「直感」文学 *静かで、暖かな夜に。*
夜は更けた。
こんな時間まで会社にいることも、いつの間にか習慣のようになってしまっている。
だけど東京にいる分には、いくら夜が更けようが、それはかりそめの夜のようで、あまりにも深い夜を感じられずにいるのが正直有り難かった。
きっと、今僕がいるこの周辺には、僕のようにまだ仕事をしている人が山のようにいる。そう思えて、変な連帯感みたいなものを勝手に感じていたりする。
東京の夜は、静かなのに、暖かかった。
僕がいた田舎とは違う。あそこは夜になってしまえば、静寂と冷たさだけを纏って僕を襲ってきた。
ここは違う。
そう思いながら、僕はいたすらにコンピューターにコードを打ち込んでいた。
東京の夜、そこに僕はいる。
*********************
その他短編小説はこちら↓
■古びた町の本屋さん
https://furumachi.link
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?