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アイドルと共演NG

<参考資料>
日本加除出版「地下アイドルの法律相談」
深井剛志・姫乃たま・西島大介/著 
https://idol-horitsu.com

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寺嶋 podcast「アイドルと法律」!
この番組では、ソロアイドル11年目、フリーランスのソロアイドルとして働く、ゆっふぃーこと寺嶋由芙が、アイドルの労働問題に詳しい弁護士としてご活躍の深井剛志先生から、アイドルが知っておくべき法律を学びます。

日本加除出版株式会社から発売されている「地下アイドルの法律相談」著者でもある深井先生が、働くアイドルゆっふぃーに、アイドルが直面しがちな労働問題をわかりやすく説明してくれます。

整えよう、あなたの推しの労働環境!

というわけで皆様こんにちは。古き良き時代から来ました!まじめなアイドル、まじめにアイドル!ゆっふぃーこと寺嶋由芙と、

弁護士の深井剛志です。よろしくお願いします。

寺嶋 お願いしまーす。だんだんと「地下アイドルの法律相談」、あの本に載ってないテーマについてもお話ししていく感じになってるんですけれども。じゃあ、今日のテーマは。

深井 今日はアイドルと共演NGについて、というテーマですね。

寺嶋 はい。いるのかな、私。共演NG(゚ω゚)

深井 共演NGを出されたってことで、本人に伝えられることってそんなにないでしょうからね。

寺嶋 わかんないですよねえ。でも、あるのかな。わかんないです。

深井 うん、芸能界ではよくね、ネットニュースなんかで、ワイドショーネタでね、この女優はこの人とNGだとかよく出てきますけど、アイドルの問題になると、それが労働問題になるというのが僕の問題意識なので、今日はそのあたりを話せればなと思います。

寺嶋 共演NGが労働問題になるんだ。でもそっか、お仕事の幅を狭められちゃってるっていう意味では、なんとなく人権侵害されてるっぽいぞっていう感じがします。っていう話になるのかな。まず、じゃ、共演NGってどんなことですか?

深井 じゃあ、ちょっとですね、今日ちょっとややこしい話になりそうなんで、前の事務所とか新しい事務所っていう風に言ってるとちょっとややこしくなるので、名前をつけたいと思います。じゃあですね、まずアイドルの方も簡単ですけど、Xさんとしましょうかね。Xさんが所属してたアイドル事務所がA事務所。で、そこを辞めて新たに入った事務所をB事務所としましょう。で、前の事務所に所属しているアイドルグループをYとしましょうか。

寺嶋 X、Y…はい、大丈夫です、大丈夫です。

深井 はい。法律家ってね、XとYとかね、甲とか乙とかっていう言葉を使うんですけど、

寺嶋 XとYも使う!?

深井 XとYを使いますよ。判例集とかに載ってる用語だと、Xが原告、Yが被告ってのが結構ルールで決まってます。

寺嶋 へー。「容疑者xの献身」、関係ありますか?

深井 うん、ちょっと関係ない…あれは数学の話だからじゃないですかね。多分あれ、数学者の話ですよね?

寺嶋 数学者の話だった。

深井 Xが原告、Yが被告っていうことになるんですけれども、今日のそのXさんとYグループとかってのは、その原告、被告とはちょっと関係ない。

寺嶋 なので、ただの記号としてということで。

深井 で、どういう手法かということなんですけど。XさんがA事務所に所属してましたと。で、そこを辞めましたと。で、B事務所に移って新たにアイドル活動をしようとしました。そうしたところ、A事務所がB事務所に対して、もしくは、B事務所を使おうとしているそのイベンターさんですかね、企画しているライブハウスだったり、イベンターさんに対して「Xを使うんだったら、Y、もう出演させないよ」と。「だからXさんを使うな」という風に言ったりすること。それが共演NGですね。

