灰、燃滓のラストダンス
こちらに放たれる光。スポットライトみたいだ。小さな頃はバレエを習ってた。眩しくて客席は見えなかったけど、母さんが見てるって分かってた。
「ドローン、機械兵が8に戦車が1」
通信終了。相変わらず簡潔。何を企んでいるのやら。すぐ目視で確認。不吉な操り人形がモノアイを、巨大な戦車が砲塔をこちらに向ける。戦闘態勢。
嫌になっちゃう、と独りごちてマギ謹製の義足を触る。思い出から戻ってきたら、生きた観客は一人もいない。でもやってやる。
燃え尽きた灰色の義足が赤熱し鋭利なガラス細工に姿を変える。スラリとしたナイフ。瞬間、放たれたように飛び出した。
あの日、全て失った。死にかけでマギに拾われて、掃除屋をやってる、やらされてる。なぜ母さんが殺されたか、マギが私を助けたか、何も分からない。大きな何かが潜んでる。
王子様なんて待たない。これは私の物語だ。それが誰の掌の上でも。だから私は私に問う。ねぇ、綺麗に踊れてるかな。【続く】
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