アート系読書感想文[1]働く女たちの肖像
「働く女たちの肖像」永澤桂著
2024年2月25日発行 現代書館
新聞で「絵に潜む男の視線」という連載をもたれていて気になっていた著者の本。
17世紀から19世紀に主にフランスで描かれた絵画作品から当時の女性がどのような仕事に携わっていたのか、そして男性にとって「働く女性」とはどのような存在だったのかを読み解いていく。
お針子や娼婦、バレエダンサーなどドガやロートレックの作品を通して確かに数多く見てきたはずなのに、描かれている彼女たちの社会的な立場やさらにぐっと深掘りしてどんな人だったのだろうと自分は考えることはあっただろうかと思わされた。
そしてまぁなんか…知れば知るほどルノワールにとって「女性」というのは単にキラキラしてて、家でおとなしくしてればよくて知性とかそういうのいらないって思ってたんだろうなーと感じるのですが、本書でもそんな感じでした。
女性が読書をするというだけのことが否定的に捉えられていたことがよくわかる作品も載っていて、本当に女性は学問から遠ざけれていたんだなーと。
昔の小説を読んでいるとよく目にする「乳母」という言葉も子どもたちのお世話をする人ぐらいにしかとらえていなかったのですが、「仕事」として書かれた文章を読んで、「乳母」という職の構造を意識した時、現代におけるベビーシッターとは全然違うな!と思いました。
有名な作家、有名な作品も取り上げれている一方で知らない作品もあり、
そのどちらも「働く女性たち」という視線で見ることで新たな視点でみることができ面白かったです。
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