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緊急時のリーダーシップのあり方


今まさに新型コロナにより、規模感はあれど危機が発生し、その後の景気停滞等が予想され始めています。こうした危機は何も珍しいことではなく、景気循環の過程で必ず数年単位ではやってきます。そして、実態経済が全てなくなるわけではなく(まるでこの世の終わりのような報道は多いですが…)、人の営みは消えずに続きいずれ好景気への循環もやってくるわけです。

今回の危機は、新型コロナの流行とそれに伴う各国の非常事態宣言、そして人の移動制限により実態経済への影響、どれも正直1つの企業では抗えない大きな流れです。従って、その流れを理解して、生き残る術を見つけ出すのが我々リーダーシップの役割です。

個人的にはリーマンショックは新卒の三菱重工業で、そして前職のレアジョブでも情報流出の可能性による1ヶ月以上のサービス停止とそれに続く新規会員流入のストップ等を経験しました。2つの危機では、自分は残念ながら為す術もないもない存在でした。しかしながら、幸いにも三菱重工業時代は経営企画部門(設備投資側)にいたので、トップの意思決定とそこに関わるエースの活躍を垣間見ることができました。レアジョブ時代は残念ならが自分のリーダーシップが至らず、危機を機会に後から入ってきた大人メンバーにリーダーシップを明け渡す時期でしたがこちらでも、危機の乗り越え方を間近で学びました。

そこで、今回は社内向けのメッセージも兼ねて緊急時のリーダーシップのあり方を書いてみたいと思います。これは己への言い聞かせであり、社内のリーダーやメンバーと一緒に実行していきたいことです。

人とビジョンを毀損しない

まず、第1は前職レアジョブ時代に創業経営陣が使っていた言葉ですが、「人とビジョンを毀損しない」です。企業は人の存在で成り立っています。スタートアップはそんな人がある種、いろんなものを我慢して人生をかけてくれている場所です。僕らリーダーはそのこと絶対に忘れてはいけないと思います。

また、ビジョンもとても大切で守るべきものです。「テクノロジードリブンな事業成長を増やす」、そのために技術を担う人(エンジニア個人)とテクノロジーを使う組織(企業)をエンパワーメントするのが我々の仕事です。危機だからこそ、ビジョンにそった事業づくりに向き合うべきだと思っています。


先頭に立って、現場で汗をかき絶対に結果を出せ

人とビジョンを守るということは、即ち雇用を守ってビジョンに向けてどんな環境でも組織を成長させ続けるということです。危機には当たり前ですが需要の減少とその結果としてのサービス利用や商品購入、人の採用の厳選が起こります。だからこそ、成果を出すのは通常よりも難しい状況になります。メンバーにはこれまでのように成果が出ず、落ち込む者も出てくるでしょう。そんな時、マネージャーはプレイングマネージャーになるべきです。先頭に立って、成果を出して、「大丈夫だよ、こうやればうまくいくよ」という形を自らつくる存在です。特にマーケットが変化するこの時期はそれが最も大切です。

例えば、前職では、クライシス時に社員50人以上で口座に数百万円しかないという時期もありました。まさに危機です。そのタイミングでCFOは金融機関を駆けずり回りプレスリリースを書き、営業担当はサービスが止まっている中でクライアントへのお詫びと翌月の売上見込みを作り、エンジニアは再開に向けてセキュリティまわりの開発を進めました。そして、各部門のリーダーがそれを引っ張った。しかも、総じて全員が自ら手を動かしながら。

一方で僕自身は慌ててしまい、創業者に対する負の感情やこれまで違うこと、仕組みづくりで成果をあげようとして、なんの役にも立たない存在になっていました。そして、リーダー職をその後失うきっかけになりました。危機のリーダーシップは先頭に立って成果を出して、皆を安心させるしかなかったのだなと後で気付きました。

だから、まずは実践、来週からは自ら先頭に立って営業をします!もう10アポくらい入れました!

