[映画]ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ

1970年頃のアメリカのお話。上映開始から、懐古趣味たっぷり。投射しはじめのフィルムのピリピリ映像(名前を知らない。でも父が好きだった60年代洋画はもれなくフイルムの雑映像が入っていたはず)が映し出され、最初から時空を越えてきます。

舞台はボーディングスクールのクリスマス休暇。貴方たち恵まれた生まれでエリートなんでしょ?と眉をひそめたくなるがさつな行動と下品な言葉の場面から始まります。そんな彼らもしょせん高校生、クリスマス休暇に家族のもとに帰り楽しむのを心待ちにしていますが、家庭の事情で帰れない子も。彼らの保護をするため寮に残ることを課されるのが偏屈教師ポールと戦争で息子を亡くしたばかりの料理係のメアリー。

窮屈でお楽しみの無い休暇がはじまり、ポールの博識と偏屈さは絵に描いたようで、取り残された生徒たちの鬱屈は相当。でも、料理係に対する差別的な発言とか、髪型論争に折れた父親が何人も乗れる大型ヘリで迎えに来るとか、厳しくしたくなるのもちょっとわかります。大型ヘリでのお迎えに便乗して、生徒たちはスキー休暇へ。しかしアンガスだけは両親と連絡がつかず、またしても取り残されてしまう。さすがにかわいそう。

そこから羽目を外して行くポールが面白すぎます。もちろんアンガスもメアリーも休暇で一歩踏み出します。悲しいことや心が軽くなることが盛りだくさんで、一緒に切なくなったり、良かったなあと思ったり感情が忙しく、どんどん2人を好きになります。対してポールはわかりやすい哀しみは抱えていないのに(明かされる屈折はあるけど)2人に知らず知らず感化されたのか、どんどん変わっていく姿が微笑ましいです。

素直に心が動くまっすぐな映画でした。中年に夢もくれるし、ありがとう。

☆☆☆☆★

監督 アレクサンダー・ペイン
出演 ポール・ジアマッティ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、ドミニク・セッサ
2024年米国
https://www.holdovers.jp/#


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