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マネーフォワードの法務担当取締役と一緒に考えてみた『スタートアップの法務に向いている人』

こんにちは、マネーフォワード 法務 兼 マネーフォワードシンカ キャリアアドバイザーの村井 結です。

今回は、キャリアアドバイザーらしく、スタートアップの法務に向いている人というテーマで「私の転職のきっかけになった人であり、今の上司であり、マネーフォワードのひとりめ法務であり、法務担当取締役であり・・・え~と・・・弁護士でもある」坂と対談形式で話をしてみました。坂は、大手証券会社で営業、弁護士資格を取得したのち再び証券業界に戻り、法務→経営企画を経て、マネーフォワードのひとりめ法務として入社するという異色の経歴の持ち主です。まるで、このテーマをお話しするために生れてきた!といっても過言ではないですね。笑

さて、早速ですが、スタートアップの法務に向いている人って、

:ずばり、村井さんだよ!

村井:わ~い!(^^)!

なんて会話は一切ありません(笑)早速、本題に突入です!

PROFILE

マネーフォワード 取締役執行役員 坂 裕和(ばん ひろかず)
2001年証券会社に入社し2年間営業職に従事。2007年法科大学院を卒業し、2008年弁護士登録。2009年SBI証券に入社し、法務部を経て経営企画部にて全社プロジェクトの推進・管理を担当。2011年SBIホールディングスに出向し、社長室長として主にグループ戦略推進、子会社管理に従事。2012年SBIマネープラザの立ち上げを担当し、同社の管理部門管掌取締役に就任。2016年1月にマネーフォワードに入社し、管理部門の立ち上げ、IPOの推進を行い、現職へ。

同 管理本部 法務コンプライアンス部 村井 結(むらい ゆい)
2010年リクルートに新卒で入社し、約10年間勤務。同社の営業・経営管理部門を経て、法務部門のマネジャーとして事業法務全般、M&Aの推進および法務業務のIT化へも挑戦する。坂のインタビュー記事に魅かれ、2019年7月にマネーフォワードに入社。事業法務全般やM&Aに加えコーポレート法務にも携わるとともに、2020年6月よりマネーフォワードシンカで法務を専門としたキャリアアドバイザーを務める。

※私の入社のきっかけとなった、坂のインタビュー記事は以下です!こちらも坂ワールドがさく裂しております(笑)

スタートアップ企業と大手企業は、システム開発と保守運用のような違いがある?

村井:そもそもスタートアップ企業と大手企業で、求める人材や向いている人材に違いはあると思いますか。

坂:システムエンジニアと似ているように感じています。システムを初期的に開発する人と、そのシステムをエンハンスしながら安定的に運用する人に求められる要件が異なる、というのと一緒ではないか、ということです。

村井:システムエンジニアですか?(どや顔をされているようにも見えるのですが、よく意味が・・・笑)

坂:人材要件としては、以下のような特徴があると思っています。これを法務に置き換えると、大手企業では、既にあるサービスやレピュテーションを守る必要があるので、コンプライアンスが単に法令遵守だけしていればよいというステップから成熟し、内部統制的な役割が必要になってきます。一方、スタートアップ企業、特にアーリーステージでは、(法律を守る以外に)守るものがないので、リスクをとって事業を進めることにコミットできる人が必要になってきます。守る人と攻める人という括りでいうなら、スタートアップ企業では後者しか必要ないと思っています。

【開発に求められる人材=スタートアップ企業の法務に向いている人材】(0からつくりあげる)創造性がある人、(日々要望が変化するので)変化を厭わない人、無理難題も含めた要求に耐えてコミットできる人、リスク判断ができる人
【運用に求められる人材=大手企業の法務に向いている人材】既存のシステムを安定的に動かすことができる人、(0からつくるより)既存のシステムの改善をすることが得意な人、無理難題に対してはNOといって安定稼働を守り切れる人、リスクを回避することに長けている人