寺嶋 前のグループと、元メンバーというか辞めた子を共演させたくないっていう意図なのか。

深井 それは、そうですね。Yグループしかいなければ、元同僚だったメンバーと同じライブに参加させたくないってことになるのかもしれないですけど。そのA事務所に、Yだけじゃなくて、Zとかね、もっとたくさんのグループがいた場合には、「そのグループ全部出演させないよ」っていうこともありますね。

寺嶋 それで、「それでもいいよ!」ってイベント屋さんが突っぱねてくれればいいけど、A事務所が人気アイドルをたくさん擁してる事務所だったら、Xさん、立場悪くなりそう。

深井 そうですね。だから、もし、そのA事務所の要求を断ったら、A事務所に所属しているYだったりZだったりね、そういった数々のグループもみんな出てくれなくなっちゃうと。穴が開いちゃうと。あと、そのグループが人気だったら、Xさんを使うよりはYを使った方がたくさん来てくれるということになった場合は、そのイベンターさんはどうするかというと、

寺嶋 Xさんに「ごめんね」ってして、A事務所の人たちを使う…

深井 ってことになりますよね。そうすると、Xさんとしては出演できなくなっちゃうという問題が生じます。

寺嶋 かわいそうだな、Xさん。

深井 そうですね。で、これ、いろいろバリエーションがあって。今のはもうすごいストレートなやり方ですよね。A事務所がそのイベンターさんに対して、「もう使うな」と。「Xを使うな」というふうに圧力をかけたら、それもうなかなかストレートな営業妨害になりますよ。

寺嶋 わかりやすいですね。

深井 だけど、あんまりそんなストレートなこと、普通はやらないです。

寺嶋 そうね。だって、そんなことしたら、「感じ悪!」って思われるもん、A事務所が。

深井 なので、よくあるやり方っていうか、僕がね、携わったケースで言うと、「Xさんを出すんだったら、うちのは出しません」と。それだけ言う。

寺嶋 「Xさんを使わないでください」までは言わない!?

深井 言わない。

寺嶋 なんか、その、交換条件というか、「こちらはそのスタンスですよ」ってことだけ言って、「あとはわかるよね?」ってするってことですか。やな感じ!!!

深井 うん。それだとストレートにXさんの営業妨害してるわけじゃないので、やっぱりイベンターさんの判断になっちゃうんですよね。

寺嶋 でも、イベンターさんだって、やっぱイベントやるからには人に集まってほしいから。収支考えたら、力のある方選んじゃう?

深井 そうですね。だから、その時に、Yグループだけじゃなくてね。Zとか、もうそういうグループたくさん抱えてる場合に、そのグループ全部を出そうとしてたのに、「Xを出すんだったら、それ全員出さないよ」ってなっちゃうと、イベント全体が回んなくなっちゃうから、イベンターさんとしては、もうXさんを断るしかなくなっちゃいますね。

寺嶋 それはXさん、やりようがないですよね。

深井 で、そうなると、基本的にはイベンターさんとしてはA事務所を優先することになるので、Xさんないし、B事務所ですね、B事務所のXさんが入ってるグループをお断りするというケースがほとんどですよね。

寺嶋 誰に対しての怒りなのかわかんないけど、なんか怒ってますね、今私は( •᷄ὤ•᷅)
でも、なんかそこで、A事務所は確かに意地悪だけど、「イベンター頑張れよ」みたいな気持ちもちょっとありました。今。

深井 うん、そこはね。

寺嶋 でも大変だよね、イベンターさんも。

深井 で、そこは気概のあるイベンターさん、僕過去に1回だけ会ったことがあって。僕が介入して、そのA事務所にあたる事務所と交渉してる時に、まさになんか共演NGをね、A事務所がかけようとした事例があって、その時はそのイベンターさんでA事務所の方、断りましたよ。

寺嶋 わ、素晴らしい!

