身近なひとを喜ばせたくて

単刀直入に書く。小劇場のチケット価格高騰が著しい。僕が小劇場のあるべき姿として考える「気軽な娯楽」としての範囲を超えてしまっている。
僕が演劇を始めた20年くらい前は安いと1000円前後、高くても3000円くらい。それ以上は有名人が出たりする商業演劇と呼ばれるジャンルのものだった。シアターグリーンのベースで2500、ボックスで3000、ビッグツリーで4000円くらい。中野のあくとれは1800円くらいが相場だった。
それが今や4000円前後がスタンダードで、6000円以上の芝居に出るから観に来てくれって知人から連絡が来ることもある。さすがに付き合いで6000円は出せない。

内部の人間ですらそうなんだから、それ以外の一般客はもっとそうだろう。だって映画が1800円くらいで観られるのに。なんで全然有名でもなんでもない人たちしか出ない舞台がそんなにするのかって思うよね。

その辺は仕方ない。映像は一度撮ってしまえばあとはそれを焼いていろんな媒体で広められる。でも舞台はその日、その晩、その場でしか上演されない。かかるコストが違う。効率の悪さがほとばしる。

つまるところ、高くて誰も観に来れない舞台に出たって誰も喜ばないのだ。不景気が続いてみんなそんなことにお金を払う余裕はないんだ。僕だってそうだもの。それよりも自分の食べたいもの、推したい人にお金を使いたい。

4000円以上の舞台にはもう出られないなって思う。いや、インディーズの小劇場には。僕が小劇場に見出している価値は残念ながらそこには、ない。いや、もちろん面白い作品、刺激的な作品もたくさんあるよ。でも6月に観た『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』も芸劇で3800円だったんだよな。観劇人生でもかなり上位に入る作品だった。んー。ってなると。

とにかく俺は、できるだけストレスなく楽しんで欲しいんだよお客さんに。そのためだったら月にだって何だって吠えるわけですよ。

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