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「直感」文学 *弱い声は、深夜の静寂に消えた。*

 彼の母親が亡くなったと聞いたのは、深夜も0時を回った頃だった。

 「今どこ?……病院?分かった、すぐに行くから」

 私はそう言って電話を切った。

 いつも強気な彼の声だけど、電話の向こうにいる彼の声は消え入りそうなくらいに弱かった。

 私は急いで支度を整える。化粧をしている時間がそこに用意されていないから、仕方なくそのまま家を飛び出した。

 私は車に乗り込んで、暖房を強風に設定した。

 随分と冷える冬の夜。私は彼を元気付けてあげることが出来るだろうか。

 いや、どうしても、元気な彼を取り戻してあげたい。

 そう思いながら、私はゆっくりとアクセルを踏み込んだ。

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