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毎日超短話70「年上の人」

プロフィールに「年上が好み」と書いてしまったせいか、わたしのマッチングアプリは何の通知もしてこない。なので、すっかりそのことを忘れて日々を過ごしていたのだけど、たった今、初めて通知がきた。

僕、年上ですが、お会いできますか?

わたしは「こちらで? それともあちらで?」と返事をする。

恥ずかしながら、こうして返事をするのが精一杯で、そちらに行く体力がありませんで。

わたしはそろそろかしらとぼんやり思う。年も年だし。亡くなった夫が心配して、こうしてわざわざアプリに返事をくれるのは、彼なりの優しさなのだろう。それでも、

「もう少し、こちらにいます。また会いましょう」

と返した。

90歳のわたしはまだ、年上の人をあきらめていない。

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