深井 うん。あれすごかったなと思いますね。

寺嶋 確かにね。意地悪する人に乗っかりたくないですもんね。

深井 だから結構それはね、僕もすごいなと思ったしね。そのイベンターさんの方も、なんか確固たる声明みたいなの発表してたんで。

寺嶋 へえ!

深井 それはなかなかすごいなと思いましたけど。

寺嶋 そのイベンターさんがその後、嫌な思いしてないといいですね。

深井 そうですね。なんかちょっと、なんてイベントだったかも全く覚えてないので探せないですけど。だから、そういう風にやるので、たとえ、Xさんの依頼を僕が受けていて、A事務所にそのNGをやめろとか通知を出したり、警告をしたりしても、A事務所としては「いや、うちのを出さないって言ってるだけですよ」。

寺嶋 「あなたは勝手に出ればいいでしょう」ってことなの?

深井 「妨害じゃないですよ」というね、そういう言い方をされるので、交渉がうまくいかない、なかなか厄介な事例になってます。

寺嶋 そっか。露骨に意地悪して、証拠とか残してくれれば、「それはダメだよ」って言えるけど、なんかふんわり、こう、「あとはお察しください」みたいにされちゃうと。

深井 そうそう。

寺嶋 他にもそういう手法はあるんですか?

深井 うん。僕があった事例としてはそうですね、B事務所に対して、今度は圧力かけるやり方。「Xさんを使うんであれば、もしくはXさんの入所を認めるんであれば、あなた方のグループ、B事務所のグループと、A事務所のグループ…Yとかですかね、それをもう共演させないよ」と、そういう風に言ったりするやり方がありますね。そうすると、A事務所が出ているイベントに、B事務所のグループ出れませんから。

寺嶋 うん。

深井 共演NGになっちゃうと、B事務所はA事務所が出ているイベントに出れなくなっちゃうので、「それは困った」ということで、B事務所がXさんを入所させるのを拒否してくる場合ね。

寺嶋 頑張れよ、B事務所!!!

深井 それはね、ほんとに「B事務所、屈するなよ」って思いましたけどね。

寺嶋 でも、そうなのか。でも、今聞いてきた感じだと、A事務所、相当なんか強気ですね。

深井 やっぱりそういうことやる事務所って、それなりに力を持ってる。

寺嶋 そっか。

深井 有名グループを抱えていたりとか、あとはやっぱりグループの数が多いと、それだけそのグループ出せるっていうことなので、イベントなんかにもね、出演者の数が足りないとか、そういうことになりにくくなるので、やっぱり数持ってる事務所って強いと思いますよ。そういう場面で。

寺嶋 確かにそうですね。

深井 イベントさんとかね、イベンターさんとか、運営会社に対して、「Xを使うな」という風にね露骨に言うやり方以外にも、「(うちのを)出さないよ」と。「共演させないよ」と、それだけ言うことで、Xさんの活動を妨害するやり方。

寺嶋 ええええ。

深井 そういうやり方がすごく多くて、僕もちょっと対応に困ることが多いですね。

寺嶋 やりづらいですね。証拠もないし。

深井 じゃあ、証拠を見つけたとして、見つけることもあんまないんですけど、証拠があったとしても、じゃあ「うちが出さないって言ってるだけですよ」と。そういう風になることもやっぱ多いですね。

寺嶋 もう、そうなったら、そういう意地悪をされてるなって気が付いた、その使う側の人…イベンターさんだったり、メディアの人だったりが、「こんな意地悪言うんだったら、もういいよ、Xさんと頑張るよ、私たち」ってなるようにしていくしかないのかな。

深井 うん、そういう風にね。なってくれればいいんですけど…

寺嶋 なかなかね。

深井 うん。逆にね、そういう風な手法を使うA事務所みたいなやり方はおかしいっていうね、問題提起をしてくれると、非常にありがたいんですけどね、なかなか。

寺嶋 でも、そこまで、なんというか、親身になってくれるというか、「Xさん、一緒に頑張ろうよ」って、みんなを巻き込むのは大変なことだなっていうのはわかります。

深井 あとはね、やっぱりやっていて、すごくやりにくいなっていう風に思うのは、僕がA事務所に対して通知文、警告文出すじゃないですか。

寺嶋 はい。

深井 そうすると、開き直るじゃないんですけど、正当化してくる事務所もいて。「いや、それはXがいた元グループに、Xのこと嫌ってる子がいるんです」。

寺嶋 えー!

