毎日超短話201「悪魔のささやき」
もうダメだと涙も出ない夜に、悪魔がささやいた。
「おまえ、いま、悪魔のせいにしただろ?」
してない、と答えるけど、悪魔は「いーや」と首を振る。
「したな。ひどいな」
何も返せないでいると、悪魔は「イヒヒ」と悪魔っぽい笑い方をした。
「人のせいにも、自分のせいにもするな。悪魔のせいにしておけ。どうにもならないことは」
イヒヒとまた笑う。
そのとき涙がとめどなくあふれて、それが止まったとき、悪魔はいなくなった。
あいつは、もしかしたら、天使だったのかもしれない。
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