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発達心理学についてざっくり学ぶ

ざっくり心理学を学ぶマガジンにて、心理学に隣接する学問を書籍「高校生に知って欲しい心理学」に沿いながら、6回に分けて心理学に関する学問について学んでいます。

前回は、『社会的存在として人間の心理や、その相互作用を研究する学問「社会心理学」』についてざっくり学びました。

ヒトは社会との関わりによって、どのように成長してどのような一生を過ごすのか。

「ヒトの成長の仕方は生まれつき決まっているのかどうか」、それとも「個人の意思や経験によってどのように変わるのか。」ヒトの心の発達についてざっくり学んでいきます。

■ 第3章の構成
第1節 脳からこころを探る (生理心理学)
第2節 認知心理学にAttention Please! (認知心理学)
第3節 社会の影響を科学する (社会心理学)
第4節 ヒトの心の発達を理解する (発達心理学)
第5節 社会や集団における心理を理解する (産業・組織心理学)
第6節 こころを測る (心理統計学)
- 引用: 高校生に知ってほしい心理学

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第4節 ヒトの心の発達を理解する (発達心理学)


1.発達心理学


・発達とは何か

発達とは、人間の誕生から死までの間に生じる量的。質的な変化のこと。発達心理学は、現在子供から成人期以降の加齢(エイジング)を含めて生涯の間続く過程だと考えられています。

※発達心理学は以前まで、児童心理学と呼ばれていたこともあり、多くの研究では「子供から大人になるまでの過程」を検討されてきた。


・発達的認識論

発達心理学の中でも代表的なビアジェの理論。ジャン・ピアジェとは、スイス生まれでパリ大学で児童心理学講座の教授を務めた心理学者。子供は「大人と異なる考え方」を持つことを発見し、発達的認識論を提供した。

■ 発達的認識論 概要
子供の認知的発達を4段階に分類

a.感覚運動期 (出生〜2歳頃)

・自己と他者の区別が十分にできない状態
・感覚と運動との関連を理解するため、乳児は眼にした対象に手を伸ばしてそれに触れたり、口に入れたりといった行動を何度も繰り返す(循環行動)
・乳幼児には対象の永続性が獲得されていない

※ 対象の永続性とは、自分の視界にはない(見えない)対象でも存在し続けていると認識する能力のこと。世界に存在しているモノであり、たとえば母親の姿が見えないことはこの世界に母親が存在しないことと同じになる。

b.前操作期(2歳〜7歳まで)
・対象の永続性を理解し、イメージや言語的表象も使用可能に
・子供は眼の前にいない家族や知っている人を思い浮かべてその人を模倣するごっこ遊びやおままごとをして遊ぶようになる
・自己中心性の心理から、自分の見方からしか答えられない
・思考はまだ近くの影響をうけているため、その対象を見たままに直感的に理解することしかできない

c.具体的操作期(7歳〜11歳まで)
・論理的思考が行うことが可能になる

d.形式的操作期(11歳以降)
・大人とほぼ同等の認知機能を獲得
・平和や愛情といった抽象概念を理解
・論理的思考の一つの仮説演繹的思考が可能になる


2.青年期のアイデンティティ


・自我同一性(アイデンティティ)

発達心理学者であり、精神分析家でもあるエリク・H・エリクソンが「自我同一性(アイデンティティ)」という概念を提唱した。

■ 自我同一性とは
「自分とは何者か」という問題に対して自らがもつ感覚だとされており、エリクソンは自我同一性を確立することは青年期に獲得すべき発達課題であると指摘した。(Erikson, 1950)


・斬成的発達理論における個体発達文化

■ 斬成的発達理論
・ヒトの発達は乳児期から老年期まで8つの段階に分割
・それぞれの発達段階で相反する22つの感覚による葛藤から、心理的危機が経験され、その解決がもとめられると考えられている
・エリクソンの自我同一性という考え方は、このうちの青年期の発達課題が広く知られるようになったもの

■青年期の発達課題の例(自我同一性VS同一性の混乱)
自分とは何者か、自分はいかに生きるべきかという問題になんらかの答えを出すことが青年期には求められる。これは、多くの若者にとって非常に大きな問題のため、しばしばこうした決定をするまでの猶予期間(モラトリアム)としての役割を持っている。しかしこうした葛藤をいつまでも回避し続ければ、自らの社会的役割をみいだせなくて混乱します。こうした状態は、「同一性の拡散」と呼ばれる。

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乳児期(基本的信頼VS不信)