村井:何もないところからつくりあげる企業とそこで求められる人、既にあるものを安定的に提供していく必要がある企業とそこで求められる人、というイメージですね。一方で、大手企業でも同じように、攻める法務も求められているようにも思いますが、スタートアップ企業の「攻める」とは違いはありますか。

坂:スタートアップ企業には守りに長けている人は必要ないように思いますが、大手企業の場合、守る人も必要といった方がより適切かもしれないですね。大手企業に攻める法務ばかりは要らないでしょう。確かに、大手企業でも、一事業部門や子会社において攻める法務が求められることはあり、その部門や会社はスタートアップ企業と変わらないのだろうと想像しますが、ホールディングスなどにおいては守りの部分が重要視されているように感じています。

村井:それはそうですね。また大手企業の一事業部門で攻めようとしても、最終的に、親会社や経営会議などで「待った」が入ってしまうこともありますね。自らリスク判断を行って攻めるのとは、一線を画すのかもしれませんね。

ひとりめ法務に求められるスタンス

坂:スタートアップ企業で、法務の体制が整っているということはまずないので、契約締結のフローやルールを整備するところから始めなければなりません。こういうことが好きな人はスタートアップ企業に向いている気がします。ルールに従うより、自分でルールを作りたい人

村井:坂さんはひとりめ法務でしたよね。スタートアップ企業でも、ひとりめの法務なのか、ふたりめ以降なのかで、求められるスキルないしスタンスは、異なってきそうですね。

坂:そうですね。一人体制の場合、経験をしたことがないような案件もすべて自分でやらなければならないので、そこに対して抵抗がなく、むしろ、チャンス!と思って楽しめる人であることが求められます。大手企業は分業が前提になり、例えば、法務の中でも労務は専属の担当がいて、所管としては人事が担っていたりすると思うのですが、当時は、全部私がやっていました。

村井:事業法務、資金調達、M&A、労務、訴訟、株主総会等のコーポレート法務、開示対応・・・一通りやっています!という方は滅多にいらっしゃらないと思うので、未経験の領域へのチャレンジを楽しめないと辛いということですね。

坂:法務や弁護士事務所として一部分を関わることはあっても、判断をして実行までやった経験となると、あまりいないでしょうね。

村井:確かに、大手企業の法務で、労務の担当になったとしても法的整理をするところまでで、対象の方へのコミュニケーションや関係各所への報告等までを法務がやるということはまずないように思いますね。

坂:そのため対人能力がより求められると思います。大手企業でも同様に対人能力はあった方がよいと思うのですが、一人体制の場合には分担ができないので(同僚や上司、周囲の関係部署も存在しないので)、全部の対応を自分でやらなくてはならず、対人能力が不可欠になってきます。労務案件などは本当に大変でした(苦笑)。

村井:労務案件などでは、法律解釈を精緻に行えるスキルより、その案件を解決、収束させられる腕っぷしの方が求められそうですね

坂:まさにその通りです。労務案件に限らず、スタートアップ企業、特に組織が小さいケースにおいては全案件において同じことが当てはまります。自ら判断・実行することができる胆力が求められますね

経営判断を自ら行う楽しさ

坂:経営判断は、当然、経営者が行うものですが、ひとりめ法務の場合には自ら判断しなければならないので、経営判断の原則(※)を体験できる面白さがありました。事実を収集して、事実認定を行い、事実に基づき合理的な判断を下す、という一連の流れです。合理的な判断に求められるのは、法務担当としてのリスク判断だけではなく、収益貢献なども含めた総合的・経営的な判断です。これは、ひとりめ法務ならではの楽しさであり、これが楽しいと思える人は、スタートアップ企業に向いているんじゃないかと思います。

※経営判断の原則:取締役の経営判断の当否について審理する際に、日本の裁判所において用いられている考え方。取締役がどのような判断をすべきであったか?というアプローチではなく「①経営判断の前提となる事実認識について不注意な誤りがなかったかどうか、②事実認識に基づく意思決定の過程が著しく不合理なものではなかったか」を審理する。

