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アイドルと過激なサービスの問題点


<参考資料>
日本加除出版「地下アイドルの法律相談」
深井剛志・姫乃たま・西島大介/著 

深井剛志 X アカウント @TSUYOSHIFUKAI
https://twitter.com/tsuyoshifukai

寺嶋由芙 Xアカウント
@yufu_0708
https://twitter.com/yufu_0708





寺嶋 podcast「アイドルと法律」!
この番組では、ソロアイドル11年目、フリーランスのソロアイドルとして働く、ゆっふぃーこと寺嶋由芙が、アイドルの労働問題に詳しい弁護士としてご活躍の深井剛志先生から、アイドルが知っておくべき法律を学びます。日本加除出版株式会社から発売されている「地下アイドルの法律相談」著者でもある深井先生が、働くアイドルゆっふぃーに、アイドルが直面しがちな労働問題をわかりやすく説明してくれます。

整えよう、あなたの推しの労働環境!

というわけで皆様こんにちは。古き良き時代から来ました真面目なアイドル。真面目にアイドル!ゆっふぃーこと寺嶋由芙と、

深井 弁護士の深井剛志です。

寺嶋 よろしくお願いします。

深井 よろしくお願いします。

寺嶋 さあ、『地下アイドルの法律相談』を飛び出しての回、続いてますけれども、今日のテーマは?

深井 「アイドルと過激なサービスの問題」にちょっと言及しようかなと思います。

寺嶋 最近、取材受けてらっしゃいました?

深井 そうですね、週刊誌の方からこの問題で取材をしたいと、法的な問題点について聞きたいということで取材して、ちょっと小さいですけど、僕のインタビュー記事が載っております。

寺嶋 そういう、インタビューの時とかって事務所の人に見せたりするんですか?

深井 今回のは見せなかった。ちょっと内容がね、過激サービスの問題っていうのもあるんで、男に見せるんだったらいいけど、女性にはちょっと見せられないし、ちょっとね、男の人でもそういうのあんま見たくないよっていう真面目な弁護士も結構多いんで今回は言わなかった。

寺嶋 じゃあ、親御さんとかにも言ってない?

深井 言ってない。

寺嶋 そうなんだ、「載ったよ!」とか言わないんだ。

深井 言わないね。まあ、そうね。テレビに出るとかそういうのは伝えるけど、週刊誌のインタビューぐらいだったら、もうあんま伝えなくなったですかね。

寺嶋 なるほど。取材を受けられたということで、そのこともあって、ちょっとタイムリーなので、ここの話聞いていけたらなと思ってるんですけれども。過激なサービス?何から過激ですか?ツーショットチェキ撮るは大丈夫ですか?

深井 はい。それが、まず今行われてることで1番ポピュラーなことだと思うんです。

寺嶋 私もやってますけど…。

深井 チェキを撮るというのが法律違反じゃないかっていうことがね、騒がれた時期が一時期あって。

寺嶋 いつぐらい?

深井 2、3年前だったかな。確か。

寺嶋 気が付いてなかった!

深井 チェキ、違法なんじゃないかみたいなね、そういう噂がSNSを中心に飛び交ってた時期があるんですけれども。

寺嶋 なんでだろう。

深井 お客さんと近い距離で話したりとか、お酒飲んだりする、そういうところってあるじゃないですか。いわゆるキャバクラとか、クラブとか。そういうところって、ちゃんと許可を(公的機関が)出して、それで許可を得たら、そういう仕事ができると。そういう業態なんですよね。で、その根拠は、「風営法」と言われている法律にそういう風に書いてあって、「そういうことをやる場合にはちゃんと許可を得ないとダメだよ」ということが書いてあるんです。で、アイドルのチェキを撮るっていうのは、アイドルとツーショットチェキだったら、それなりに近い距離で写真を撮って、場合によってはね、なんか身体的接触があって撮るじゃないですか。

寺嶋 そうですね。ハートのポーズをするとか。手をつなぐ、腕を組むぐらいはする人もいるかもしれないです。

深井 ですよね。近い距離だと。で、その時に談笑なんかしたりして、そういう写真を撮るということになると、さっき言ったキャバクラだったり、クラブだったりと同じように近い距離で、女性から、異性間でそういうサービスを受けるというのと変わらないじゃないかと。そういうようなことで、チェキを撮るというのが、風営法違反じゃないかっていう風に言われていた時期があります。

寺嶋 結論はどうだったんですか?

