若年層の女子ハンドボール選手へのパフォーマンス・アップ・トレーニングの最新!
ハンドボールの科学は毎週金曜日に公開!
院生時代の研究テーマが「ハンドボール選手の投球動作の3次元動作分析とバイオメカニクスを活用した指導法の構築」であったので,主にハンドボールの投げる動きに関しての記事が多くなっていくかと思います!しかし,ハンドボールの科学ですから,幅広い分野の研究を紹介していきたいと考えています.是非,明日の練習に!指導に!活かしてください!
文献情報
タイトル
Effects of Upper and Lower Limb Plyometric Training Program on Components of Physical Performance in Young Female handball Players
著者
Mehrez Hammami
Nawel Gaamouri
Katsuhiko Suzuki
Roy J. shephard
Souhaiel chelly
ジャーナル
Frontiers in Physiology 11 : 1025. 2020
結論
インシーズン中での複合ULLPTトレーニングプログラム(週2回のセッション)では,若年の女子ハンドボール選手のパフォーマンスを維持させながら,上肢および下肢ともにパフォーマンスの向上がみられ,トレーニング効果が検出された!
したがって,1セッション約35分程度のULLPTトレーニングプログラムは時間効率もよく,若い女子ハンドボール選手の様々なパフォーマンスの向上に貢献するだろう!
方法
画像を参照!
わかったこと!
・信頼性はStorkテスト以外,統計的に認められた
・上肢のパフォーマンスでは,実験群はすべての項目が有意に向上したが,対称群はメディシンボールスローの向上は効果量がPre-Post間に有意差はあるものの,効果量が小さかった
・下肢のパフォーマンスでは,実験群はスプリント系,アジリティ系,ジャンプ系のほとんど有意に向上したが,バランス系のテストではまちまちだった
・対称群では,スプリント系は有意な向上の傾向がみられたが,アジリティ系,ジャンプ系で大きな向上がみられなかった
・対称群では,バランス系はあまり改善していなかった
・スプリント系,アジリティ系,ジャンプ系にすべてではないが,効果量の大きい統計的に有意な群間差が確認された
この研究の現場への活かし方
今回の論文のようなトレーニング介入系は,主に2つの観点で今後の指導に役立つことが出来ると考えています!
1)対象の選手
対象の選手が自身の指導している選手層に近いプロフィールであれば,比較的に同じようなトレーニング効果が期待できるかもしれません!また,このタイプの論文では,その選手のテスト項目の記録が乗っていることが多く,それが自身のチームの目指す指標などにもなりえます!
2)新しいトレーニング方法の収集
一般的なレジスタンストレーニング処方系の論文であっても,論文には”独自性”や”新鮮さ”が求められるので,多少古い論文からでも「なるほど!このようなトレーニング方法は面白いし,やってみる価値ありそう!」のような発見が1つ以上はあるかと思います!今回でいうと,”ULLPTトレーニングプログラム”です.これはUpper and Lower Limb Plyometric Training の略語で「上肢と下肢のプライオメトリックトレーニングを複合したトレーニングプログラム」を指します!このように,まだ教科書には載っていない手法があるので,読む価値ありありです!
これらの観点から論文を現場に活かしたいところですね!
さて,今回の論文でパワーワードとなっている「ULLPTトレーニングプログラム」ですが,これは中高生にはかなり重要かつ限られた部活動の時間の中ということを考えると,その効率のよさもいいと思います!約30分しかかからず,バランス系のテスト以外のほとんどにその効果がみられているので,ぜひ試してほしいいですね!
ただし,重要なのは,このULLPTトレーニングプログラムをする前にきちんとウエイトを使ったトレーニングを処方していることです!しっかりとした身体作りをして臨んでいますので,この事前準備も含めて取り入れることをお勧めします!
今回の論文では,種目のほとんどが下肢のトレーニング種目でしたね.個人的には上肢のトレーニング種目を1つ増やしてもいいのかなと思います.球速の測定をして,下肢と上肢のパフォーマンス測定項目を増やすことで更に実践したくなるような論文になっていたと思います!
例えば,今回のようなダイナミックプッシュアップだけでなく,メディシンボールスロー自体をトレーニングに入れるなどをすることで,さらなる効果が得られるかと思います.しかし,時間効率,測定自体にメディシンボールスローがあることなどを考慮すると,中々難しいですよね.ジムでのベンチプレススローはできないので,ここは考えなければなりませんね!
ですが,コーチはそのようなテストをする必要はないので,1種目ほど上肢のトレーニングを増やしてもよいかもしれません!また,体幹の回旋を使ったトレーニングを入れることもできますね!
このように,種目のバリエーションはいろいろなので,コーチ自身がチームのプロフィールから推測してプロトコルを作成してみてください!
ハンドボールを徹底的に学び合えるオンラインスクール「kocs(コチ)」では,ハンドボールの投球動作に関する情報としてZOOMでセミナーしたりしてます!!もし,ご興味があれば,Facebookにてご連絡ください!また,公式Instagram,Twitterアカウントもあるので是非フォローを!
それでは!
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