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アイデアは手作業の偶然から

「デザイン思考は死んだ」と言われ始めてから、ずっと疑問がある。

あるいは、
現役の学生さんとか、
昔同級生とものづくりをしてた時にも思ったことがあるのだけど、

最近、みんな、
「アイデアはロジック(だけ)で出せる」
と思いがちな気がする。


先に誤解なきように書いておくと、
過去に僕も「アイデアはロジックで出す」と言ったことがあるが、
それとは少し意味が違う。

僕の言ったのは
「アイデアは天から降ってくる」
に対抗する論としての「アイデアはロジックで出す」
であって、

ここで言う
「ロジックを組めばアイデアは出る」
と言う文脈とは少し異なる。


じゃあその論で何が足りないのか?
といえば、「偶発性」である。


別に僕はデザイン思考愛好家でもなんでもなく、
むしろ濱口秀司さんのバイアスブレークの方が好きだが、

どちらにせよ、フォローしてる人に足りないのは
「偶発性」だと思う。

少し濱口理論に寄った話になるけど、
バイアスブレークをしたらそれでアイデアが出るのかといえば、
答えはノー。

濱口さんは敢えて自身のロジックを時系列で説明しないのだけど、
バイアスブレークに並んで「ストラクチャードケイオス」が有名だ。

そんなことは知ってるって?

じゃあなぜ、
「バイアスブレーク」と「ストラクチャードケイオス」を併用しないんです?


これはデザイン思考でも話は同じで、
デザイン思考とは、
数あるアイデアの中から、ベストをチョイスする方法論だ。

なのにみんな、「数あるアイデア」をまず用意していない。

せいぜい100個のアイデアで満足して、
その時点でポストイットをまとめようとする。

それでイノベーションが起こったら、IDEOなんていらん。

そう言う意味では、
僕は「デザイン思考」は、「デザイン”試行"」と言い直した方が良いのではと思っている。


話が逸れたけど、僕の話をすると、
僕のアイデアはほとんどが偶然の発見で出来ている。

スケッチは好きだけど、
スケッチで「発想」ができたことは一度もない。

たいてい手を動かして、
思いもよらぬことをしてみて、

そこで偶然見つかった現象の再現性を高めて
商品化する。


誰もが経験があると思う。

ある角度からペットボトルを見ると虹色に見えたり、
レジで落とした小銭がコマのように回転したり、

そういった面白い現象を、どうしたら再現性を持って商品にできるか、
僕の商品開発はいつもそんな感じだ。

これは残念ながら、スケッチでは描けない。

描けるとしたら最終段階、最後の図面とか、そのフェーズだけだ。


そして、ロジックでもない。

僕は流体力学とか、そもそも物理学とか、そういった素養は一切ない。

意外かもしれないが、バルミューダの扇風機も、
流体力学ではなく、社長の寺尾さんがテレビで30人31脚を見ていて
偶然思いついたらしい。

別に物理学を否定する訳ではないが、
「学問」と「アイデア」は必ずしも一致しないということだ。


この辺りは、最近の勉強熱心な学生さんとかが特に誤解が多い気がしている。

人間工学とか、物理学とか、そういうのを極めれば、面白いものが出来ると思っている節がある。

でも実際は逆のことが多い。

まず面白い出来上がってしまって、それを学者たちが一生懸命解明する。

世の中を見ていると、そっちのパターンの方が多いと思いませんか?



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