深井 別に何かそれで裁判になったとか、そういう話じゃないんですけれども、僕の方もそういうのがあったということで、いろいろ調べたり、風営法の条文なんかを調べたりしたんですけれども、結論から言うと、風営法の条文に「接待をする行為については、その許可が必要である」と、そういう風に書いてあるんですね。じゃあ、その「接待」に当たるかどうかというのが問題になって。その接待に当たるかどうかっていうのが、どういう場合に当たるかっていうのは、警察が見解を示してるんです。

寺嶋 警察。

深井 うん。警察のホームページ見ると、確かに書いてあって、その警察のホームページの見解によると、「長時間、近い距離で談笑するなり、お酒を提供するなどして、そういうサービスを提供する、それが接待だ」と言われていて、「ごく短時間の挨拶や握手程度は接待には含まれない」と、そういう見解が書いてある。なので、チェキ会は、握手会もそうなのかな、そんな長時間じゃないですよね。何時間とかっていう。

寺嶋 10秒くらいだと思いますね。

深井 それぐらいの範囲で、社交的な挨拶とかそういうような程度。

寺嶋 社交的な挨拶なのか!私たちがやってるの(゚ω゚)

深井 その程度であれば接待ではないと、そういう風な見解だったので、その程度にとどまるのであれば、それは接待じゃないということになるので、おそらく、アイドルのチェキ会が風営法に反するとかっていうことはおそらくない。

寺嶋 よかった!

深井 と思います。なので、許可なしでやってるってことで、逮捕されたりとか、そういうことにはならないでしょうという風な結論を僕も出しましたし。ちょっとこの問題でいろいろ調べてみたら、過去にインタビュー受けたり、ブログの記事書いてある弁護士の先生も見受けられて、同じ結論でした。

寺嶋 よかった。安心しました。

深井 うん。なので、今やってる程度の…「程度」っていうとね、ちょっと悪いけど、今やってる範囲のチェキ撮影であれば、それは別に問題ないでしょうという風に考えます。

寺嶋 うん、良かったです。いや、そうですよね。でも、長い時間になっちゃったり、お酒飲んじゃったりするとダメ?

深井 お酒。そうですね。お酒を提供するってことになると、やっぱりその、社交的な挨拶とかそういうの超えるってことになるから、ちょっとまずいかもしれない。

寺嶋 なんか私、前にオフ会イベントというか、コンカフェ出勤イベントみたいな、飲食ができるお店にアイドルが出勤をゲストでしますっていうイベントの時に、「お客さんと話をしたりするときに横に座らないでね」って言われたんですよ。それをやっちゃうと違反になっちゃうから、あくまでも立って接客をしてほしいって。「風営法があるからね」みたいなことをその時説明された記憶が、もうずっと前ですけど、あるんですけど、それ関係あります?

深井 それはまさにその通りで、隣に座っちゃうと、「接待」にあたると。隣に座るって、通常の社交的な接触、日常の挨拶程度を超えた、長時間を見越した接触になるじゃないですか。隣に座ると。だから、そうすると、「接待」に当たるので、届け出が必要になる。だから、多分、おそらく、そのコンカフェは届け出をしてないんでしょうね。おそらくね。

寺嶋 多分、普通の飲食店として営業してる。

深井 であれば、普通の接客しかできないと。接待に当たる接客はできないので、そういうことはしないでねというふうに言われたんだと思います。

寺嶋 細かく決まってるんですね。

深井 そうですね。ちょっとこれは結構有名な話なんで知ってる人もいるかもしれませんけど、キャバクラは隣に座れるのに。うん、ガールズバーは座れないとかね。

寺嶋 へー!

深井 「なんで知ってんだ」とか言わないでくださいね(笑)。そういうことをね、聞いたことある人もいるんじゃないかなと思うんですけど。それはおそらくガールズバーはその届出をしてない。
ガールズバーはお酒が飲めるけど、風営法で営業してるわけじゃないから、隣に座って接待に当たるような長時間の接触のある接客ができない。だから正面に立って接客している。キャバクラはそういう届出をしているので、隣に座って接客ができる。多分そういう解釈なんだと思います。

寺嶋 なるほど。でも、ガールズバーとかにお目当てとか推しがいて通うお客さんって、隣に座ってもらった方が嬉しいですか?

