「直感」文学 *「夢の中で消えようよ」*
「夢の中で消えようよ」
夢の中にいる僕に向かって、サユキはそう言った。
「消えるってなに?」
僕はただ、あまり深い意味も考えずにそう問いかける。
その言葉にどんな意味が込もっているのか、暗に潜められた真実は何なのか。そんな事いちいち考えてもいられない。だってこれは夢なのだから。
「ひとつ聞きたい」
サユキは僕の目を真っ直ぐに見つめ、言葉を続けた。
「もしかしてこれを夢だと思ってる?」
なにを当たり前の事を聞いているのだろう、そう思った。だってそうでもなければ、僕とサユキが崖の先端に立っているなんてシチュエーションが考えられなかったから。
「なにを言ってるんだ?」
僕はサユキに聞いた。そう、心の底から、〝僕たちはなにをしているんだ?〟
「約束したじゃない」
サユキの冷たい言葉が胸に刺さった。それは紛れもなく、真実に近い痛みだった。
きっとこの後に味わうであろう、真実の痛みなんかよりもっと深い痛みだったのだ。
***「たった一文の文学小説」出ました!***
詳細はこちら
KindleUnlimitedなら、「古びた町の本屋さん」の作品全て無料で読めます!
【音声配信】はみーらじお-どうでもいいこと喋ります
https://note.mu/yuhamakawa/m/mb3fde4ed499d
超短編小説集-1分以内で読み切れる作品群
https://note.mu/yuhamakawa/m/m0272f26838ec
一文文学 一文の中の物語
https://note.mu/yuhamakawa/m/m5fc22f0ae367
【コラム】小説とは関係のないこと
https://note.mu/yuhamakawa/m/m67a63a69fe32
【cinemee】おすすめの映画のこと
https://note.mu/yuhamakawa/m/mdfc8cf8a3a55