ハンドボールのスローイング・メカニズム Vol.1
ハンドボールの科学は毎週金曜日に公開!
院生時代の研究テーマが「ハンドボール選手の投球動作の3次元動作分析とバイオメカニクスを活用した指導法の構築」であったので,主にハンドボールの投げる動きに関しての記事が多くなっていくかと思います!しかし,ハンドボールの科学ですから,幅広い分野の研究を紹介していきたいと考えています.是非,明日の練習に!指導に!活かしてください!
文献情報
タイトル
The effects of localised fatigue on upper extremity jump shot kinematics and kinetics in team handball
著者
Hillary A. Plummer & Gretchen D. Oliver
ジャーナル
Journal of Sports Sciences,2016
まとめ
・局所的な上肢の疲労によって,ジャンプシュート中のキネマティクス(運動力学)は変化があまりみられなかった.
・ボール初速度は上肢への局所的疲労後に有意に減少する傾向が見られた(p<0.12).
・疲労後の肩の最大外旋角とボール初速度は,有意な負の相関関係を示した(r=-0.68, p=0.03).
・疲労後,わずかな肩の外転角の増大と最大外旋角の減少が特陵的であった.
方法
写真を参照
わかったこと!
写真を参照
この研究の現場への活かし方
新年,明けましておめでとうございます!本年もよろしくお願い致します.長い間が空きましたが,年末年始休暇による溜まった仕事の処理も落ち着いてきたので,「ハンドボールの科学」を今年も細々と続けていこうと思います!正直,この記事は半分は世のために,半分は自分のためにやっているので,取り上げるトピックがその時の鈴木の気分(研究欲)なので,そこのところはご理解ください.多分ないと思いますが,何かリクエストがあれば,文献を調べてみます!
さて
今回からまたハンドボールにおける投球動作について紹介していきます!改めてハンドボールにおける投球動作のバイオメカニクスを体系化しないといけないので,そのアウトプットととしても活用させて頂きます.
今回はジャンプシュート動作中の投球腕のキネマティクスについて触れている数少ない研究の1つです.しかも,光学式ではなく,電磁トラッキングシステムを使用した文献です(通常はViconなど使用した研究がほとんど).加えて,この論文は,技術のメカニズムを明らかにするための知見というよりは,むしろ,障害予防のための論文にカテゴライズされるものかと思います!この研究は,方法にもあるように,メディシンボールを用いた局所的な疲労を引き起こし,疲労前後での影響を見ていく研究です!
この論文で明らかになったことは上述してありますが,個人的に面白かったのは
「疲労によるキネマティクスの変化がみられなかった」
ということ.あくまで統計的であり,選手は疲労困憊になっていますし,その数字が真を表しているかは本当のところわかりません・・・.しかし,この研究での結果が,皆様に当てはる確率は確かにあります!その確率とご自身の思考と経験で,指導やプレーに生かしてください!
筆者らはこの現象を「局所的な疲労後にボール初速度は大きくなり,統計的に有意ではなかったものの,肩の外転の増加と最大外旋角の減少は特徴として確認できた.しかし,投球腕のキネマティクス的パラメータは統計的な変化を示さなかった.恐らく体幹やこの研究で調査しなかった投球腕の力によって代償的に何処かを使っているのではないか」と考察しています.このような代償動作は,ご想像の通り,肩や肘の障害を引き起こすファクターとなりえます.今後もこのような研究が増え,疲労によるハンドボールの投球動作のメカニズムが明らかになって欲しいですね!
個人的に指導に役立てられるのは,やはり肩を内外転中間位付近に保った状態で,体幹を側屈させての投球がパタンとしてみられたことですね!鈴木ら(2020)でも,この運動戦略が報告されているので,肘をあげてボールを投げなさいはやはり間違えていると思います!
ハンドボールを徹底的に学び合えるオンラインスクール「kocs(コチ)」では,ハンドボールの投球動作に関する情報としてZOOMでセミナーしたりしてます!!もし,ご興味があれば,Facebookにてご連絡ください!また,公式Instagram,Twitterアカウントもあるので是非フォローを!
それでは!
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