【論文紹介】方向転換走の論文から得た知識で考えるハンドボール
ハンドボールの科学は毎週金曜日に公開!
院生時代の研究テーマが「ハンドボール選手の投球動作の3次元動作分析とバイオメカニクスを活用した指導法の構築」であったので,主にハンドボールの投げる動きに関しての記事が多くなっていくかと思います!しかし,ハンドボールの科学ですから,幅広い分野の研究を紹介していきたいと考えています.是非,明日の練習に!指導に!活かしてください!
文献情報
タイトル
Lumbar axial torque actively induces trunk axial rotation during sidestep cutting manoeuvre : Insight to expand the trunk control concept
著者
Natsuki Sado
Shinsuke Yoshioka
Senshi Fukashiro
ジャーナル
Journal of Biomechanics (2020)
方法
・球技経験のある健康な男性選手10名(26歳前後)
・8mスプリント後,右方向への方向転換し3m先の光電管までスプリント
・3次元撮影方法:Motion Analysis Corporation, CA
※細かい定義は論文をご参照ください!
・コア(胸椎,腰仙関節,骨盤)に関わるキネティクス/キネマティクスを分析
わかったこと!
・左足接地時は胸椎よりも骨盤の方が目的方向へ向いているが,徐々に胸椎と骨盤の捻転角も大きくなり,胸椎が先行するように方向転換している.
・最大捻転角:21.0±6.0°
・↑の動きの角速度をみると,左脚支持期初期には目的方向へ角速度が生じていたが,徐々に負の加速がみられた
・↑に対応するように,角速度に類似したパターンのトルク発揮がなされていた.
・腰仙関節の捻転トルクが大きく,支持期初期には左脚接地による負のトルク(目的方向とは逆の力)が働くが,その後正のトルク発揮(目的方向への力)がなされていた.
・支持脚股関節の内外転トルク発揮がなされていないこと,支持期初期に外旋トルクが発揮されていたことが特徴的であった.
・遊脚股関節の内外転トルクをみると,支持期後半に大きな外転トルクが発揮されていた.
・支持期初期の生成されたトルクの積分値(角力積)をみると,腰仙関節の回転成分と支持脚の外旋が他に比べて大きく,それぞれが打ち消し合うように働いていた.
・支持脚の股関節の力およびパワーをみると,支持期前半〜後半にかけて,骨盤が目的方向へ向くような力/パワー発揮がなされていた.
方向転換で重要なのは上から回すこと!?
この論文の結果からみると,胸椎が先行して目的方向へ向いていることがわかりました.しかし,胸椎より下の腰仙関節や股関節に働くトルクは実施には発揮されています.しかも,支持期股関節では目的方向と逆の外旋トルクが,腰仙関節では目的方向への捻転トルク発揮と,お互いが打ち消す合うかのように力発揮されていました.これらの働きにより,まず胸椎が先行して目的方向へ向き,次に腰部,最後に骨盤と体幹が上から順に回るようにして動きていたと考えられます!支持期後半には腰仙関節の目的方向へのトルクがメインに働いていましたし,支持客の股関節に働く力/パワー(force, power)も後半に値が正に増加していたので,これはイメージしやすいですね!最初は打ち消し(canselling out),その後捻転の活性化!みたいイメージで解釈しました!
体幹トレーニングの再考
佐渡先生もウェビナーでも,この研究でも述べていましたが,体幹は従来より”固定・安定させ,下肢を良く動かす機能があることは周知のことですが,この研究から分かるように体幹はきちんと動き,むしろその動きのメインの力発揮までしています!つまり,スタビリティーだけでなく,モビリティーの機能も確実に担うことの最新のエビデンスとなりました!
まとめ
方向転換の際は胸椎から回すような意識を持つ!この論文から見て,横方向への方向転換のパフォーマンスにはいわゆる,地面を蹴るといった動きよりは,体幹をうまく使うことの方が重要!?かもしれません!
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それでは!
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