深井 元メンバーが「Xさんともうやりたくないです」って言ってるんですと。だからうちとしては出すわけにはいかないんです、とかね。

寺嶋 「今いるメンバーを守るためです」みたいな。

深井 そうそう、一緒にすると、嫌な思いするメンバーが多いから、Xと同じイベントに出れないって言ってるんです。だから出さないだけで正当な理由があるんです、みたいなね。そういう風に言ってくる事務所もありました。

寺嶋 それはなんか、「じゃあ出なくていいよ」って言っちゃいたくなるけど、出てくれないと困るって思う人たちがイベントを作ってるから、Xさんが「出なくてもいいよ、私が頑張るよ」って思ったところで解決しないですもんね。大変だ。

深井 うん。だから事務所はね、結構、なんかむしろ「共演させることなんて普通ないですよ」みたいなこと言ってきましたけど、円満に辞めてるケースであれば、大体その後も円満な関係で同じイベントに出たりとか、なんなら呼ばれたり(することありますよね)。

寺嶋 うんうんうん。今、アイドルすごく、「ここのグループ辞めて次はそこで頑張ってます」とか、事務所間の移動とかも多いじゃないですか。だから、今そんなにNGとかあんまないのかなとは思うけど、わかんないですよね。人によるというか、辞め方とか、辞める時揉めちゃったかどうかとかによるのかな。

深井 そうですね。今年に入ってからもNGの話で事務所とやり合ったことはあり。

寺嶋 じゃあ、全然あるんだ。

深井 ありますね。

寺嶋 まだあるんだー。なんで事務所はそういうことするのかな?

深井 その、共演NGするのかってことですかね。理由としてはですね、僕がやったケースで言うと、さっき言ったみたいに、元グループのメンバーが、元いたグループのメンバーが会いたくないとかね、一緒になりたくないとかって言ってる。そういうことをその理由としてあげることがあるんですけれども。それ僕言われたの1回だけで。そうじゃなくて、共演NGをしてくる事務所も結構たくさんあったんですよ。そうすると、その目的としては、なんか移籍制限の時みたいに、なんか投下資本の回収とか、そういうことも考えにくいですよね。投下資本の回収のために共演NGにするって、そうでないでしょうから。そうすると、もう目的としては、はっきり言って嫌がらせ以外のなにものでもないんじゃないかなと正直思って。

寺嶋 そうですよね。うん。「そんなことする方が悪い」って、みんなで思わなきゃダメですね。

深井 他になんか合理的な理由とか思いつかないですよね。ほんとにね、ほんとに、Xさんに当たる人が、もといたYグループのメンバーに、本当に嫌がらせしたりとか、パワハラすごいしてたりとかで、もうYグループのメンバーがXさんと本当にアウト。

寺嶋 具合悪くなるとかね。

深井 うん。そういうことがあるんだったら、多少はね、目的としては分かるんですけど、僕がやったそのケースはぜんぜんそんなことなかったんで。むしろ個人的に連絡も取ってるぐらい、元のメンバーとね。

寺嶋 元のメンバーとは関係が良好なのに、事務所が一緒にやっちゃダメっていうのか。

深井 そうですね。だから、そうすると、もうね、目的として考えられるのって、嫌がらせ以外にないんじゃないかな。

寺嶋 だよね、嫌がらせとかはねー、なんで嫌がらせするんですかね?

