東京2020オリンピック聖火リレートーチのデザインと技術

東京2020オリンピックが近づいてきました。聖火リレーは来月からスタートということで、今回は聖火リレートーチのTech Structureを作成してみました。

図1

今回の聖火トーチは、デザイナーの吉岡徳仁さんによって企画されました。日本の伝統を感じさせる桜をモチーフとした聖火トーチは、職人魂や技術の結晶とも言われています。上記のTech Structureを見れば、吉岡さんが今回の聖火トーチを制作するにあたり、どのような課題を解決したのかを把握することができると思います。

興味深いのは、吉岡さんはデザイナーであり、課題解決策となる実際の技術を提供したのは他の企業であるという点です。東京オリンピックのオフィシャルサイトによると、トーチ制作者は以下のようになっています。

企画・デザイン:  吉岡徳仁デザイン事務所
トーチ筐体:    株式会社UACJ押出加工
素材:       株式会社LIXIL
燃焼機構:     新富士バーナー株式会社
燃料・燃料ボンベ: ENEOSグローブ株式会社

上記の各社がどのような点で貢献しているのかを先ほどのTech Structureの中で整理してみました。

図2

吉岡さんが全体の機能を設計(デザイン)しつつ、各社との連携を図りながら、それぞれの機能を実現するための技術を獲得したことが分かります。もう少し深掘りして調査すれば、なぜこの企業が選ばれたのか、といった点も明らかにできそうです。

昨今は、目的が曖昧な何となくのオープンイノベーションやコラボレーションが蔓延していますが、聖火リレートーチの制作事例は、明確な目的や構想を示すプロデューサーがいた成功事例のように思いました。
異なる組織に属する人たちと連携する際には、お互いの役割を明確化することが非常に重要です。Tech Structureで情報を見える化していくと、関係者間での認識を共通化できるので、連携を円滑化することもできるのではないでしょうか。


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