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「直感」文学 *空に浮かぶ風船*

 それは、大きな風船だった。ゆらゆらと揺れながら天に昇るさまは、どこか美しくもあって、私はその青い風船に見惚れてしまっていた。空よりも濃く、だけど曇り空に降る雨よりも薄い色だった。
 あの風船、どこで配っているんだろう?
 それが分かったからって別に貰いに行く訳でもないのに、私はそれが気になって仕方ない。それに、誰があの風船を手放してしまったんだろう。あんなに可憐な風船。私だったら絶対に離さないっていうのに。私だったら、その姿がしぼんでしまうまで離さないっていうのに。

 そんなことを考えていたら、私の視界に黄色い一つの風船が入り込んでくる。
 ゆらゆらと揺れるその姿はどこか美しくもあった。
 あれらは一体、どこから来たのだろう。

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