見出し画像

ひきこもりの高校生のお宅から中継です

さて、今僕は
自分の家にはいません。

ではどこにいるのか。

そう、ひきこもり状態にある
高校生男子のお部屋に
本人と2人きり。

キーデザインで行っている
不登校の小学〜高校生向けの
家庭訪問プログラム。

プログラムと言っても

最初にあいさつをして
アイスブレイクで場を和ませて
体験の時間があって
そのあと対話の時間があって

というわけではありません。

今日が初めましてなわけですが
部屋に入って30分が経っても
まだ一言も会話はありません。

しいて言うなら

どばし「こんにちは〜。どばしで〜す。」

高校生「・・・・・」

どばし「あ、部屋にいてもいいかな?」

この瞬間に本人の顔が
縦に動いたことだけ。

「動いた」と言っても
「微かに動いた気がする」程度です。

その後は少し声を
かけてはみましたが
一瞬こちらの存在を目視で
確認しただけで
何も反応はないので
無理に会話はしません。

それで今、中継noteを
綴っています。

でもこの時間にも
細かな配慮が必要です。

会話はしないけれど
こちらの存在を認識し
ひとりではないことを
感じてもらうために

◯大きく音を出して息をしてみたり
◯たまに背伸びをしてみたり
◯角度的に本人の視覚にギリギリ入るところにポジションをとってみたり
◯あえて音が聴こえるようにスマホを少し強めにタップしてみたり

本人は外に出ないどころか
親と会話をすることもしません。

でも夜のご飯は一緒に食べるんです。
無言でも。

自分の部屋に他人が入ってくることも
とりあえずは受け入れるんです。

「何か」思うところがあるからです。

その「何か」をいつか
本人の口から
聴ければいいなと
希望を持っています。

ただそのためにはまず
本人に「どばし」という人間を
受け入れてもらう必要があります。

「この人だったら」って
思ってもらえるステージに
立つ必要があります。

そのためにこの時間があります。

会話はありません。

会話がないので
こちらが彼を強制することも
彼にプレッシャーを与えることも
ないんです。

今まで散々浴びてきた
大人や社会からの圧が一切ないのです。

彼にとっては不思議だと思います。

だって突然やってきた
苗字しか知らない他人が
勉強を教えるでもなく
話しかけるでもなく
ずっと横でスマホをいじってるんです。

彼の中のその不思議な感覚は
時間が経つにつれて
変容していくのだと思います。

どんな姿になっていくのかは
お楽しみ。

僕もわからない。
自分がしている関わり方も
正解なのかはわからない。

でも今、彼と出会って
彼の表情や仕草や空気を感じた僕には
これしか答えが出てこなかった。

これが正解かどうかが
出てくるのは数ヶ月後
いや、半年か1年か。

もしかしたら、もっとかもしれない。

ただ言えるのは彼には
家族でも先生でもない
ありのままの自分を受け入れてくれる
第三者の存在が必要だということ。

時間はかかりますが
丁寧に寄り添っていこうと思います。

今日の中継おしまい。

いつかこの中継が
できなくなるくらい
一緒に何かに熱中したり
ゆっくり気持ちを共有したり
そんな時間を
過ごせるようになるといいなあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?