深井 うん、そうなんじゃないですかね。

寺嶋 そういうコミュニケーションありきの営業を最初から考えてるなら、その許可(風営法の許可)とった方がいいんじゃないですか?ガールズバーも。

深井 それはおそらくですけれども、風営法の許可を取ってやる営業の場合、営業時間が決まってるんですよね。それをできる時間っていうのが決まっていて。たしか東京だと24時までだったかな、夜の。

寺嶋 夜の24時で終わっちゃうんですか?キャバクラ。

深井 確か法律ではそうだったと思いますけど。

寺嶋 もっと遅くまでずっとやってるんだと思ってました!

深井 で、地域によって、その条例でそれができる時間が違う。

寺嶋 そっか。法律と条例って違うんですか?

深井 法律と条例は違くて、法律は国が定める規則ですよね。条例は地方公共団体、都道府県だったり市だったりが定めるものです。だから、その土地に応じた規制をしたい場合には条例を定めるということになります。

寺嶋 東京だとオッケーだけど、他の地域だとダメなこととか、その逆があるってこと?

深井 ありますあります。それは。はい。

寺嶋 なんかご当地条例で面白いの知ってますか?

深井 ゲーム禁止条例。

寺嶋 香川県(゚ω゚)‼︎

深井 そう。

寺嶋 お、知ってる!ニュースになってました?

深井 それ、裁判起こした高校生がいましたからね。

寺嶋 どうなったんでしたっけ?

深井 確か判決が出て、「ゲームを禁止することは別に憲法に違反しない」と。その高校生は「憲法に違反する」っていう風に言って訴えてたんですけど。

寺嶋 何の憲法だろ。幸福追求権?

深井 幸福追求権に反すると。

寺嶋 そうなんだ!

深井 だけど、それは別に憲法には違反しないよという結論が出ています。

寺嶋 なんで香川県、ゲーム禁止にしたんだろう?

深井 なんですかね。やっぱ依存性が高いからですかね。よくわかんないですけど。

寺嶋 ご当地によって問題意識が違うんですね。

深井 そうですね。

寺嶋 何の話だっけ。

深井 条例によって、その営業時間を変えることができると。

寺嶋 そっか。

深井 その条例の営業時間の縛りがあるので、風営法の許可取っちゃうと、営業できる時間が短くなるから、おそらくガールズバーは風営法の許可を取らないんじゃないかなと思いますよ。ということですね。

寺嶋 長く営業したいから、今のスタイル飲食店っていうスタイルを…

深井 とってるのかなと思います。

寺嶋 何でも理由はあるんですね。

深井 そうですね。僕もちょっとあんまり知らなかったことなんで、この前の取材で調べてわかりました。

寺嶋 なるほど。ひとまず、チェキは問題ないということで、私は安心したんですけれども。
でも、深井先生が取材を受けた内容は、他にもいろいろあったんですよね。

深井 そうですね。チェキは問題ないということになって、じゃあ、その他のサービスで、過激サービスだという風にね、言われてるもので、「こういうのはどうですか?」って言われたものとしては、よく問題になるんですけど、「指チュー」ですか?

寺嶋 なんですか?

深井 指チュー、知らない?

寺嶋 指チュー、知らない(゚ω゚)

深井 直接キスをしちゃうとダメだから、指を間に挟んで、指越しにキスをするっていうやつ。

寺嶋 ええええええええええ!?!?どっちの指!?!?!?

深井 確かアイドルの…

寺嶋 あああああ!いや、どっちにでもダメだ。

深井 うん。そうなんだけど。

寺嶋 それは初めて聞きました。え。初めて聞いた。

深井 初めて聞いた?僕も取材受ける前から知ってたよ。

寺嶋 出会ったことなかった!

深井 そうなんですね。

寺嶋 「やって」って言われたこともないです!

深井 それは、言われたら断ればいいと思うよ。

寺嶋 うわあーあ。なんということでしょう!

深井 うん、とかね。あとはなんだろう。膝の上に座ってもらうとかね。男の人の膝の上に女の子が座ってもらうとか

寺嶋 でもそっか。今私、自分のことで考えてたけど、メンズ地下アイドルさんも今多いから。そうね。そっちパターンもあるのか!