深井 だから、やっぱりね、円満に辞めてないから。少し嫌な思いさせてやろうみたいなね。

寺嶋 そういうとこだから辞めちゃうんだよ( •᷄ὤ•᷅)

深井 っていう風に思いますよね。円満に辞めたところでは、そうはならないですよね。やっぱりね。

寺嶋 そうですよね。そのあともご一緒したりとか、ありますもんね、きっと。難しいな。でも、「こっちは円満に辞めたかったのに…」みたいなこともね、きっとXさんからしたらあるでしょうしね。

深井 ただ、「円満に辞めてんだけどな?」って思う時もありましたよ。ちゃんと双方の覚書みたいなの作って、「ここで契約を解消しますよ」っていうふうにちゃんと書類作ってるにもかかわらず、なぜか移籍したら圧力をかけてくるっていうケースもありましたけど、

寺嶋 「そういうもんだ」と思ってるのかな。いつものパターンですけど。

深井 「共演はNGにするもんだ」?

寺嶋 そう、「移籍は制限するもんだ。共演はNGにするもんだ。」

深井 なるほど。移籍はね、その事務所、別にしていいって言ってた。

寺嶋 なんで共演だけダメだったんですかね?

深井 なんかあるんでしょうね。あとは、そうですね、契約の解除は双方の合意でしたと。だけど、「まさか違う事務所でアイドルやると思ってなかった」そういうケースもあるんですかね。

寺嶋 そうなのか。でもそういうのって辞める時に話しません?「次もやるつもりなんです」とか、別に話さないのかな?

深井 そのケースは、「体調が悪くなって、もう続けられなくなりました。なので、辞めたいです」って言って、合意でやめたんですよね。

寺嶋 でも、元気になったからまたやろうと思ったってこと?

深井 うん、そうなんですけど、その間がぜんぜん開いてないんですよ。辞めたらもうすぐに他の事務所に入ってやってるんで、じゃあ「なんなんだ、具合が悪くなったってのはほんとだったのか?」みたいな感じで。

寺嶋 それで、「なんでだよ」ってなっちゃったのか。

深井 かもしれないですね。もちろんその理由なんて相手に聞いてないですけど、その可能性はあるかなって思いました。

寺嶋 でも、どっちにしろ、今まで聞いてきたお話、いろんなパターンがあるけど、正当な理由があるんじゃなくて、気持ちの問題が大きいんですかね。

深井 と思いますけど。

寺嶋 うん。これはもう、解決する方法はないんですか?

深井 うん、さっきも何回かね、そういう話題になりましたけど、

寺嶋 売れて、見返すしかない?

深井 なかなかね、証拠を掴むのが難しいですよね。なんか、そういうのが残る形でね、メールとかそういうもので、事務所がイベンターに連絡してるものが残ってたりとか、そういうのって、普通あんまないと思うし。じゃあ、証拠があったとして、それを入手するの、難しいですよね。イベンターさんが、こっちに証拠を見せてくれないとわかんないですから。事務所にね、「そういう風にやったんだろう」って言っても、「証拠がない」で終わっちゃう可能性があるので、なかなか難しいですよね。だけど、僕がやったこととしては、やっぱり辞める交渉をね、A事務所に当たる事務所とやるんですけど、その中にちゃんと「妨害しない、共演NGなどをして妨害しないことにする」っていう風な条項を入れさせたりとか、

寺嶋 辞める時にちゃんと予防線を張る。

深井 そうそう、そうそう。あとは、共演NGをしてると疑われるケースをしていた事務所があったんですけど、そことね、未払いの報酬、ギャラの話で交渉した時に、「実はこういう問題もあるんじゃないですか」っていう風に言ったら、「いや、そんなことない」ってしらばっくれられたんですけど。「やってないんだったら、じゃあ約束できますよね」って言って、その、未払いの賃金を交渉するついでっていうか、過程で、最後の合意書の中に「もうそういうことはしないようにする」という風に約束させたことはあります。

