識や技術が追いついてなかったのかなぁとか、上手くいかなかったときに浴びせられた「不器用」という言葉で自分を縛って、どうせ上手くできないしって最初から諦めてたのかなぁとか、他の要因が浮かび上がってくる。
運動神経が悪いと思って生きてきたのに、アクションをやってみたら意外とできたときと同じだ。
あれも運動がまったくできなかったんじゃなくて、実は能動的にやりたいと思える種目に出会えていなかっただけだった。
自分の世界のなんと狭いことか。
その外にさらに世界が広がっていることも知らず、見えている世界がすべてだと思っていたのだと思う。無意識のうちに。
もったいないことをしてきたなぁと思うが、死ぬ前に気づいてよかったよね。死ぬまで気づかないケースもありそうだもの。
まだまだ自分の可能性は眠っている気がする。もっと掘り起こしていきたいな。

そして、戻ってきたよ!さっきの、一寧坂の素敵カフェ。
別のカフェに入ろうかすごく悩んだけど、検索かけて見つけたんじゃなくて通りがかりに見つけたお店に入ってみるの、いいじゃない。冒険だよ。
「Punk a vapore」というらしい。
ドキドキしながらお店に入ってみる。

イイ…(ラピュタのあの人)。

スチームパンクファッションのお姉さんが2階の席に案内してくれた。
カヌレはプレーンが売り切れで、抹茶があと一つだと言う。
せっかくなのでその抹茶カヌレと、ブラックバニラフレーバーラテ(竹炭入りだそうだ、珍しい)を頼んだ。

お店の名前入りの煉瓦。
テーマパークみたい。
他に1組いたお客さんも帰ったので、独占だ。

メニューも可愛かったんだけど、写真を撮る前に返しちゃった。やってもた。
スチームパンク書籍がずらっと並んでいるのを眺めていたら、ふと記憶が蘇った。
私、こういう本に写真を載せてもらったことあったよな?
記憶を頼りに探してみると、あった、ありましたよ。

この本です。

普通に「村田結香」名義で半ページだけ載ってるので、もしこの本を見つけたらぜひ手に取って確認してみてほしい。
茶色、生成り、真鍮だけではないカラフルなスチームパンクを模索していた頃の写真だ。懐かしい。
そんなことを考えていたら、きましたよ!

味気ない食器類も、雰囲気があっていいじゃあないですか。

ブラックバニラフレーバーラテ、マジで真っ黒で驚いた。味はバニラミルクって感じ。飲むと口の中が炭でじゃりっとするのもディストピア感があって良い(どういう楽しみ方?)。
抹茶のカヌレは外がカリカリで中はもっちり。甘さ控えめで美味しいぞ。
お店のお姉さんによると今日は上手く焼けたらしい(カヌレは日持ちしないから必ず毎朝焼いているんだそうです)。
「さっきスチームパンクの本読んでましたよね、お好きなんですか?」と聞かれて「実はあの本に私の写真が載ってて…」と言ったら興味を持ってくださって、少しお話できたのも楽しかった。

るんるん。

こんな素敵な出会いがあるとは思わなかったなぁ。
なかなか気軽に来られる距離じゃないが、京都を訪れたときにはまた行こう。
平日は空いてるそうなので、お近くの方やこれから京都に行かれる方、スチームパンクに興味があればぜひ一度行ってみてほしい。

ちりめん細工館もPunk a vaporeもだが、一人でぶらぶらしてると現地の人と話す機会が生まれるのもなんかいいね。
同行者がいると、どうしてもその人と話してしまいがちだからさ。

あまり遅くならないうちに帰還する。
しかし、夕暮れの鴨川も今日が見納めだなと思って、財布とスマホと鍵だけを持ってふらりと散歩に出た。

とくに何があるわけでもないが、それが良い。

川原を歩いて、飛び石を渡る。
風が涼しくて気持ちいい。
鴨川が近所にあったら、天気の良い日は毎日のように来ちゃうだろうなぁ。そのくらい好きになった。
軽めの夕飯を買って部屋へと戻り、六日目の活動はここまでとする。

次回、京都最終日の朝、村田の中に生まれた意外な感情とは!?最後まで楽しんでね。

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