深井 うん。逆ね。逆のパターンもありますね。特にメンズ地下アイドルの方は、過激なこと売りにしてるっていうところ、たまに見ますよね。

寺嶋 そうですね。なるほど…すごい世界だ…

深井 あとはこれ、チェキ会じゃなくてコンカフェイベントだったんですけど。ちっちゃい瓶に入ったお酒があるんですけど。ソルマックとかチョコラBBぐらいの大きさの瓶に入ったお酒があるんですけど、それをアイドルが口に咥えて、お客さんに口移ししてるかのように飲ませるみたいなことをやってる。

寺嶋 !?
アイドルが口に咥えるっていうのは、瓶を、お酒の出る方を外側にして咥えて、口からびょーって出てるみたいにするってこと!?

深井 そうですね。口移しみたいな感じで飲ませるっていうことをやったって聞きました。

寺嶋 …それは嫌じゃないんですか、アイドルは。

深井 嫌じゃないんじゃないですか、わかんない

寺嶋 だ、誰発信でどうしてそうなってるんだ?????

深井 そういうことをやったとか、そういうことが、僕のその取材を受けた記事にも書いてましたけど、そういうサービスをアイドル側のサービスとしてやってる、そういうことを取材で受けたんですよね。じゃ、そうするとやっぱりね、チェキとは全然話が変わってくるんで。じゃあそれはどうなんだっていう話に繋がってきますよね。

寺嶋 なんかだいぶ密度が…なんて言うんですか、密着度が高そうですけど。そういうのはまた違う法律に引っかかったりします?

深井 やっぱり、さっきの話で言うと、接待に当たらなければ風営法の許可は不要だと。

寺嶋 だけど、その指越しにチューしたりするのって「接待」なんですか?

深井 「接待」って言葉がね、普段日常的に聞く接待の意味合いとちょっと違って。

寺嶋 違うんだ。お茶出すとかじゃ、そういうんじゃない?

深井 長時間継続的に身体的ないし空間的接触を伴うサービスの提供が接待だから。やっぱりその肉体的な接触を伴うことになると、やっぱそういうのに当たる可能性は出てきますよね。

寺嶋 長時間じゃなくとも?

深井 うん。長時間じゃなくても。

寺嶋 撮影するときの一瞬だったとしてもってことか。

深井 うん。あとはさっき言ったように、なんか膝の上に座ってもらって抱きついたような格好をして写真撮ったりとかしてるケースもあったんで。そうなると肉体的な接触ってことになるので、やっぱり風営法に違反する可能性は出てきますね。

寺嶋 それって、違反したってなった時って罰せられちゃうのは誰なんですか?

深井 その行為をした人及びその主催者ってことになる。

寺嶋 じゃあ、アイドルもお客さんも運営さんもみんな?

深井 お客さんはされないんじゃないかな。そういう営業をすることを禁止する法律だから。

寺嶋 そっか。

深井 営業した側を罰するものですんで。だから、主催者側と、その行為をした人になるんですかね。

寺嶋 なるほど~。じゃあ、今、チェキの時のいろんな話を伺いましたけれども、ライブ中とかの話も、取材ではされてました?

深井 そうですね。ライブ中に過激な衣装で踊ってるのとか、もう勢い余って、なんかアイドルが脱いじゃったケースとか、そういうケースを例に出して聞かれましたね。

寺嶋 それはなんか、公然わいせつみたいな?

深井 そうですね、まず、その風営法の条文云々の前に、その公然猥褻ってものに当たるかどうか、というのが問題になりますよね。公然わいせつって、1番簡単な例で言うと、公共の場所で脱いでしまうとか、要は下半身を露出したりとか、そういうケースが、公然わいせつの典型例として言われてるんですけれども、じゃ、そのライブハウスなり、会場の中で脱いでしまうというのが公然と言えるかどうか、もしくはわいせつと言えるかどうかっていう、そういう問題になってきますよね。

寺嶋 はい。

深井 法律の考え方として、ランプの話をいつもしてますけど、「公然性があるか」っていう話と、「それがわいせつと言えるか」っていう話で。僕が受けた取材は、「水着で踊るのはどうですか」とか受けたんですけど、多分、水着だけだと、わいせつとは言えないんじゃないかなっていう風に思います、おそらく。で、ライブハウスで閉じられた空間でやったことが、公然性があるのかっていう問題は多分あるんですけど、多分それはクリアすると思う。

寺嶋 公然性がある?

