[読書]その白さえ嘘だとしても

切ない青春小説「階段島」シリーズの第2弾。高校生の男子が主人公です。
今度映画化もされるとのこと、若者に人気があるよう。だとしたら、今どきの若者も、昔の若者も悩みは一緒だな、と思いました。

階段島という、外の世界から隔絶された島でのクリスマスイブの1日が舞台です。謎解き要素があるのですが、人が亡くならないので大変心穏やかに読めるのも好きな点です。

シリーズ第1作も、娘に勧められて読んでいますが、私はこちらがしっくり来ました。
登場人物数名が交互に自分たちの目線から語る構成だからかもしれません。一人ひとりの感情に移入しやすく、「階段島」設定に慣れてきたからか、若者目線に戻りながら、クリスマスの謎に迫ります。

でも実は。
あまりに登場人物が内省的で、自分の感情をこと細かに長く語るため、途中で飽きた私は、先に結末を読んでしまいました。
お勧めしてくれた娘には呆れ果てられましたが、謎解きの結果を早く知りたくて読み飛ばしてしまうことがなくなります。その分、登場人物に集中できますので、短気な方にはお勧めします。

思春期で自分の扱いに迷ったり、何かから一心に逃げたり。年齢は過ぎても、自意識を持て余すこともあるでしょう。
そんなときに、前に進む後押しになり得る(消極的にですが)爽やかな1冊です。

☆☆☆

著者 河野裕
刊行 新潮社
刊行年 2015年
https://www.shinchobunko-nex.jp/books/180034.html

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