「周囲の人を信じても大丈夫だ」という信頼感が不信感を上回ることができるか

幼児前期(自律性VS恥)

身辺自立の必要に迫られる中、自律性の感覚を身に付けることができるか

幼児後期(自発性VS罪悪感)

自分が世界(他者)に対して積極的に働きかけていけるかどうか

学齢期(勤勉性VS劣等感)

学業などの社会的に価値づけられたものに、いかに高い動機付けを持って取り組めるのか

青年期(同一性VS同一性拡散)

「自分はこんな人間だ」ということを知ること。他者からの客観的な視点とどのようにバランスを取ることができるか

初期成人期(親密性VS孤独)

いかに異性との間に成熟した信頼関係を気づくことができるか

成人期(世代性VS停滞)

自分自身の関心に没頭する「停滞」よりも、世代性が上回る場合に「世話(ケア)」が活力として得られるか

高齢期(自己統合VS絶望)

今までの自分の人生を総合的に評価し直すという営みを通して、自分の人生を受け入れて、肯定的に統合できるか

引用:【保存版】エリクソンの発達段階・発達課題とは?ライフサイクル理論まとめ


3.老年期における回想


・老年期の発達時期で明らかになっていること

エリクソンの理論では「老年期の発達課題は(自我の)統合 VS 絶望という葛藤を解決すること」だとされている。「統合」という概念はエリクソンが述べている中でも特に複雑でわかりにくいものですが、様々な喪失体験や近づく死への怖れから絶望に陥ることなく、自分の人生をかけがえのないものとして受容すること。高齢者が自我の統合を達成するための具体的な行為は、それまでの人生を振り返って批判的に検討することだといえる。


・Life review(ライフレヴュー)

老年期の回想する行為は、過ぎ去った人生を振り返る非生産的な行為だと考えられていたが、アメリカの精神医学であるバトラーは「過去の未解決の葛藤を解決するように促す自然で普遍的な重要な心理的プロセス」だと提唱した。

今日回想法は、高齢者に対する対人援助手段のひとつとして日本のみならず世界各国で広く実践されている。またこれまでの研究では、回想法は抑うつ感情の軽減や自尊感情の回復、人生満足度の増加などのさまざまな心理的効果を報告されている。(レビューとして 野村,1998)

近年では回想法が認知症の予防効果を持つかどうかにも関心が向けられている。

■ 高齢者の6タイプの回想(Wong & Watt, 1991)

・統合的回想
過去のつらい経験の受容や葛藤の解決が行われること
・道具的回想

現在の問題解決に役立てる為に過去の成功体験を振り返ること
・情報伝達的回想
過去の歴史を若い世代の人々に伝える役割をもつこと
・談話的回想
生活史や自伝的なエピソードがただ詳しく説明されること
・逃避的回想
過去の栄光にひたって現在の状況を嘆くこと
・強迫的回想
過去の失敗をくよくよと振り返ること

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所感

「壁にぶつかった感覚」や「葛藤している感覚」って、言語化の難易度高いとずっと感じていた。

言語化や可視化しようとノートに書き連ねてもいらぬプライドが邪魔をして本質的な問題を曲げてしまう。「バイアスがかかっているかもしれないけど...」と予防線を張り、本質的な問題からどんどん遠ざかっていく感覚だけが残る。だから、いつまでも解決されずに、自分の課題のコアをとらえきれずモヤモヤした気持ちだけが私の心の中にとどまり続ける。

そんなもんもんとした自分の気持ちに、今日、一筋の光がさしました。

「知識」やと。

私「自分に向き合う才能がないのではなく、知識が不足していたんやと。」確信に至り、嬉々として所感を連ねている。

「人を好きになるには、まずは自分を好きになる必要がある。」とか、「愛よりもまずは自己受容」だとか、いろんな言葉があるけど、言葉でわかっているものの、頭ではわからない。わからないことがもっとよくわからんくなってくる。

あと、ビジネス的な課題と違って、自分のこころだけと向き合い続けるのはやっぱりしんどいし、自分の欲に対して恥ずかしいという気持ちが勝ちやすいので、知識や客観的なデータから「こういう悩み、お前だけやないぞ。成長過程で発生する悩みやぞ。」ということを感情論以外の方法でしれたことで、課題と向き合えるキッカケが生まれたような気がします。

これが課題を別の方角から捉えるということか、みたいな衝撃。

今日から青年期の課題に立ち返って、ひとつひとつクリアしていきたい。あと、このマガジンの敬語と口語混じってるのも統一したい。

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