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Zoomを使ったリモート型の株主総会実施のために重要な6つのこと

昨今の感染症の影響以前から自分が所属するCodeCampはフルリモート/フルフレックスを採用しているので(*1)、社内での会議や顧客との打ち合わせも当たり前レベルでZoomやGoogle Hangoutを使っている。
*1:例えば、創業メンバーで取締役の1人は隔月でイギリスから勤務しているし、女性マネジャーの1人も今年からオランダで勤務している

もう少し応用的なリモートの活用がないか?と思っていたら、親会社が株主総会のオンライン化を検討しているということなので、オンライン化の進める役割に立候補した。

CodeCampがそもそもオンライン型のプログラミングスクールなのと、私自身もオンラインとリアルの組み合わせた研修を10年以上生業としているので、自分のためにある役割だと思った。

株主総会のオンライン化は以前より議論/検討があるようで、その形態や運用における法的/実務的な留意点は経産相の『ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(案)』が参考になる。まだ実例は少ないのか玉虫色の結論になっていることも否めないが。

今回実施に関わった株主総会の与件としては次の2つである。
・従来の会場での参加もある ->完全リモートではない
・リモート参加の株主も質問や決議への参加など株主の権利講師が出来る
 ->単なるライブストリーミングではない

上記与件に加えて、自分の中での優先課題を設定した。
・現地参加と同等以上のリモート参加体験を実現する
・これによって現地参加の方の不具合/不便もかけない
・法律で定める株主総会の成立要件を損なわない(最重要)

上の3点を実現する上で、重要だと私が感じた順に6つ、を3/25現在リモート型株主総会の実施を終えて、その振り返りとともに記述していく。

1、リモート参加でも現地参加同様に、質問/動議/決議参加を実現にする
2、現地/リモートが併存する前提で当日の進行を工夫する
3、投影資料や音響の品質を保つ
4、リモート参加者への事前コミュニケーションを行う
5、練習/練習/練習
6、まずはやってみる!!

1、リモート参加でも現地参加同様に、質問/動議/決議参加を実現にする

ツールはZoomのウェビナーオプション を利用した。
ミーティングではなくウェビナー を選んだ理由は次の通り。
・リモート参加者は自分以外の参加者が見れない
・リモート参加の株主は視聴者という最も権限レベルの低い設定することで
 管理者で許可をしなければ発言ができない(不規則発言の抑止)
・質問等がある際には「手をあげる」「チャット」の機能で意思表示できる
・投票機能によってリモートでの決議参加が実現できる

具体的な運用としては、事務局の1名(ホスト権限)、議長(パネリスト権限)として、リモート参加の株主が手をあげたりチャットでのメッセージを送ってきていないかを常時確認できるようしていた。
もし手が上がっていたら議長から質問あるいは動議かを確認し、それが適切なタイミングのものであれば、議長が指名すると同時にホストから当該参加者に発言許可をシステム的に付与をする。

■Zoomで「手をあげる」のイメージ↓

議題への決議参加は投票機能を使うことで容易に実現できます。
(実施後に結果がcsv出力できるので、通例となっている拍手での採決よりもより正確に結果をとることができる)

■Zoomで参加者が投票するイメージ↓

■Zoomで議長や事務局が採決状況を確認するイメージ↓

2、現地/リモートが併存する前提で当日の進行を工夫する

システム的にリモート化が可能であることと、支障なく運用できることは実は別だと私は考えた。例えば上記1で示したようなある議題に対して採決を取る場面では、現地とリモートでは時間的なズレが発生する。

現地:
議長が◯号議案に賛成の方は拍手をお願いしますと言う
     ▼
会場から拍手が拍手が出る
リモート:
議長が◯号議案に賛成の方はWebから賛成を押してくださいと言う
     ▼
事務局が投票画面を立ち上げる
                  ▼
リモート株主が賛成/反対を選択する
                  ▼
投票を締め切る

おそらくリモート株主が賛成/反対を選ぶ前に会場では拍手が発生してしまう。これを、進行の工夫によって回避した。例えば、
「◯号議案の採決を取ります。リモート参加の方は、Webから賛成を押してください。会場の方は拍手をお願いします」と言う形で段階的アカウントをゆっくり目で話すと言う運用として、事務局側では議長が「◯号議案の採決を取ります」と言ったタイミングで投票画面を投影するという流れです。

細かな点であるが、それが故に起こりうることをイメージして進行/運用に織り交ぜていくということがとても重要であった。

3、投影資料や音響の品質を保つ

リモート会議でよくありがちなハウリング等を避けつつ、リモート側と現地の双方がクリアに会話できるということが重要でると考えたし、音響や投影の構成や設定が肝と考え、構成の次の通りとした。
(会場であるホテルのスタッフにも協力いただきシンプルは構成/設定が出来た。)

(a)会場のスクリーンにPPT資料を投資する
(b)会場のスクリーンと同じものとZoomに画面共有する
(c)ビデオ(動画+音声)を会場に流す
(d)ビデオ(動画+音声)をZoomに画面共有する
(e)会場のマイク音声をZoomに送る
(f)Zoomの音声を会場に送る
(g)会場の様子をZoomに送る

実際には音声を維ために"COUGH FADER"などを会場のスタッフさんに協力いただき配置もしていたが、この構成で会場とリモート双方に支障なく実施できた。

4、リモート参加者への事前コミュニケーションを行う

Zoomが企業におけるWeb会議ツールとして存在感を強めているとはいえ、株主がみんなZoomの利用経験があるとは限らない。また年配者も考えるとITリテシーが高いとは限らないという前提で、リモート参加の方法やZoomの利用方法、不具合等が発生した際の問い合わせ先の設置などが重要である。
また通信障害等によって予定通りの進行やリモート参加ができない可能性がある旨を事前に告知することも重要性も先のガイドに明記されている。
この辺りは法務部門や弁護士、信託銀行等の専門家との確認も必要となる。

5、練習/練習/練習

これが最も重要である。今回も現地に2回ほど行って上記の構成を試して問題なく動作するかを確認した。「会場にあるマイクをPCが認識したいしない」「ハウリングが起る」「ネット通信が遅い」など机上では制されていてもいざ現場に出てみると不具合は発生するものである。これらを1つずつ解消しながら、実際の進行通りに実演をしてみることで当日の大きなアクシデントを防げたのだろうと振り返る。

6、まずはやってみる

あまり先例のないことだし、失敗した際には影響(例えば、リモート参加者が何かしらの不具合で決議の無効化を訴えられるなど)は、単なるWeb会議とは異なる。

怖さもあったが、やったことで得られるものは大きかった。

例えば、
-今回はリモート参加は数十名であったが、これが数百人いた時の出席確認の方法はどうするか?

-リモートから質問者も今回はいなかったが、これも多数いた時に議長や事務局はスムーズに対応できるのか?

-議決権数をリモート上の投票機能にどう反映するか?
(現地での拍手でも変わらないが)

-なりすましをどう防ぐか

やってみたことで、次への課題も明確になった。
個人的には株主総会における決議はデジタル化されるべきと思う。
フルリモート型の株主総会実現に向けてチャレンジを続けていきたい。

3,000字を超えたが、まだ細かな運用で書ききれていないこともあります。
もし個別でのご質問などあればご連絡ください。

Twitter: @S_YUDAI
メール:yudai.shimoyama@codecamp.jp

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