ちなみにそのときの話はこちら。
https://blog.findy.us/startup-demotion/


移りゆくマーケットを捕らえよ

今回の新型コロナで需要は減少しているものの、すべての需要が減っているわけではありません。例えば、キャンプ場やスーパー等の内食はリアルでも活況だし、オンライン教育やオンライン診療の広がり、そしてテレワークに使うオンラインツール、EC等に需要が集まり、次のステージが見えてくるフェーズです。ソーシャルゲーム全盛期も思えばリーマンショック後でした。

つまり、需要はあるところにはあるし、伸びるところが変わるのがこのフェーズです。この変化、移りゆくマーケットをしっかり捕らることができるかが勝負です。スタートアップは小回りが効くし、変化ができる存在です。そしてリーダーシップがこの先頭に立たなければならない。

実際に、弊社Findyでもオンライン化の進展が進むことがより濃厚になる中で、2月〜3月はサービス経由のカジュアル面談数が過去最高を継続して記録しています。オンライン経済の主役となるエンジニアを採用したい企業が増えているわけです。

一方で採用に積極的な企業も変わってきており、営業のあり方も見直さないといけません。ユーザーにとって転職したい企業も大きく変わってきています。そんな市況等もアンケート等を取りながら世の中にも発信していきたいと思っています。

常に、エンジニアユーザー、そしてクライアント企業に、マーケットの変動期でも価値が提供できるよう僕らも真剣に取り組んでいきたいと思っています。

そして、リーダーは社内でもマーケットの変化を捕らえて誰よりも早く次の一手を打っていくそんな存在であってほしいです。

将来への投資も続けよ

ビジョンを毀損しない、将来への布石も含めて、プロダクトの進化・開発を止めない方向で考えています。景気は循環します。いずれ好景気はやってくるし、そのときに業界のリーディングカンパニーであるために、プロダクトの開発は続けたいと思っています。

もちろん、無駄な不要な経費はできる限り減らします。シャープにやるべきことは徹底的に絞り込んでやり切る、そんなスタンスが必要だと思っています。

トヨタ自動車は1937年の戦前、ソニーは1946年の戦後、日本電産は1973年、キーエンスは1974年で第1次と第2次オイルショックの間に生まれています。イノベーション、そしてイノベーティブな会社は、危機の中で、制約の中で生まれるものだと思っています。

(対メンバー)実力主義の時代へ

最後に、メンバー向けのメッセージです。危機の良い点は実力主義に変わることです。三菱重工時代も取締役専務が、いつもの部長ではなく自分の指導員である、平社員の先輩のところに相談にくるようになりました。また、レアジョブ時代のインシデント時も、技術力のあるメンバーに開発のリーダーシップや思想づくりが移行しました。(その時の開発リーダーは、実は今もFindyでフリーランスで働いてくれています。)

危機になると、順番とあるべき論といった平時の秩序よりも、結果の方がリーダーには求められるようになります。だからこそ、実力主義の色が濃くなり、入れ替わりが起こります。(自分は前回は入れ替わって落ちる方でした…。)逆に言えば若手も含めて誰にとってもチャンスのある時期です。ぜひ活かしてほしいなと思います。


以上、緊急時のリーダーシップに求められることを書いてみました。
何より、緊急時は誰もがリーダーになりうる存在だし、全員がリーダーになる組織が強いと思っています。明日から社内でも上記を伝えて、自らも先頭に立ち、頑張っていきたいと思っています。Findyのメンバー・リーダーも一緒に、危機を乗り越えて、テクノロジードリブンな事業を増やし、そしてイノベーティブな会社にしていきましょう!

そして、エンジニアユーザーの皆様とクライアント企業と一緒に、次の時代を創っていきたいと思います。明日からも日本経済を回すぞ!!

※本来は社内向けのメッセージに止めようかと思いましたが、オープン性が大事な時代。このあたりの経営メッセージもオープンにしていきたいと思います。