見出し画像

セールスフォース日本法人は反LGBTQ講座販売などの副業したシニアマネージャーをクビにできるのか?

筆者は4月25日個人リンクトインおよびnoteで、アメリカ系IT大手・セールスフォースの日本法人、株式会社セールスフォース・ジャパンの危機管理部門の個人情報担当シニアマネージャー丸谷元人氏(本名・丸谷元)の「LGBTQ運動を調査」と称してのヘイトを公言するオンライン講座「『LGBTQ』の黒幕 -21世紀の新たな支配構造-」について伝えた。

【独自調査】LGBTQ平等うたう巨大企業で社員活動が監視されている?ヘイト公言マネージャーに会社は「当社の見解や賛意ではない」

このビデオ動画は現在、一般からのアクセスが遮断され、閲覧できなくなっている。(5月7日オンライン講座文字起こし

それ以来、筆者は、株式会社セールスフォース・ジャパンへの公開質問状(5月1日送付分5月8日送付分)を通して、丸谷氏がオンライン講座「LGBTQの黒幕」を販売するなど副業をめぐって伝えてきた。

セールスフォースのアメリカ本社では、2023年夏に人事トップのChief People Officerだったブレント・ハイダー氏が社内イベントでLGBTQ平等の価値観に反する発言をしたことが、オンライン経済メディアのBusiness Insider USにリークされ、のちに辞任に至った。

Salesforce chief people officer Brent Hyder is leaving, internal message shows

日本法人では、丸谷氏の反LGBTQ講座販売など副業を理由に退職させることはできるのか?

日本の労働法制では、副業を理由にした解雇は難しい。本来、副業は自由であり、会社が副業禁止を定められるのは、業務時間内の副業、本業に支障をきたす副業、情報漏洩する副業、競合他社での副業、社会的信用を低下させる副業など、本業への支障が大きい副業に限られる。即急に解雇すると、解雇権濫用法理により、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」(労働契約法16条)は、権利を濫用した不当解雇として無効となるため、会社は慎重さを要する。業務への影響が小さな副業、会社が知りながら黙認していた副業、解雇するほどに至らない副業は、解雇無効とされやすい。(参考:副業禁止に違反した社員を解雇できるか。「副業したらクビ」は違法?

仮に、対象者が管理職クラスで、会社に無許可で継続的にかなりの収入になる副業だったとしても、業務に支障をきたす問題があったことを立証できなければ解雇無効とされる場合がある。

とはいえ、丸谷氏の「反LGBTQ講座」販売などは、LGBTQ平等をうたう企業のイメージやカルチャーからしても実に好ましくないこと。会社はまず副業の停止を注意・指導、それでも続くようならば懲戒処分、場合によっては退職勧奨のうえで合意退職させることが考えられる。副業が軌道に乗っている場合は、合意退職に応じる可能性がある。

筆者が丸谷氏の反LGBTQ講座を伝えてから、反LGBTQ講座、丸谷氏の個人サイト、丸谷氏が運営するアルファ・リード社のホームページが遮断されたのが確認された。ただ、会社が丸谷氏に注意指導した結果なのかどうかは決定的でなく、断定しがたい。筆者の質問状に対し、セールスフォースからの回答はない。

丸谷氏が5月18日に行う、参政党の事業DIYスクールでの講義。参政党は反LGBTQの主張を掲げ続けている。

一方、5月18日に予定されている、参政党の事業DIYスクールでの講義を丸谷氏が行う予定には影響はない。講義内容が「ウクライナ/イスラエル=ガザ戦争、米国の分裂と報道、そしてプロパガンダ」という、一見LGBTQやセールスフォースの事業に支障がなさそうな話題であることで、影響はなかったことが伺える。だが、参政党が反LGBTQを掲げ続けるのであれば、丸谷氏が一度反LGBTQ講座を取り下げたとしても、将来同様の問題発言を繰り返す可能性はある。

解雇裁判の尋問で会社側証人

東京地方裁判所

5月22日10時から東京地裁で、同社を相手取った、危機管理部門マネージャーの地位確認訴訟の証人尋問が行われる。丸谷氏、丸谷氏の直属上司である専務執行役員I氏、危機管理部門マネージャーの直属上司が会社側証人として出廷する。それに対して原告である危機管理部門マネージャーは何を訴えるか。筆者は傍聴席に向かう予定である。

セールスフォース日本、役員のパワハラ申立てたマネージャーを報復禁止に反し解雇した疑い浮上。出社めぐっても対立…東京地裁で係争中
セールスフォース日本法人におけるセキュリティマネージャー解雇訴訟、証人尋問へ
その出社ルール、解雇目的の人事権濫用か―米系ITセールスフォース日本法人のマネージャー訴訟

【情報提供の呼び掛け】

セールスフォースにおけるLGBTQや平等をめぐる活動について、また危機管理などがどのようなものか、ぜひお聞かせください。些細なことでも、「記事にはしてほしくないが、伝えたい」という形でもお受けします。情報提供者保護を日々アップデートしています。 hasets2015@gmail.com または yuhase@proton.me にお願いします。(実名・匿名どちらも可)

よろしければサポートお願いします。サポートは100円、500円、1000円、任意の金額の中から選ぶことができます。いただいたサポートは活動費に使わせていただきます。 サポートはnoteにユーザー登録していない方でも可能です。