深井 あるってなると思います。

寺嶋 だって、そんなつもりじゃなく、来てるお客さんだってきっといますよね。

深井 そうでしょうね。うん。じゃあ、水着を超えて、もうほんとに裸になるぐらいまで脱いじゃった。そういうケースがあるのか僕は知らないですけど、それだったらおそらく公然わいせつの可能性はあるでしょうね。

寺嶋 公然わいせつだと、脱いじゃった人が捕まる?

深井 うん。それは脱いじゃった人が捕まります。

寺嶋 てことは、アイドルが捕まっちゃう!

深井 はい。その場合はね。

寺嶋 運営が脱がせた場合はどうですか?

深井 それは「共犯」ってことになりますよね。そのアイドルにそういうことをやらせた。「教唆犯」とか、「共犯」ということになると思います。

寺嶋 なるほど。会場を提供してたライブハウスは?

深井 それは、会場側がそういうことをやるってことを知らなかった場合は罪にならないですね。

寺嶋 むしろ被害者ってとこもある?

深井 そうですよね。だから、それやったせいで、例えばなんらかの処分を受ける可能性あるんですよ。今の話って公然わいせつの話ですけど、そういう、脱いでダンスを提供するとかそういうのも風営法で規制されてて、いわゆるストリップ劇場みたいな、そういうことをやる場合も風営法の許可がいるんですよ。でも、そんなことやるなんて、当然ライブハウス思ってないから、許可なんか取ってるわけないわけで。にも関わらず、アイドルがそういうことをして騒ぎになったと。で、そのストリップ的なことをやる許可なんか取ってないじゃないかということになれば、もしかしたらそのライブがハウス側も処分されちゃうかもしれない。

寺嶋 そうですよね。そしたら、アイドル側の行為で被害を被った、むしろ被害者ってことに、ライブハウスがなりますよね。

深井 おそらく。多分損害賠償とか請求できると思いますよ。処分とかされたらね。

寺嶋 (この番組で取り上げた)今までの話は、アイドルが被害者になる話が多かったけど、加害者になっちゃうこともあるってこと!

深井 それをね、もうほんとに事務所がね、「そういうのやるな」とか、ライブハウス側が「やるな」って言ってるにも関わらず、アイドルがなんかノリでやっちゃったりとかしたら、それはもう、加害者側になる可能性もあります。

寺嶋 そういうことも考えて、なんかこう、奇を衒った方が話題になったりとか、もしかしたら、ほんとにサービス精神なのかもしれないけどね、「自分を大事にね」っていう気持ちと同時に、「周りを大事にね」っていう気持ちにもなりますね。

深井 そうですね。お客さんが喜ぶから、それで儲けが出るからいいっていう、それだけじゃないですからね。もちろん、そういうことが法律に反するってことになったら、自分の身も危うくする可能性はあるので。

寺嶋 逮捕されちゃったりしたら大変なことですよ。

深井 公然わいせつをしたら、逮捕される可能性ないと言えないです、はっきり言うと。

寺嶋 そうですよね。いや、そこまでリスキーなことだっていうことを1回立ち止まって考えた方がいいかもしれない。

深井 そうですね。チェキ会とか握手会なんですか、そういう特典会の時に、結構過激なサービスしてる例をさっきあげましたけど。抱き合ってるとかそういうんだったらいいですけど、ほんとに、なんか、ちょっと卑猥なポーズをお互いにとってるとかね、そういうこともあったみたいなので。それだと、その行為自体がね、公然わいせつ。

寺嶋 そうなんだ!

深井 と言われる可能性、ないとは言えないので。そういうリスクもやっぱりちょっと考えた方がいいのかなと思いますけどね。

寺嶋 そうですよね。なんかこう、どっかでちゃんと止めないとっていうのはありますね。

深井 うんうん。

寺嶋 ちなみに、公然わいせつって、さっきライブハウスでも成立するって言ってたじゃないですか。1対1でも成立します?

深井 いや、公然性がないと成立しないので。

寺嶋 1対1で、なんか急にその、裸になられちゃったとか、セクハラというかなんというか、みたいなことって何になるんだ?

深井 それだと多分犯罪にはならなくて。

寺嶋 ならないの!?

深井 いや、裸を見せられたってだけであれば、多分ならないですよ。

寺嶋 そうなんだ。

深井 犯罪には。

寺嶋 それがすごく、「ギャー!」ってなっても?

