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毎日超短話629「ガクアジサイのイヤリング」

イヤリングが落ちてる。ガクアジサイのイヤリング。そういえば昔、恋人にあげたっけ。と思いながら拾い上げると、ガクアジサイの真ん中に恋人の顔が現れて、「ハロー」と言った。ハローと返すと、恋人はにっこり笑った。

「それ」と、声をかけられたその人の耳の片方には、ガクアジサイのイヤリングが付いている。「ああ、あなたのですか?」とイヤリングを渡すと、その人はそれを耳に付け、「グッバイ」と言った。グッバイ。そう返したとき、真ん中から恋人がいなくなった。イヤリングは、揺れている。



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