[映画]夜明けのすべて

鑑賞したのはだいぶ前なのですが、直後忙しくて記録しそびれていました。なので比較的冷静な感想です。

松村北斗くん所属のグループを超絶箱推ししているので、この映画は最初のプレスリリースから楽しみにしていました。瀬尾まいこさんの小説は昔から暖かく、三宅監督は最近注目の監督さんだし、上白石萌音さんは間違いない実力と可愛いが両立、他にもりょうさんに光石さん、理想的な布陣に北斗くんが出してもらえるなんて期待しかない。

もちろん期待通りでしたが思ったより良かったです。総合的には心暖まる空気が流れていますが、容赦ない現実をしっかり描いていました。PMSはちょっと眠くなったり食欲爆発するくらいではなく、ほんとに学校や職場といった集団生活に支障をきたすくらい制御不能になることがあるのですよね。それを可愛らしい萌音ちゃんがまっすぐに演じている。個人的なことも思い起こして胸が痛くなりました。どこかの映画祭で萌音ちゃんが発言していましたが、なかなか世には出ない題材なので、本当にありがとう。そして北斗くん演じるのはパニック障害。超優秀でタフなエリートでもなりうるのは周知ですが、でも強くあらねばのマッチョイズムの対極にあるような病ですね。これを空手ができて芸能界を生き抜くイケメン北斗が演じるという。二人ともパブリックイメージとして女らしさ男らしさが認知されていて、そしてもちろん演技が上手くないと、観客は役柄と病気の症状が分離できなかったと思います。素晴らしい設定と配役。

山添くんの発病前の会社での扱いも、彼女との別れも、藤沢さんの通院時の処方も、お母さんの境遇も、栗田社長の優しさの背景も、山添くんの前の会社の上司も、現実を見せるエピソードは厳しく辛いもの。それを緩衝するかのように日常の小さな楽しみや幸せ、緩やかで穏やかな人間関係が描かれて、そういったものの尊さを感じます。

全編画面がきれいでほどよいざらつき、もちろん場面切り替えも丁寧で素敵な映像です。印象に残ったのは音楽。ずっと淡々と悲しくも嬉しくもない音を奏でていて映画全体の統一感を後ろから支えていたように思います。Hi'Specというアーティストさん初めて知りましたがとても印象に残りました。

☆☆☆☆★

監督 三宅唱
出演 松村北斗 上白石萌音
2024年日本

https://yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp/

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