深井 うん、だから、それは民事的なね、セクハラで精神的苦痛を受けたってことで、慰謝料の対象にはなると思いますけど、1対1で、他に誰もいない個室で裸になられたってことであれば、それは犯罪にはならないです。裸になられただけであればね。それ以上の、なんか強制わいせつとか当たるようなことされたら別ですよ。

寺嶋 ふーん。じゃあ、あくまでもこのアイドルの話で出てきたのは、公然性っていうところがアレ(問題)なのか。

深井 そうですね。公然性があるから公然わいせつになるということですよね。

寺嶋 こう聞くだけで結構、「なんでそんなことに」ってなるような事例が今日は多かったんですけれど、今のところ逮捕者とか出てない?

深井 一応、今年だったかな、今年の初めぐらいにメンズ地下アイドルの運営と、そのアイドル本人ですかね、確か。が、ファンに身体的接触というか、触ったりするようなことをしたということで、それは、「不同意わいせつ」、昔の条文言うと、「強制わいせつ」って言うんですけど。今「不同意わいせつ」って変わったんですね、それで、逮捕に至ったケースがありますよね。だから、逮捕全くされないってわけじゃなくて、サービス中にね、チェキ会だったのかな、その時は。そういう行為すると、当然ね、不同意わいせつとかに該当して逮捕に至るケースもあると。そういうことはあります。

寺嶋 「逮捕されるかもしれないからやめときなよ」っていう言い方も違うと思うけどね、「そういうことはあるよ」っていうのは知っとくべきですね。

深井 そうですね。その他にも当然、そういうサービス売りにしてるグループね、僕も見聞きはしたので。まあ、そのグループだけじゃないんだとは思うんですけれども、やっぱり警察の方もね、密室で行われている証拠のないそういう行為を全部取り締まったりするのはやっぱ難しいので、一斉摘発とかそういうことにはなってはいないですよね。

寺嶋 なってない!そうですよね、だってやられる側が嫌だったら問題になるけど、ファンだから。むしろ、嬉しくてそれ目当てで通っちゃうとかなったら、なかなか摘発されにくい、気がつかれない。

深井 外の人に気がつかれないで暴走しちゃいますね。

寺嶋 そうね。

深井 告発する人がいませんからね。おそらくそのメンズ地下アイドルの事例は、おそらくファンの、その場合女の子だったんですけど、ファンの女の子が多分、被害届かなんか出したんじゃないかなって思いますけどね。

寺嶋 ほんとに「不同意」だったんですね。

深井 でしょうね。おそらく。

寺嶋 ふーん。…「強制わいせつ」って「不同意わいせつ」になったんですね。

深井 うん。「強制わいせつ」っていう条文の名前じゃなくて、「不同意わいせつ」って名前になりました。

寺嶋 でもそれ、すごく的確ですね。

深井 そうですね。これまでは暴行ないし脅迫っていうか、そういうものがないと強制わいせつってのは成立しなかったんですけど。それだけじゃちょっと処罰が不十分になるでしょうってことで、不同意わいせつというものに変わりました。

寺嶋 やっぱ同意がないとダメですよね、何事もね。というわけで、今日はアイドルと風営法についてお話を伺いました。
この件含め、そうじゃなくても何か深井先生に相談したいっていう方はDMしていいんですよね。

深井 はい。DM解放してますので、DM送っていただければと思います。

寺嶋 はい。そして、番組で取り上げてもらいたい匿名相談がありましたら、こちらも深井先生にdmをお願いします。

深井 はい。

寺嶋 そして、いきなり弁護士さんは緊張するので、っていう方は私にご連絡いただいても大丈夫です。infoにメールアドレスが載っていますので、そちらからご連絡ください。この番組でお話ししたことは後日noteで公開予定です。

noteには、この収録を終えての私の感想だったり、深井先生からの補足情報だったり、割とボリューミーに載ってますので、ぜひそちらも読んでみてください。
この番組のご感想は「#アイドルと法律」でぜひツイートしてください。
そして、更新のお知らせとかを拡散していただけるととっても嬉しいです。はい。

深井 よろしくお願いします。

寺嶋 お願いします。それでは、今回もありがとうございました。ここまでのお相手は、ゆっふぃーこと寺嶋由芙と、

深井 弁護士の深井剛志でした。

深井・寺嶋 ありがとうございました~。






以下、有料部分では、今回の話題から派生した「デジタルタトゥー」の問題についての深井先生のご意見と、ソロ活動以前、過激なサービスが話題になっていたグループでの経験を踏まえたゆっふぃーの感想をお読みいただけます。

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