アート系読書感想文[3]名画と建造物
「名画と建造物」中野京子著
2023.10.12発行 KADOKAWA
おそらく紹介の一言目には「怖い絵」シリーズの…が必ずつくであろう中野京子さんの本です。
今回は絵画に描かれた建造物に注目するというもの。
エドワード・ホッパーやブリューゲルなど時代も国もばらばらの作品が取り上げられています。
中野京子さんの本を読んでいるとイギリスの美術館にある作品が多く紹介されているような気がします。(気がするだけ?)
特にギルドホール・アート・ギャラリーの作品が取り上げられ率が高いような。
ロンドンの美術館の中では規模としてはそこまで大きい方ではない、おそらく所蔵作品数もナショナル・ギャラリーやテートに比べると多くはないと思うのですが。
中野さん好みの作品が多いのか、ヴィクトリア朝の作品が多い美術館なので描かれた物語に注目するような文を書きたいと思うと取り上げやすいのか。
今回のギルドホール作品はエドワード・ポインター「エジプトのイスラエル人」(1867)でした。
この絵はギザのピラミッド、ファラエ神殿、エドフの塔門など、著者曰く「東京タワーと伊勢神宮と清水寺が隣接しているような」いいとこどり&見どころたっぷりな作品で、この絵を見た人々はタイムスリップし、まるでその場にいるような興奮を味わったのであろうと思わされます。
作品についての裏話的なものが読めるのが中野さんの本の魅力ですが、今回の「名画と建造物」でも建物の説明はもちろん、いずれもそこはかとなく怖い時代背景やストーリーが書かれていてあっという間に読んでしまいました。
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