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採用は「アピール」よりも「聞く姿勢」

ども!@nakashimayugoです。

今回は採用を成功させるために、「アピール」よりも「聞く姿勢」が大切だという話を書きたいなと思います。はい。もう言葉の通りです。

私がお手伝いをさせていただく企業さんにはこのことを口うるさくお伝えしていて(バイアス前提で)実際に多くの改善の声をもらえています。

ただこの記事では具体的な方法論の紹介をするわけではなく、様々な採用施策を考えるためのディスカッションテーマとしての投げかけ(もしくは候補者とのコミュニケーションについて何かしら考える小さなきっかけ)になれば嬉しいなと思い筆を執りました。

採用は「アピール」よりも「聞く姿勢」

ディスカッションテーマとして投げかけたいこの「聞く姿勢」は"ヒアリングによる情報収集"ではなく一種の興味喚起やラポールの形成が目的です。

昨今は言うまでもなく売り手市場ですので、採用を「応募の獲得」と「選考」という2つのパートに分けるとするならば、前者の課題の比重が高まるはずです。どこも「いい人の応募が少ない」という課題を抱えているものと思います。

そしてこの課題に対して、より多くの候補者により早い段階からコミュニケーションをとろうという採用活動の流れが起き、結果としてそもそも自社を知らない/興味を持っていない人とのコミュニケーションが増えていきます。

このときに自社のことを知ってもらおう/興味を持ってもらおうと多くの企業が「アピール」に力をいれますが、「アピール」に力を入れすぎれば候補者は遠ざかります。これが本記事の主張です。

「アピール」とはなんぞや、「遠ざかる」とはなんぞや、前提条件はなんぞやといったことはこの記事では曖昧なまま進めますが、要は「売れない営業ほど話す時間が長い」、「モテない人ほど自分のことを語る」ということを採用に置き換えて考えたいのです。「自分語り」が主となる採用活動の中でこの方針は矛盾をはらみ、出しどころが難しくもあるのですが...

「アピールが足りなかった」、ではなく「聞く姿勢が足りなかった」と思考を転換してみる

「聞く姿勢」が重要だという主張は採用活動の部分的な施策でも採用全体でも言えることで、たとえばスカウトであれば「前年150%の成長で」「技術的な強みは〜〜で」と延々と自社のアピールを書き「ご興味お持ちいただければ」とカジュアル面談にお誘いしても私の経験上良い結果には繋がりにくいです。

またカジュアル面談やオファー面談とそれぞれのプロセスで自分達のことばかりを話し内定を出したとしても、「自分のことをこの会社は本当に理解してくれたのか?」といった不安から内定を辞退されることも多くなります。

これらは「アピール」が足りなかったというよりも「聞く姿勢」が足りなかったからだと思考の転換をしてみるとうまくいくことが多いです。

例えばスカウトであれば「ご経歴にある〇〇という記載について詳細を聞かせてもらえませんか?」と伝える方がよい結果であることが多いです。

同じく選考プロセス全体の中であれば、選考とは別に人事面談などを設け「ぶっちゃけウチの微妙だと思うことを聞かせてもらえませんか?」などと意見を聞いたり、現場社員から「〇〇さん的にこの開発どう思います?」など質問を投げかける機会を設けると「あの時に話せたから入社した」といった声も聞かれます。

これらは有名どころの「人を動かす」の「しゃべらせる」や、「影響力の武器」の「コミットメント」をはじめ営業系、心理学、はたまた恋愛や人間関係の本でも多く言われていることだと思います。売れない営業ほど話す時間が長い、モテない人ほど自分のことを語るという定説があるにも関わらず、意外にも採用では見落とされがちなことだと思っています

繰り返しになりますが、改めて「アピールが足りなかった」、ではなく「聞く姿勢が足りなかった」と思考を転換し、内定や選考を辞退された方やカジュアル面談を断られた方の話をしっかり聞いたのか、満足いくまで話してもらえる場をつくれたのか(ちゃんと傾聴したのか)といったことを考えてみてもよいのではないでしょうか。

(※話してもらうことをフックにした行動喚起と自己開示によるラポール形成では目的はことなりますが、ここでは本題ではないためそれらをひっくるめています)

論理と感情のどちらにも目を向ける

昨今は採用はマーケティングだとも言われ、マーケティングのフレームワークの対象を求職者としたコミュニケーション設計がよくあります。

私自身ここは得意領域ですが、ここで設計するのはあくまで「聞く耳を持つ人にちゃんと最後まで伝えられたら」という前提条件のもと作られる合理的な判断を促す内容です。

たとえばターゲットを決め自社の特徴を明確にしても、相手がそもそも聞く耳を持ち、熟考をして脳でカロリー消費をしてくれなければ意味がありません。

当たり前ですが、誰しも考えることは嫌いであり同じ情報でも「興味をもってから」しか理解しようとしてくれません。しかし採用では多くの場合「相手は話を聞いてくれるもの」「スカウトは読んでくれるもの」「条件が良ければ来てくれるもの」とも思いがちです。

つまり何が言いたいかと言うと、合理的な入社判断が下せるように自社の説明を設計することはもちろん大事なものの、刹那的な感情の揺さぶりや盛り上げがその前提条件にあるということです。

論理と感情のどちらにも目を向けられているのか、改めて各採用プロセスを見返したいです。

特に、まだ自社への興味が低いアプローチの初期段階ほど意思決定に与える感情の影響は強くなると考えています。仮に"入社したらどこよりもいい会社"だったとしても、誰も「報酬の推定値 × 受かる確率 - 選考に費やす時間価値」など合理的に考えないでしょう。「めんどうくさい」「興味がわかない」といった感情に対して、どう億劫さを排除するか、心理的なハードルを下げるかなどを考えなければなりません。

おわりに 「どの会社よりも話を聞いてくれた会社」を目指す

この記事では自社のビジネスモデルや成長性といった自分達の「アピール」ではないもので魅力づけ、興味喚起、意思決定を促そうという主旨を「聞く姿勢」と対比させて書いてきたわけですが、これは「相手を褒める」などの好意でもいいと思っています。

ただし、最近の市場感や採用プロセス上の情報量の少なさから(採用サービスで見れる内容が少ない、ありふれていることから)個人的には「聞く」が一番クリティカルなものだと考えています。

「聞く」という行為は本当に難しく、上記の「褒め」然り、単に「お殿様扱いする」「CX(候補者体験)を大切にして相手を気持ちよくする」するといったことにまとめてしまいがちですが、そこはもう一弾掘り下げて、「どの会社よりも話を聞いてくれた会社」を目指すと、より採用に強い組織になると考えています。

・スカウトでは「あなたの話が聞きたいから面談を」
・カジュアル面談で一方的な会社説明は候補者にとって苦痛でしかない。
・採用競合との比較時は「自分を理解してくれている認識」が足切りに。仕事の面白さ、給与条件はその足切りをクリアしてから。

自戒をこめて。

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