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星芒鬼譚《完全版》

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「どうにかして探してほしいんです、九尾の狐を」 源探偵事務所に舞い込んだその依頼は、世間を騒がす連続神隠し事件とも関係があるようで…? 調査に乗り出した探偵事務所一行が出会ったの…
1章ずつのお買い上げよりお得で、順番どおりに並べられているので続けて読みやすくなってます。
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2020年7月の記事一覧

星芒鬼譚12「この街の平和は僕たちが守るのです!」

星芒鬼譚12「この街の平和は僕たちが守るのです!」

源探偵事務所の社用車は、鞍馬山へと向かっていた。
わずかに開けた窓から入ってくる風に、ひよりの頭の上の耳がぴこぴこと動く。

「いや~、狸に化かされたのは初めてでしたよ」

助手席の光太郎がバックミラー越しに見ながら言った。
ひよりは邪魔にならないように前に抱えた大きなしっぽを、きゅっと抱き締めた。

「隠していてごめんなさい。でも、探偵さんなんにも聞かないんですもの」
「普段から人間の姿で生活し

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星芒鬼譚13「これは失礼したな。我が名は玉藻。いずれこの世のすべてを手に入れる者」

星芒鬼譚13「これは失礼したな。我が名は玉藻。いずれこの世のすべてを手に入れる者」

悟浄と八戒は、緑の中を歩いていた。
八戒はタピオカのカップを片手にご機嫌な様子でずんずんと進んでいく。
悟浄も同じカップを持って周りを見回しながらついていく。
と、八戒が急停止し、その大きな背中にぶつかった悟浄は一人で弾き飛ばされた。

「ぐわっ」
「ねぇ悟浄」

悟浄はよろよろと立ち上がる。

「なんだよ…」

八戒は、神妙な面持ちで振り向いた。

「ここってどこだと思う?」

悟浄は思わずずっ

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星芒鬼譚14「バカ言うな。ただの勘違いだよ」

星芒鬼譚14「バカ言うな。ただの勘違いだよ」

光太郎は袋に入った刀を担ぎ、灯籠の明かりも消え真っ暗な石段をずんずんと降りていた。

「光太郎。待て」

後ろから夏美が何度も声をかける。

「待てと言ってる!」

ようやく歩みを止めると、光太郎は振り向いた。

「…何だよ」

怒ったような拗ねたような顔をしていた。
やはり武仁と何かあったんだな。夏美は確信した。
だが、当人から聞かなければ何があったのかなど知りようもない。

「何かあったなら、

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