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【コラム】開かない自動ドアは、恐怖そのものだった。


 自動ドアってあるじゃないですか?

 あの「自動」で開く「ドア」のことです。どこにでもある、あの自動ドアです。

 ボクが子供の時、あの自動ドアってものが本当に怖かった。

 いや、別に挟まれたら痛そうとかそういうことではなくて、

 自動ドアの前に立って、それでも開かない時に感じる”恥ずかしさ”が恐怖だったのです。

 分かりますか?この気持ち……。

 子供の時って、あれ、身長だかなんだか分からないけれど、とにかく自動ドアのセンサーが反応しない時があるのですよね。だから子供のボクがあの目の前に立っても開かない時があるのです。

 そんでもって後ろから大人が来たりしたらそのドアは開いて、ようやくボクがそこに入れる(そこから出られる)訳で、それまでは立ち往生。

 いやしかし、別に入れない(出れない)から困るのではなくて、やはりそこにあるのは”恥”なんですよ。

 ”自分は自動ドアの前に立っているのに(確かに立っているはずなのに)、ドアは一向に開きもしない”という恥ずかしさ。自分という存在が無視されているような疎外感、から来る恥ずかしさ。

 これを子供の時に嫌という程感じました。

 何度も何度も感じているのに、それは一向に治癒されず、いつまで立っても恥ずかしいままだった。という感覚を、大人になった(自動ドアは間違いなく開く)今でも思い出します。

 もちろん今となっては自動ドアの前で立ち往生することもないし、その感覚も大分緩和されたように思います。

 しかし、これも完全に振り切った訳でもなく、

 今でもたまに自動ドアを通り抜けようとする時に、「このドア、ボクに反応しなかったらどうしよう……」と思ってしまう自分がいる時がある。

 まだ子供だったからいいものの、大人のボクに反応しなかったら、ボクはどのような行動をとってその場をごまかせばいいのだろう……。そう考えていると、少しためらってしまったりもするのです。

 なんとも情けない話ですが、これもボクの大切な思い出の一つです……。

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