寺嶋 そんなこと、わざわざ約束させなきゃいけないのが悲しいですね。

深井 本当はね、違法だと思うんですけど、それ、営業妨害以外のなにものでもないので。だから約束しなくても違法だと思うんですけど、約束させることで、ちょっと牽制というか。

寺嶋 うんうん。「これダメなんだぞ」って。

深井 うん、注意的に喚起させるというかね、そういったことぐらいしかちょっと今のとこないですね。証拠がばっちりあればね、もちろん「営業妨害で訴える」とか言えばいいんですけど、ないケースが多いので、なかなか解決しづらい。僕も悩まされてる問題の1つではありますね、これは。

寺嶋 法律的な問題としては、その営業妨害ってとこなんですね。

深井 もししっかり立証ができれば、「Xを使うな」という風に言ってる証拠がばっちりあれば、それはもう営業妨害になるので、Xさんから事務所を訴えるなり、損害を請求するなり、それはできるんじゃないかなと思いますね。

寺嶋 そうなんだ。その営業妨害がなければ生まれたであろう利益を損害賠償する?

深井 うん。

寺嶋 その損害、立証するの難しいですね。

深井 難しいは難しいんだけど、そういうことですね。

寺嶋 いや、大変だな。これってアイドル以外でもありますか?共演NGっていうと芸能のお仕事になると思うけど、「一緒に仕事するのNG」みたいな…普通の仕事ではあります?

深井 普通の仕事で会社員ってこと?

寺嶋 「あそこの会社と付き合ってるんだったら、うちの契約切りますよ」みたいな。

深井 あるんですかね。

寺嶋 なんかおっきな会社が、下請けさんとかに、「うちとやりたいんだったら、こことここの付き合いは切りなさい」みたいな。

深井 ありそうですよね。

寺嶋 うん、なんかありそうな気がしますよ。

深井 ありそうな気がする。いや、僕は弁護士の仕事として、そういうのに接したことはもちろんないんですけど、あるかどうかで言ったら、なんかちょっとありそうな雰囲気は感じる。

寺嶋 それ、対会社だから、もっと大変ですね。

深井 難しいですよね、なかなかね。「SMAPを使うんだったら、うちの他のタレント、おたくに出さないよ」みたいなことはね、やっぱりあったんだと思うんです。いや、そういうことで、SMAPが地上波から使われなくなったとか、週刊誌とかね、そういうのに使われなくなったとか、そういうことが、やっぱりそういった、そのSMAPの事例が、この問題を1番有名にした。共演NGっていうかね、「使わないように圧力をかける」っていう手法を有名にした事例なんじゃないかなという風には思いますけど…

寺嶋 それがアイドル界でも起こっている。

深井 だから、やっぱり大手がね、芸能の大手がそういうことをやってると…

寺嶋 「そういうもんなんだ」ってみんな思っちゃうのか。

深井 うん、「そういう手法が普通なんだ」っていう風に使っちゃうんじゃないですかね。

寺嶋 なるほど。なんかね、この話を…ずっといろんな話してるじゃないですか。これまで。契約のこととかって話してて、多分これ、私もだいぶいろんなことわかってきたし、聞いてくれてる皆さんもいろんなことを理解してくれてると思うんですけど、その輪を広げてって、めっちゃでかいところに到達させるまでに、私生きてるかな?みたいな気持ちになる時あります。

深井 ただね、やっぱり、じゃあ僕が子供の頃とかも、その前にね、はびこってた業界の慣習みたいなの、どんどん洗い出されていって、いい方向になってはいると思うんですよね。僕が弁護士になった直後ぐらいとか、芸能の仕事を受けたことありますけど、その時やっぱりまだね、契約書作ってない事務所とか結構ありましたけどね。最近はほとんどないですかね。

寺嶋 「契約書を作る」っていうことは。とりあえず浸透した。じゃあ次は、その中身をより良くすることをがんばる。

深井 ということになりますよ。

寺嶋 いや、ちょっとずつだな、本当に。でも、なんかこんな露骨なことをしたら、みんなにわかっちゃうのに、本当に圧力とかかけてたんですか?

