[読書]女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり

今年は、平成が終わり令和になりました。
平成を振り返ると、女性がずいぶん自由になった時代と思います。「普通の」女性が発言権を持つように。

昭和の頃、女性のエッセイといえば、森茉莉さんや白洲正子さん、時代を下って向田邦子さんや森瑤子さんあたりでしょうか。
とびきりの出自や才能に恵まれた特別な世界に住む人が記す、という印象が強いものでした。当時私が子供だったこともありますが、到底手の届かない世界が描かれており、共感するのはとても無理。

そして昭和終わりには「普通の」林真理子さんが流行。平成に入り、大ブームどなったのが、さくらももこさんや酒井順子さんの作品群。女性の書いた文章がベストセラーに。
もちろんご本人たちは、才能溢れた特別な方なのですが、そう感じさせない、普通の女性も共感できるような作風です。

と、前置きが長くなりましたが、女性の書き手が増えてきたところで、自然体で現れるのが、本日の課題図書、ジェーン・スーさん。

前々から気になっていたのですが、お名前が片仮名なので、てっきりすごく若い元モデルと妄想し、今回初対面です。

この本の題材は、オーガニック食品だったり、京都だったり、水着だったり。女子(この言い方も平成で市民権を得ましたね)のこだわりポイントが絶妙に語られます。
読んでいて、遠く、恐ろしく感じさせない程度の、自意識と美意識。自分の意見は明確に表明しつつ、誰も傷つけない配慮した表現。

こじらせ女子(自称)のお供です。もちろん男性やこじらせていない方には、周囲の大人の女性理解の一助として、単に面白いお話としておすすめです。
頭がよく、個性的なお友達が一緒にお茶してくれたような読了感でした。

☆☆☆

著者 ジェーン・スー 
刊行 文藝春秋
刊行年 2018年文庫版
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167911775

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