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初めてのリアルお店屋さんごっこ : 独り言



お店屋さんごっこをするのに、
なが〜い なが〜い時間を使った。

でも過ぎてみると、
そんな沢山の時間を使った感じがしない。
「はてぇ?」
と、感覚的には何も残っていないのに、
部屋にはその残骸が散らばっている。

もし部屋に残骸がなくて、
綺麗に片付いていたら、
私の記憶的には何も起こらなかったことになるだろう。
だけど、
体だけは妙に疲労感があり、
「寝不足かな?」
と、勝手に頭は理由を作るだろう。

ただぽっかり、
なんか心に空洞が空いたような、
お祭りの後の
秋風が吹いたような感じと、
疲労感。



刺繍小物のお店


私の雑貨屋さん


雑貨屋さん風景



大繁盛…ではなかったけど、
愛する雑貨たちが、
誰かの手に消えて行った。


刺繍 刺し子 ダーニングは
それだけで時間がかかって、
作りたかった物すべては
作れなかった。
それどころか、
お店屋さんごっこの直前まで作っていた。

出店を手伝ってくれた友達は、
絵の展覧会も一緒にしていて、

「絵の時もそんなだったよね。」

「早やめに準備すればいいのに、直前までやらなくて、搬入ギリギリにわーってやってた。」

と、昔の記憶を笑い合った。
つまり、
私たち二人とも、いつもギリギリでわーっとしていたってこと😅


雑貨をテーブルと、イーゼルに並べながら、
「お店屋さんごっこみたいで、楽しいね😊」
と、二人で何故かワクワクした。


一番最初にやって来たお客さんは
子供だった。
いきなり私の前に立ち、
「これ下さい!!」
と言った。
私はビックリして固まってしまった。
だって、私の雑貨は、他の店のように数百円では売ってなかったから…。
固まった私を見て、子供は去って行った。

その日の売り上げは、一番最初のお客さんの対応で決まる…と、言われているのだそう。
私は0点だ😰
まぁ、仕方がない。私の中に、子供がお客さんと言う想定はなかったのだから。

でも、今度は、子供が友達を連れてやって来た。

「これ可愛いよね。」
「うん、このお店、いちいち全部可愛い。」
と、大人のような会話を繰り広げる。
「あ、お金が足りない。」
と、また去って行った。

大人は全く寄ってこないのに、
子供だけがやって来る。

どう言うこと?

でも、それは良いことに思える。
子供も大人になる。
これから先の方が、私の雑貨は売れるってことじゃないかな。

3回目にやって来た子供達は、
うさぎのポーチをそれぞれ買って行った。
「お金足りなかったから、お母さんからお金もらって来た。」
と、勝手に話し、
「このポーチ、ずっと欲しかったから。」
と言う。
そうかぁ〜。
私は、子供は大人の思うような生き物じゃなくて、ちゃんと大人とおんなじだと思っていたはずなのに、忘れていたようだ。
これからも、子供が憧れるものを作ろう。


それ以降、
私の雑貨は売れずにいたけれど、
友達がやって来て、
次々買ってくれた。
それは、
私の避けたい現状だった。
…けど、仕方ない。
初めってそんなものだろう。


午後になり、
一番仲良しの友達がやって来た。

「雑貨を作る人って、同じ雰囲気を持ってる気がする。…あ、同じ顔って事じゃないよ。」

そう言われて会場を見渡した。

「本当だ。」

面白いくらいに、アロマの人、占いの人、雑貨の人、売る物それぞれの雰囲気が違う。顔はみんな違うけど、アロマ屋さんはアロマ屋さんの、占いの人は占いの、雑貨屋さんは雑貨屋さんのそれぞれ特有の雰囲気を持っていた。

「だけど、みんなどの人も穏やかだね。」
と、友達が言う。
私は友達のこう言うところが好きだ。
なんて言うんだろう。
ただ通り過ぎずに面白い事を見つけて教えてくれる。
友達が教えてくれなかったら、会場を見渡すことなんてなかったろう。
みんなキラキラ✨の光を纏っていて、素敵なものを見た気がした。
私は笑ってしまった。
「アロマもそうだけど、雑貨を作る時、イライラして作ったりしないもんね。」
「そうだよね。キーっとして作ったりしないもんね。穏やかだよね。」
キラキラいっぱいのはずだ。
そして、
みんなそれぞれ、キラキラを買ってお家に帰るのだろう。



物を売ることで一番悩むのは
『値段』
だ。

私の場合、刺繍し、布を染めて、最後に形にするので、一個作るのに1週間かかる。
友達が
「時給1000円にしないとダメなんだよ。」
と言って、本当はそうなんだよね…と、思ったけれど、そんな事をしたら誰も買わない。
1週間の売り上げ1500円。
それも、売れたらだ。
でも、
本来は誰もが一律、時給1000円にすれば良いだけの事なのだが、誰か一人が価格破壊を起こすと、どんどん価格は下げざるを得なくなる。
適正価格が下がるのは一見、良いことのようだが、全く違う。
売り手側は長期で見れば自分の首を絞め、買い手側は、安い物をどんどん手に入れどんどん捨てる。決してお得な買い物をしている訳ではないのに、お得な買い物をしたような気分になるだけなのだ。

適正価格の本当に好きな物を一つだけ買う。本当に好きな物を大切にする。それが本来だろうなぁと思うので、私は手間がかかっても自分の作りたい物を作りたい方法で作っている。
価格破壊に乗ってはいるけれど、大安売りはしないようにしたい。

値段にも、その人が出るってことだ。

適正価格とか長々語ったけど、
お客さんは、
キラキラを買って帰る。
本当に好きな物を作って、
本当に好きだと思った物を持ち帰る。
そこにお金は介さない。
…それでいい気がする。



その友達は、出店を手伝ってくれた友達が
「売れなかったら、これが欲しい。」
と言っていたパックンポーチを買った。
友達が、
「これが欲しい。」
と言った瞬間、二人で「あ。」と思ったけど、表情には出さなかった。
出店を手伝ってくれた友達には、柄違いのポーチをあげると言ったんだけど、買うと言うので割引で売った。
私にとっては、どれも愛しい小物たち。
何を手に入れるかも、既に決まっているのかも知れない。何を手に入れるかも小さな運命なのかな。


愛しい小物たちが、持ち帰った誰かをニッコリさせてくれているだろうか?



今日は雨☔️

ぽっかり空いた空白の一日がいい。


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