毎日超短話496「雪化粧」 #シロクマ文芸部
雪化粧するかなあ。と彼女が言って、そうだねえとぼくは答えている。空からは今まさに、雪が降り出したところだ。
「あたしさ、アイスバーンを滑るの得意でさ、学校行くとき密かにタイム図ってるさ」
雪化粧よりも、アイスバーンになるのを彼女は期待しているようだった。明日雪が積もったら、とぼくは言う。
「コーラをばら撒いて、コーラバーンにしてみない?」
「なにさ、それ。それで自己新出たら、ドーピングだわ」
なんてぼくらは笑った。
巻いたマフラーでふんわりとなる彼女の後ろ髪に、白い雪がチラチラと乗っかるのを見る。白髪になったらこんな感じか、というのを言うのはやめる、でも、白髪になっても一緒にいたい、それを言ってもいいか迷いながら、ぼくらはキスをした。
一年前の超短話↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?