[絵本]じてんしゃにのるひとまねこざる

黄色い表紙の人気シリーズより。黄色い帽子のおじさんと暮らしている子猿のジョージが、無邪気に騒動を引き起こし、なぜだかうまい具合に毎回収まるお話です。

ジョージはこの本でも、無邪気にやらかします。おじさんから自転車をもらい、無邪気に乗り回し、新聞配達を手伝うはずが新聞は全て舟にとして川に流れ、自転車もパンクします。落ち込むときは素直に落ち込み、あっという間に立ち直る彼の魅力は、次のページに凝縮されています。

じてんしゃに のろうと おもっても、じてんしゃは いうことを ききません。
しかたが ないので、かついで あるきだしました。まもなく、おもくて たまらなくなりました。
いったい、どうすれば いいのでしょう?
なかよしの おじさんが いったとおり、うちに おとなしくしていれば よかったのです。
じょーじは おいおい なきだしました。
そのうち、きゅうにじょーじの かおが あかるく なりました。
なあんだ!うしろの くるまだけでも、のれるんだっけ!

たくましいのです。自然体で、余計な邪念が無く、自意識が自分を邪魔しないハイパフォーマーです。

長女セイは、第一子にしては自由で活発な子でした。あるとき、小学校の学芸会で合唱の伴奏役を取ってきました。張り切って、前日もピアノの先生にみていただき、その帰り道です。しっかり弾くようくどくど言う私がうるさかったのか、セイは最寄り駅でエスカレータに乗り込み先に行ってしまいました。
あわてて階段で追いかけたところ、セイが消えた! エスカレータの途中から飛び降りたそうです。なんと左足首を骨折。。

翌日(学芸会当日)、学校に連れていくと、音楽の先生が真っ先に駆け寄っていらっしゃいました。『伴奏できる?ペダルは?』『大丈夫。右足は無事』とセイは平然と答えます。

このとき、無邪気に強く育ってほしくて、ジョージの絵本を読み聞かせ続けたことを若干後悔しました。何もジョージのようなこと、しなくたって。。
お陰さまでセイ改めジョージは無事伴奏を終え、怪我してるのに偉いね~と保護者たちからお褒めの言葉を頂いておりました。

ジョージの世界のように、のびのびと育ってほしいなと思いつつ、やっぱり社会に暮らしているので、あまり周囲に迷惑かける訳にもいかず、はらはらしながら読む絵本です。

なお、シリーズ絵本は最初の方が面白いと思っていたのですが、実は前半と後半では作者が異なるそうです。『ひとまねこざる』が最初のシリーズ。そして原作の著者がお亡くなりになったあと、『おさるのジョージ』シリーズとして続けたそうです。魅力的な登場人物の成せる技ですね。

☆☆☆

じてんしゃにのるひとまねこざる
H・A・レイ 作・絵
光吉 夏弥 訳
岩波書店
出版年月 1983年9月(原作1952年)
https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b254770.html

この記事が参加している募集

#コンテンツ会議

30,744件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?