深井 うん。SMAPの件が、ってことですかね。SMAPの件はね、よく騒がれていて。

寺嶋 なんかこう、使う側が気を遣っちゃったとかいうのもあるのかなって、私は勝手に思ってたんですけど、そういうことでもない?

深井 うん。それについては、もちろん、裁判になってそれが認められたとかね、旧ジャニーズがそういうことをしていたってことが裁判で明らかになったとか、そういうわけではないんですけど。

寺嶋 あ、わけではない。

深井 国の機関で、公正取引委員会という機関があるんですよ。

寺嶋 はい。

深井 その機関というのは、その公正な取引、例えばこの前も話に出た独占禁止法とか、そういった法律に反する取引とかを取り締まる国の機関。公正取引委員会いう機関があるんですけど、その機関が、旧ジャニーズに注意を出してます。元SMAPのメンバーに対して、「使うな」という圧力をかけたりとか、共演NGを出すことによって、元SMAPの活動を妨害するようなことをしていると、そういう疑いがあると。なので、旧ジャニーズに対して注意、指導をしております。だから、ある程度はそういう証拠があって、その事実を認定して、「そういうことはしないように」と、そういう注意をしたという経緯はあるんですよ。

寺嶋 国が動くってすごいな。

深井 そうですよね。だから、それなりに国が認めた、何らかの証拠もあるんでしょうし、で、結構悪質だという風に判断したので公取が動いたと、そういうことなんじゃないかなと思うんですよ。

寺嶋 でも、それは、すごくおっきな規模で活躍してた人だからであって、我々がそれに巻き込まれた時、公正取引委員会、来てくれますかね(´°ω°` )?

深井 うん、公正取引委員会は、「そういう事例があった時に通報してください」という窓口を設けていて、で、もしくはね、情報提供の窓口みたいなものも設置して、「こういう情報を求めています」みたいなページを作ってるんですよ、インターネット上にね。
で、そこに、匿名でも可能なんですけれども、情報提供したり、違反行為があると思われるものを申告したりとか、そういうことができるようになっています。

寺嶋 うーん、それは、その規模の如何にかかわらず、言っていっていい?

深井 そうですね、基本的に、僕自身はやったことないんですけれども、知り合いの弁護士さんがそういうの使って、そこまで有名じゃないない、舞台俳優さんとか、そういうことやってる方について、公正取引委員会に申告をして、活動妨害を認めさせて注意をしてもらったと、公正取引委員会から注意をしてもらったと、そういうケースはやってるっていう声を聞いたことあります。

寺嶋 そこから注意されたら、さすがに言うこと聞くんですか?

深井 そうですね、国の機関から注意されて、それ注意に聞かないで継続してやったら行政処分になりますから。

寺嶋 ええ!営業できない?

深井 営業できなくなったり、そういう対象になるんで。さすがにそれは聞かないっていうことは、僕は考えにくいんじゃないかなと思いますけど。

寺嶋 なんかこう、こういう仕事をしていて、その共演NGもそうだし、未払いとかもそうですけど、そういうことされると、なんか「舐められてる自分がいけないのかな」みたいな気持ちになるじゃないですか。

深井 はい。

寺嶋 で、結構こう、「見返すために売れるように頑張ろうね!」みたいな話になっちゃうことが多くて。「そうだよね(´°ω°` )」って思って飲み込んで頑張ってる子いるかもしれないんですけど、飲み込まずに頼っていい時もあるってことですね

深井 そうですね。匿名でもできるんで、弁護士に頼まなくても、自分で、「こういうことがありました」って書くことぐらいはね、できる子もいると思うんで、そういうの、どんどんやってもいいんじゃないかなって、僕は思ってるんですけどね。

寺嶋 そうですよね。

深井 それで、今ね、公正取引委員会という組織の機関の話が出たので、さらに話を進んで言うと、さっき言った、共演NGとかそういうことを言うことによって、退所したタレントに対して圧力をかけること、活動できないように圧力をかけること。間接的なやり方で、直接的にXを使うなっていうやり方じゃなくて、「Xを使うんだったら、うちの出さないよ」っていうやり方をする。そういう間接的なやり方であっても、それは営業妨害にあたると、独占禁止法に反するという見解を、公正取引委員会が発表してます。

寺嶋 へえ!

