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夕月
2024年8月31日 21:16
<此山、夜間通るべからず。掟を守らざる者、立ち所に鎌鼬に喰われるであろう> 侍の国のとある山の入り口に、いつからかそんな御触書が出されていた。夜にこの山を通る者は皆、鎌鼬に喰われて一人として帰ってきた者はいないという。「人を妖怪呼ばわりしやがって」御触書を鼻で笑いながら、葉巻を吹かすこの男こそが『鎌鼬』だ。本人にとって名前などはどうでもよかった。「ま、そんなことより修行だな。さァて、
2024年8月8日 23:16
「おはようございます、ウキグモさん〜。今日もいい天気ですね」「何がおはようだ、こんなに高く太陽が上ってるってのに」カトレアは自警団団長のウキグモに挨拶をするが、早速呆れられてしまう。時計を見るともうすぐお昼になろうかという時間である。 カトレアは非常にマイペースだ。出勤時間や集合時間を過ぎたり、ギリギリだったりは日常茶飯事だ。時間感覚が曖昧なところがあるようだが、本人はあまり気に留めていな