マレーシアの幼稚園と高校が繋ぐ教育の輪:質疑応答で見えたもの
マレーシアのLittle shine Islamic Playschoolから高校へ訪問団が来られました。幼児教育に関しては専門外ですが、やはり教育の基礎となる部分でもありとても興味があります。もちろん親としても。
このプロジェクトでお世話になった方からのご紹介です。
今回は、本校の宗教国際部長のはからいで、近くの幼稚園の園長先生にもお越しいただき、質疑応答を通して意見交換を行いました。その結果、見えたこととは?
幼稚園での評価方法?
マレーシアの幼稚園では、読み書きや算数、理科、英語といった教科があり、それぞれの年齢に応じてテストがあるそうです。そこで、日本の幼稚園ではどう評価しているのかという質問がありました。
日本の幼稚園の園長先生からは、そもそも日本の幼稚園は教科ベースではないという説明がありました。
「教科がないならどうやってカリキュラムを組むの?」と尋ねるマレーシア人の先生。確かに、教科がないということはどうカリキュラムを組むのでしょう。このあたりから、随分考え方が違うようです。小さな小学生という感じなのでしょうか?
私立小学校入試における子どもの評価例
評価といえば、日本では小学校入試でもあまり読み書き算数の試験という感じではありません。ざっくりと画像検索してみましたが、こんな感じ。
私自身、ほんの少しだけ私立小学校の入試に関わったことがあるのですが、思考力や判断力、手先の動きや大人スキルが問われるのであって、漢字がたくさん書けたり、計算が早い子どもを選ぶための試験ではありません。
例えばこんな試験です。
さらに、評価についてはこんな記述も。
ペーパーテストだけでないのはこんな意味があったのですね。
読み書き計算以上に大切なこと
日本の幼稚園でも、お勉強系やのびのび系、インターナショナル系などいろいろあります。私自身はガッツリ国語と算数の宿題が出る幼稚園に行っていたので、昔からその傾向はありました。ただ、そのお勉強系でも小学校のミニチュア版というのではあまり印象がよくないように思います。鼓笛隊に力を入れていたり、劇やアート制作もしますね。
真宗大谷派の幼稚園で大切にしていること
園長先生がおっしゃったこの言葉がとても心に残りました。
「一人一人に向き合うことを大切にしています。」子どもは一人一人違いますし、声のかけ方一つでも変わってくるそうです。
また、年長さんともなると、例えばお絵かきの時の画材も特に指定はしないそう。全員絵の具で描きなさいという指導ではなく、クレヨンがいいと子どもが思えばそれでいい。一人一人の子どもをいち人間として接しておられるんだなという印象でした。
以前、レッジョ・エミリアの先生の講演で聞いた言葉である「幼稚園は小学校の養成機関ではない」というのを思い出しました。日本の幼稚園もどちらかというと小学校の準備というイメージが強かったのですが、マレーシアと比べるとそうでもないようです。
昼寝の時間とタブレット?
他にも様々な質問が飛びました。昼寝の時間はあるのか、あればどのくらいか、など。その幼稚園では、昼寝をさせていると子どもが夜寝なくなって結果的にiPadなどで時間をつぶすケースが多いそうで、どんなアドバイスをするのかと尋ねられていました。
日本の幼稚園の園長先生はそれに対し、何時間という制限は設けていないものの、タブレットやスマホ依存にならないようにアドバイスはされているとのこと。これは世界共通の問題のようですね。
さいごに
外側から自分たちの教育を見ると、一段と理解が深まります。マレーシアの方とのやりとりの中で、教育に対する考え方の違いや、共通点を見ることができました。お勉強熱が高まるマレーシアにおいて、日本の良さが見直されているというのも嬉しいことです。
そして後から気付いたのですが、この幼稚園、"Integrated Islamic Japanese System - Learning Through Play"と銘打ってるではありませんか。驚きました。
また、今回のやり取りは、マレー語と日本語の通訳ができる方が来られていたのですが、英語で話してもほとんどの方が理解できていました。日本の通常の幼稚園で、英語でやりとりできる現場の先生はそう多くないと思います。その意味で、マレーシアの教育水準の高さを改めて思い知りました。
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