深井 うん。国の機関として、「こういう取引は独占禁止法に違反しますよ」と。いう見解を発表してますので。だから、僕なんかが、A事務所にあたる、移籍前の事務所に警告文とかを出すときは、「公正取引委員会はこういう風に言ってますよ」っていうことをちゃんと書くようにはしてます。

寺嶋 その意味と重要さが分かってくれる相手だといいですね。

深井 そうですね。だから、わかってる相手であればね、やっぱりさっきも言ったけど、合意書の中にそういう行動はしませんよと、認めて合意するケースもありますし。それで止まることも結構ありますよね。

寺嶋 そうなんだ。

深井 うん。「その後どう?」って聞いたら、「なんかそういうのなくなりました」って。

寺嶋 良かったね。

深井 (そう言ってた)アイドルもいましたし。ある程度はね、効果はあるのかなと思いますけど、困ってる方がいたらぜひ動いてみるのがいいかもしれません。

寺嶋 というわけで、今回はアイドルと共演NGの話でした。
ちなみに弁護士さんって共演NGありますか。弁護士さんってお互い選べないですよね?

深井 お互いって、その相手の弁護士をってことですか。それは選べないですね。

寺嶋 じゃあ、すっごい宿敵みたいな人が来ちゃっても頑張るしかない?

深井 そうですね。僕は労働問題が専門だっていう風に言ってるので、労働事件をよくやるんですけど。労働者側の事件をやるんですけど。逆にね、使用者側の労働事件ばっかりやってる事務所ってのもあって。

寺嶋 へええー、そりゃそうか。

うん。だから、僕がなんか裁判起こしたりとか、相手に受任通知書を送ったりすると、「またここが来たか」みたいな、それはあります。

寺嶋 やっぱりそうなんだ。

深井 「この事務所またか」みたいな。それはありますね。

寺嶋 でも、そっか。お互いに専門性を磨いていったら、そうなりますよね。

深井 そうですね。

寺嶋 労働者側として、使用される側として、何か相談したいってときは深井先生に頼めばいいし、使用してる側として相談するときは、深井先生の宿敵に頼めばいい。

深井 そういうことですね。

寺嶋 わかりました。はい。じゃあ、深井先生に相談したいことがある人はDM送っていいんですよ

深井 ね。はい。DM解放してますのでよろしくお願いします。はい。

寺嶋 そして、ゆっふぃーに話をしたいって思ってくれた方はinfoのメールに送っていただけたら対応させていただきますので、よろしくお願いします。
そして、この番組でお話したことはですね、noteで、後日公開予定ですので、よかったら見てください。補足情報だったり、収録を終えた後の感想を有料部分にコラムで書いてたりもするので、その辺も読んでください。
さらに番組で取り上げてほしい相談や番組のご感想などは、ぜひ #アイドルと法律 でツイートをしてください。今後もいろいろ拾わせていただこうと思ってますので、よろしくお願いします。

深井 よろしくお願いします。

寺嶋 それでは、今回もありがとうございました。以上、ゆっふぃーこと寺嶋由芙と、

深井 弁護士の深井剛志でした。

深井・寺嶋 ありがとうございましたー!



以下、有料部分では、深井先生がこの「共演NGの問題」を問題視している理由について改めての解説と、ゆっふぃーの経験談をお読みいただけます。加茂さんって本当にいい人です。

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