坂:経験的に、法務の人材には、2種類のタイプがいると思っています。自らリスク判断するタイプと、リスクを整理して判断を仰ぐタイプ(自ら判断することは避けたいと感じるタイプ)。スタートアップ企業、特にひとりめ法務に求められるのは前者でしょう。

村井:法務の人は、リスクに敏感だからこそ、後者=自らリスク判断することは避けたいと感じるタイプが多いようにも思います。ここは大きな分岐点かも知れませんね。ひとりめでないにしても、体制が整っていない分、スタートアップ企業の方が各担当の裁量権が大きい(大きくならざるをえない)ように思うので、リスク判断、それもリスクを取れる、清濁併せ吞んだ判断ができるような人が求められる傾向にありそうですね

その一方(大きな判断を求められる一方)で、細かい作業も全部自分でやらなければならないので「こんな仕事」と思わずに楽しめることも重要ですよね。坂さんも細かい作業、好きですよね?

坂:うん、大好き(笑)

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村井:(そんな笑顔で、はにかまないでください!笑)

スタートアップ企業で求められるSpeed

村井:よく言われるところですが、スピード感についてはどう感じますか。マネーフォワードで大事にしているcultureの一つにもspeedがありますね。

坂:(しばらく考えたうえで)確かに、speed感にも差はあるのかもしれません。前職では、当日〆切の案件というのはなかったのですが、マネーフォワードに入社したばかりのころに、金額規模も大きい超大手企業との提携契約書を「今日中にレビューしてください」という相談がありました。その時点では、案件自体も知らなかったので、びっくりしましたね。レビューしましたけど(笑)。スタートアップ企業、特にアーリーステージであればあるほど、相手方との力関係もあって、法務の都合や意思でスケジュールをコントロールすることはできないですよね。会社の命運がかかっているのに、法務で止めてましたというのはありえない

村井:私自身は、speed感の変化はそれほど感じなかったのですが、speedの要請に対するストレスがなくなったように思います。相手の状況が見えるので、むしろspeedを出したい!と。

結局大事なのは、スタートアップ企業に飛び込む勢い?

村井:ところで、坂さんがマネーフォワードのひとりめ法務になることを決めた最終的な要因は何でしたか。

坂:全く参考にならないと思うのですが、ひとりめ法務という認識もなく、(代表の)辻さんに誘われてランチをしたら、次の日に「いつ来るの~?」と連絡が来て、いつの間にか決まっていた、という感じでした(笑)。

村井:そうだったのですね。そういう意味では、勢いが大事なのかもしれないですね。深く考えずに「えい!」と飛び込めるかどうか。

坂:そうですね、結局、それが一番重要かもしれないです。村井さんがうちに来ると決まったときもびっくりしました。なんで来るのだろう?って(笑)

村井:確かに、今思えば、なんでだろうと思いますね(笑)※私の転職の時の話は、以下に記載させていただきました!

おまけ

インタビュー中に、通りかかった代表の辻が「何してるの~?」とひょっこり。これは絶好の機会!写真をパチリ📸。ふたりとも、とってもいい笑顔です。笑

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村井:そういえば、辻さんと坂さんの出会いは、マネックス証券で坂さんがアルバイトしていた時と伺いました。

坂:違う、違う、アルバイトじゃなくて契約社員なんだよ。は~、もう何度も言っているのに。僕は、マネックス時代、一番働いている法務の契約社員だったんだよ!

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村井:(そこ、そんなこだわりのポイントだったんだ・・・この場を借りて、訂正させていただきます。辻さん!坂さんは契約社員ですよ!!笑)

これを読んで、スタートアップ企業の法務に向いているかも?と思った方、スタートアップ企業の法務に興味をもっていただいた方がいらっしゃいましたら、ぜひ以下よりご連絡ください!また、マネーフォワードの法務でも坂や私と一緒に働いて下さる方を募集しております!Join us!

※キャリア相談会も、引き続き、開催中です!


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