2. 会社を自分たちで変化させていくことができる循環システムをつくる
前回のプロジェクトの背景に続き、今回は具体的な「変化に強い会社になるために、会社を「ただしく。たのしく」エンジニアリングする」の取り組みのご紹介です。
こちらが、取り組みの大まかな全体像です。
私たちは、Diverta Way(会社の価値観)、Team Play(チーム連携)、Team Language(チーム連携の成功のコツ)という大きく3つの機能を、相互に調整しながらつくっていきました。
なお、Diverta Way(会社の価値観)の設計工程の早い段階から、社員の方に間接的に参加して頂き、Team Play(チーム連携)、Team Language(チーム連携の成功のコツ)は代表の加藤さんに間接的に参加して頂きました。
今回は「全体」と「個」がお互いに介入し過ぎても主体性がなくなってしまう(状況によりグラデーションは様々だと思いますが)ことを恐れ、できるだけ適切なボリュームでフィードバックし合えることを意識しました。
全員への許可にコストをかけ疲れ果ててしまうよりも、以下を大事にしました。
・まずは参加できるメンバーで一度楽しくチャレンジしてみること(ただでさえ組織開発の取り組みは腰が重くなる…)
・これで決定!ではなく、誰もがフィードバックの循環にアクセスでき、建設的で多様な意見を言え、必要に応じアップデートしていける
会社の価値観を示した「Diverta Way」
まずは会社の価値観を示したDiverta Way = embrace change(変化を抱擁する)を加藤さんが言葉にしていきながら、進んでいきました。
Diverta Wayは、内部向けの価値観を示したものですが、2019/8/2に公開されており、社員の方以外も見ることができます。
加藤さんは、変化に対応するために、自分たちの会社が大事にする変化しない色(まとまり)を決めたいと言われ、忙しい合間に黙々と、Diverta Wayを記述していきました。
時々、加藤さんが周りに意見を求めつつ、あるべき姿から逆算しつつ文章を修正していく流れは、様々な観点からプログラムのバグを客観的に修正されていくようで、まさしくプログラミングといった感じだったのが印象的でした。
会社が困難な状況になると組織や人の本当の姿が出ますが、そうした時にも強さと優しさ(甘いとは違いますが)を併せ持つ、しなやかな会社運営や組織行動が実行された方が社員は安心ですし、経営者もお金や仕事内容だけで社員やパートナーを繫ぎ止めた状態よりも、価値観にも共感してくれる方と一緒にいた方が安心です。
Diverta Wayは、エンジニアの方が組織設計をすると、このように現実に実装されるのかという発見と学びのあるもので、個人的には読み物としてもたのしいと思います。
チーム連携を見える化した「Team Play」
次に、開発プロジェクトにおけるチーム連携の全体像を示した「Team Play」を、Divertaの社員の方々と丸1日かけてつくっていきました。
下記はワークショップのアウトプット(サービスブループリント的なもの)を図解した途中経過段階のものです。
サービスブループリント
参考) https://u-site.jp/alertbox/service-blueprints-definition
プロジェクトの全体像を出し、俯瞰することで、自分が全体の中でどこの何をしているのか、また周りの人は何をしているのかが確認されていきます。全体が出された後は、一つ一つの部分のタスクを図解して分解(リバースエンジニアリング)をしました。こうして、プロジェクトの「全体」と「部分」がどんどん見える化され、曖昧で見えないブラックボックスが消えていきます。
同時にその過程では、Divertaの社員の方々のタスク連携だけでなく、その背後にある見えない想いや不安などを率直に話し、振り返り、ワークショップの経験を解釈して視座を高め、視野を広げていきます。
「みんな考えていることは一緒」「まだ共通認識が取れていない」「そんなこと思っている人がいたなんて」というような参加者の方の声が多かったです。幾つもの色の糸を使ったタペストリーが織られていくように、チーム連携が少しずつ浮かび上がってくる様子が、印象的でした。
こうした一連の過程が、その会社ならではのしなやかな強さの源泉になるので、ここで何かが隠されたりすると(例えば、見栄やプライドで強がったり、怒られるので発言しない等)、その源泉を失うのではないかと改めて思いました。
強みを伸ばしつつ、弱さも補完しあって機能に昇華できた時、それこそ価値を生み出せて喜ばれるシステムやチームと呼べるものになるのだと思います。見方を変えると、弱さは未来の可能性を照らす道先案内人ともなりそうです。
システム開発もプログラムにバグがあったり、部分最適になったり、隠れた前提を見落とすと機能しません。
