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ゆういちの一生 第29話。「まねきねこ誕生。」

劇団の公演に出演、上演できるのか?

ゆういち29歳。
芸能の仕事を頑張っています。

名前を聞いたことがないけれど老舗感のある劇団から事務所に募集が来ました。
大衆演劇などを行なっていて有名な女優さんも出るそうです。
ちゃんと出演料も交通費も出るということで、
その劇団の公演に出演することになりました。

座長のおじいさんが演出家として演出を付けてくれます。
演出家のおじいさんは、最初は稽古場に来ていたのですが、
だんだん稽古場に現れなくなり、自主練が続くようになりました。

全く稽古場に姿を現さなくなったある日、
共演の女優さんが「探しに行こう」と言って、車で探しました。
あてもなく探しても見つかるわけないと思っていたら、見つかりました。

演出家のおじいさんはメガネのツルが折れたのか
ガムテープでつないであるメガネをかけていました。

女優さんが言うには「生活保護を受けているらしい」とのこと。
スタジオの方からは稽古場代が支払われていないという話を聞きました。
事務所には次の稽古場の情報などが来ているようですが、
やはり現場には全く現れません。

そして、公演の日になりました。
演出家のおじいさんは一向に現れません。
会場にはお客さんもほとんど入っていません。
劇場の使用料も支払われていないとのこと。

公演が終わりましたが、交通費も出演料も支払われませんでした。
どの方面にもお金は支払われなかったそうです。
舞台監督さんを中心に、おじいさんを訴えるという流れになったようですが、
僕はそれには参加しませんでした。

あれは、結局何だったのか分かりません。
おじいさんが亡くなる前に華々しくお芝居を上演したかったのでしょうか?
痴呆症の老人の見た妄想だったのでしょうか?

事務所の会議で僕を吊し上げ、その後、ことあるごとに僕に絡んできていたオレンジさんですが、だんだん事務所で見かけることがなくなってきました。
事務所をやめたそうです。

なにやらやめたくてやめたわけじゃないそうで、
やめた後に、事務所に長文のFAXを送ってきました。
ロール紙なので、巻物みたいな手紙が届きました。
そこには、僕への誹謗中傷が多く書かれていたそうです。

「仲野のことで後輩から自宅に留守電が何度も入って、留守電のテープが伸びて壊れた。仲野には拳と蹴りで制裁をする。」

とのこと。
また些細なことを大げさに書いて罪にしているし、傷害予告ですね。
もう警察に言えばよかったと思います。

信用できる人もいないし、守ってくれる人もいない。
僕は事務所をやめました。

三谷幸喜監督の運転手。

この頃、三谷幸喜監督の運転手を始めます。
付き合っていた彼女が芸能関係者だったのですが、
彼女の上司が三谷監督と繋がりがあったので、
この話が舞い込んできたのです。

僕は運転免許は持っていたけど車を持っていませんから
ペーパードライバーでした。
彼女に車を貸してもらって運転の練習をして挑みました。

三谷さんの車はアウディで、左ハンドルでした。
何度か曲がろうとしてワイパーを出してしまったことがあります。

僕はこの仕事をきっかけに、俳優としてのつながりを作りたいと思っていたのですが、
当時三谷さんは大人気で、三谷さんに近づいてくる人がたくさんいたらしく、警戒心が強かったです。
僕も警戒されていることを感じ、僕は運転手に徹しました。

映画にはちょこっとだけ出してもらえました。
一度NGを出してしまい、すべてのセッティングがやり直しになり、
田中邦衛さんが「ちょっとトイレ行ってくるわ。」と言った時はあせりました。

インプロのワークショップが終わる。

まだインプロのワークショップに通っています。
3か月でマスターしてやめるつもりが全然うまくなりません。

そのワークショップでは僕が一番新しく、僕が一番下手でした。
何かアイディアを出してもそれは間違っているらしく、
ほとんど言葉を発することもできない時もありました。

でも、時々ショーに出させてもらったりして、
だんだん楽しくなってきた頃です。
先生がワークショップをやめると言い出しました。

参加者がワークショップの場に依存していて、
外で自分で行動していないからだそうです。

確かに、僕も行動していませんでした。

劇場のロビーでパフォーマンス。

その頃、時々稽古に参加していた劇団が演劇フェスティバルをやることになり、
ロビーで何かパフォーマンスをしてほしいと言われました。
そこで、インプロをやることを思いつきました。

終了したワークショップの何人かで「なつみかん」というインプロのユニットを作りました。
夏のイベントだけやるつもりで。

僕はずっとエンターテイメントショーをやりたいと思っていました。
でも、僕にはオリジナリティがないと思っていました。
コスプレもマネだし、芝居やコントの脚本を書こうとしてもパクリになってしまう。

そこで、インプロがちょうどいいと思ったのです。
その場で作る作品。
お互いのアイディア、個性を重ね合っていくことでオリジナルの作品ができる。
そう思いました。

劇場公演。

なぜだか「なつみかん」には、学園祭とかの依頼が次々とやってきました。
じゃあ、劇場でも公演をしようってなりました。

お客さんが80人くらい入ればいいような小さな劇場pamplemousseで上演しました。pamplemousseは、フランス語でグレープフルーツという意味です。
なつみかんの公演にぴったりです。
通常は対面で使う劇場を半円のステージにしてみました。
グレープフルーツを半分に切った感じです。


なつみかんなので衣裳はみんなで黄色いTシャツを着ました。
1回目の公演は夏。
同じ時期に24時間テレビをやっています。
同じ黄色のTシャツということでまたアイディアがつながります。

小さな劇場を日本武道館に見立てて、壁に「東スタンド」と書いてみたり。
公演のラストに次回の出演者がマラソンみたいな感じで会場に登場したりしました。

初めての公演の日。
僕はビビってしまい、自分が主宰の公演なのにシーンに全く出ることができませんでした。
あくまでMCでしたよ~。みたいに隠したのがまた弱い所です。

そんなこんなで、いくつかのイベントと2回の公演を終えて、なつみかんは終了しました。

そして、しっかりやっていこうということになり、
10月10日に「即興パフォーマンスまねきねこ☆」を結成しました。

おしまい!

今日はここまで。
お読みいただきありがとうございました!

即興パフォーマンスまねきねこ☆は20周年。

この「まねきねこ☆」が生まれたのがちょうど20年前。
2021年10月10日に20周年記念オンライン公演を行いました。
アーカイブでどうぞご覧くださいね。

続くよー


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