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「直感」文学 *「夢の中で消えようよ」*

「夢の中で消えようよ」

 夢の中にいる僕に向かって、サユキはそう言った。

 「消えるってなに?」

 僕はただ、あまり深い意味も考えずにそう問いかける。
 その言葉にどんな意味が込もっているのか、暗に潜められた真実は何なのか。そんな事いちいち考えてもいられない。だってこれは夢なのだから。

 「ひとつ聞きたい」

 サユキは僕の目を真っ直ぐに見つめ、言葉を続けた。

 「もしかしてこれを夢だと思ってる?」

 なにを当たり前の事を聞いているのだろう、そう思った。だってそうでもなければ、僕とサユキが崖の先端に立っているなんてシチュエーションが考えられなかったから。

 「なにを言ってるんだ?」

 僕はサユキに聞いた。そう、心の底から、〝僕たちはなにをしているんだ?〟

 「約束したじゃない」

 サユキの冷たい言葉が胸に刺さった。それは紛れもなく、真実に近い痛みだった。

 きっとこの後に味わうであろう、真実の痛みなんかよりもっと深い痛みだったのだ。

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