それと同じで、会社もこうして自分たちの頭と身体を使って考え、伝えたり&読み取ったりしながら、プログラミングをして、機能するシステムをつくっていくことが何より重要だと、よく考えるとそりゃそうだ、の話ですが改めて思いました。
チーム連携のコツが見える「Team Language」
次に、プロジェクトにおけるチーム連携のコツを示した「Team Language」を、Divertaの社員の方々と丸1日かけてつくっていきました。
下記は参加者の方のアウトプット(パターン・ランゲージ)を集め、壁に張り出した際の写真です。
パターン・ランゲージ
参考) http://creativeshift.co.jp/pattern-lang/
Team Language(チーム連携のコツ)は、Diverta Way(会社の価値観)がどちらかと言うと抽象的で、Team Play(チーム連携)が具体的なので、その間を繋ぐものとして開発しました。
チーム連携の成功のコツを書くというあるべき姿は共有しているものの、提案、要件定義、アサイン、情報共有、コードの書き方、プログラムのテストの仕方など、皆さん出てくるアウトプットが本当に様々でした(多様な専門の方がいるのでそりゃそうなのですが)。プロジェクトに対して向き合う、皆さんの多様な姿勢が浮かび上がってくる流れが印象的でした。
振り返ると、個人的には今回の3つの仕組みの開発でTeam Language(チーム連携の言葉)が一番難しい一方で、一番可能性があると感じました。
理由は、役職で言うと中間管理職やマネージャー、ナレッジで言うと暗黙知と形式知の間、個人のエゴを会社全体のエコに繋ぐ部分のような話で、この中間に会社の複雑さ(=可能性であり「らしさ」)がたくさん詰まっているのではないかと思うからです。
この複雑な中間を繋ぐものが、自分たちのイキイキとする言葉(物語)としてリアリティを持つ時に、その会社ならではの大きな求心力が生まれるのではないかと考えます。
誰もがアクセスできる「Diverta Way Program」
「変化に強い会社になるために、会社を「ただしく。たのしく」エンジニアリングする」取り組みを実施した成果は何だったでしょうか。
加藤さんは「組織に変化(学習)が色々と起こり、人によっては凄く変化(学習)をした人もいる」と仰っていました。
私が感じた効果は、この3つの機能を通して自己観照(自分(たち)を客観視・内省する)がしやすくなり、自分たちで会社を変化させるためのエンジニアリングがしやすくなったことではないかと思います。
理由は、以下のようなことを同時並行で繰り返し行うことができる、誰もがアクセスできる組織開発の仕組みの土台ができたと思うからです。(もちろん、これからブラシュアップは発生します。今回はMVP[Minimum Viable Product]的なものでしょうか)
・業務改善と組織開発
・目の前の業務の効率化と将来的なチャンスの機会発見
・個人・チーム・会社の変化(学習)の共有
・会社のマクロ・メソ・ミクロレベルのリファクタリング など
できるだけ透明性がある中で自分たちで会社の状況を見れた方が、自己決定感も上がり、自律的で、チャレンジ&やり抜くモチベーションも芽生えるのではないでしょうか。
特に、こうしたワークショップやリバースエンジニアリングを行い共有することは、沢山の新人(年齢関係なく)の方の成長の補助線にもなると思います。
最後に
3つの機能のエンジニアリングは、会社やプロジェクトを推進されているDivertaさんが担当されました。複雑な事象を抽象化して繋ぎ直し、そこから素早く新しい具体的な機能に落とす力からは、色々と学び取らせていただきました。
2回のワークショップでは、「人々の充実感と笑顔を引き出すために活動する」の諏訪さんに一緒にファシリテーションをして頂きました。柔軟で素早くサポートして下さり、とても助けていただきました。
私はDivertaさんの進まれたい方向を感じ取りつつ、全体の大まかな構造の設計・見える化・調整役という感じでした。
システムを合理的に突き詰めていくと、逆に、人がどのように関わる(わった)のかという作用が大きく浮び上がるなと実感します。
関係者の皆さま、どうも有難うございました & お疲れ様でした。
この取り組みがどう成長をしてくのか、大変楽しみに、また、応援しております^^!
現在(2019/9/2時点)Divertaさんでは様々な職種のメンバーを募集されているようです。こちらの取り組みをご覧になって、もしご興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、是非一度お話を聞かれてはいかがでしょうか。
この記事は私の解釈で、勝手に記述してはいますが、なるべく客観的に書くように努めたつもりではいまして(今回の取り組みも出来るだけそのままオープンに)、会社のWebサイトを見て伝わるように、気取らないそのままの本音と建前の少ない会社さんだと思います^^!
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