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アドラー心理学✕幸福学

今日は、最近読んだ本をご紹介しようと思います。

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『アドラー心理学✕幸福学でつかむ!幸せに生きる方法 WELL-BEING』
 平本あきお + 前野隆司 著 (ワニ・プラス|2021年)


実に学びの多い一冊でした。
いや、学びだけでなく、今日から実践してみようと思える一冊でした。

ざっと100年前の「アドラー心理学」と、最新の「幸福学」のステキなマリアージュは、それぞれを個別に学ぶときよりも、より深く、より高い視座から、多面的に「人間とは」「人生とは」「幸福とは」を考えるきっかけになりました。
特に、言わば100年前の「幸福学」であるアドラー心理学については、アドラー先生の「科学的に正しいことよりも患者を治すことが大切」という考えが根底にあるということ、「(理学ではなく)工学である」と考えていた点に深く共感しました。

現代科学は「狭く深く」という形で、細かな領域の専門家ばかりを生んできています。
それは研究者側の問題というよりは、科学という世界におけるある種の必然性でもあったと思いますが、一方で、元研究者の一人としては、「研究と社会の乖離」を感じずにはいられませんでした。
学問の世界は、それで良い面もあると思いますし、基礎研究の類は、むしろそうあるべきかもしれません。
しかし、収益という意味ではなく、企業の存在意義という点から考えた時、ややもすれば「研究のための研究」ばかりで良いのか?と考えていました。
当然、様々なアプローチがあって然るべきでしょうし、スティーブ・ジョブズが語っていたとおり ”Connecting The Dots" (後から線と線をつないでみなければわからない)ということかもしれません。
正解はわかりませんが、それでも「正しさ至上主義」に陥りがちな科学界で、「正しさを捨ててでも、患者を治すことを優先する」という考え方は、言うほど簡単ではなかったと思います。

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結局、アドラー先生の考え方は、「ダイバーシティ&インクルージョン」なんて言葉が生まれる遥か昔から、すでに人間愛にあふれた思想に根差していたということなのでしょう。
詳しくは、ぜひ本書を読んでいただきたいと思いますが、アドラー先生やその後継者たち(著者の平本さんもその一人)によってつくられた技法や理論が、日常生活で起こりがちな事例を題材としてわかりやすく解説され、さらには、テーマごとに前野先生と平本さんとの対談が細かく挿入されるので、「幸福学」と「アドラー心理学」がその対比を通じて、相互に立体的に理解できるようになっていると思います。

アドラー心理学の基本思想(哲学)たる「共同体感覚」と、それを構成する➀自己受容、②他者信頼、➂貢献感は、当然きわめて重要なものと理解できましたが、その上で、5大理論すべてが現代にこそ重要な考え方ではないか、と感じました。
特に、目的論は、我々があたりまえのように使っている原因論(何が悪いか)ではなく、我々がどうありたいかを問うものであり、より良い社会を作っていく上で忘れてはいけない考え方ではないかと思いました。

ということで、今日はこの辺で。

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