YOUTRUST、20億円の資金調達の裏側 ~できる限り詳らかに。社長の視点から~
先日、20億円の資金調達を発表いたしました。
本当にありがたいことに、想定以上にたくさんの方々に拡散いただきまして「XがYOUTRUST一色になった」というお声もたくさんいただきました。ご迷惑じゃなかったかな…と少し心配したのですが、実際はポジティブな意見ばかりで「なんて素敵な人たちに恵まれているのだろう」と感謝の気持ちでいっぱいです。
このnoteは主にスタートアップ業界の仲間に向けて、出来る限り詳らかに社長岩崎の視点から今回の資金調達までの道のりを生々しく共有させていただこうと思います。
市況感が良くない中での調達だったので、想定通りにいかなかったり、逆に案外うまくやれたり、その過程には喜怒哀楽いろいろありました。資金調達を視野に入れている皆さんにとって、一つの事例として参考になれば嬉しいです(株主の皆様、書きすぎだったらすみません!)。
開始から9ヶ月かかった資金調達
資金調達プロジェクトを本格的に動かし始めたのは2023年6~7月ごろでした。ざっくりではありつつ、来年の5月のGW明けにリリースしたい!と考えて、当初より逆算していたスケジュールを引いていました。
なので、年内にはタームシートレベルで握ってあって(投資家の皆さんからすると繁忙期ですが)、3月までに詳細をつめて契約、4月に着金、5月リリースが理想です。なぜならば弊社のサービスの特徴として、
調達リリースや会社のニュースがそのままプロダクトの各種KPIにヒットしやすい
大型連休に弱い(逆に言うと大型連休明けに強い)
というのがあったので、大型連休明けで当面連休のない5月中旬頃に調達リリースを出したいと考えてました。
ちなみに最初に期限切っていたのは結果的にとても良かったです。投資家の方に「X日までにお願いします!」と胸を張ってお願いすることができるからです。
全ての意思決定に言えることですが、熱は時間と共に冷めていきます。熱が冷めないうちに社内での稟議、意思決定をお願いしたことはお互いのためにも良かったように感じます。その結果、当初の想定通りのスケジュールで完遂することが出来ました(短期間で頑張ってくださった株主の皆さま、本当にありがとうございました)。
CFO不在。さあ、どうする?
非常にお恥ずかしい話なのですが、弊社は未だにCFOがおりません。これは一切自慢でもなんでもなくて、単に経営の落ち度です…(絶賛最優先大募集中ですので、少しでも心当たりのある方は下記から気軽にポチッとよろしくお願いします!)。
とはいっても、素敵なCFOの方の入社を待っていると半年〜1年はかかってしまいます。なので、結論は最初から出ていました。自分たちでやるしかない。
ちなみに現在取締役の金子が入社したての頃「俺、勉強すればCFOもいけると思うんだよね」と調子づいていたのですが(確かに彼は新しい領域のキャッチアップが得意で、それっぽいことが言えるようになるのが異常に早いので私は愛情をこめて「ダニングクルーガー金子」と呼んでいます)、資金調達の途中で「…切実に今すぐにCFOが欲しい」と言っていたのは、本気で仕事してる感じがして非常に面白かったです。
というわけで、CFO大募集中です。何卒よろしくお願いします。
成長していた事業が、チームを強気にさせてくれた
当然のことを言うようですが、資金調達のためにまずは魅力的な数字を作っているのは大前提です(起業家からするとこれが一番難しいのですが)。
弊社は”50人の壁”のタイミングで組織作りに失敗して、その立て直しに時間をかけてトップラインが伸び悩んだ時期もあったのですが、その後トンネルを抜けて事業が成長軌道に乗っていたため、資金調達でも強気に戦えました。
もちろん事業は勝手に偶然伸びたわけではなく、全員が無理をしながら汗水たらしてやりきった結果です。総動員One Teamで全力で戦って伸ばしているのですが、その組織・カルチャーも一朝一夕に真似できないMOAT(競合優位)になっていると思います。この辺は最後に書きます。
せっかくなので、前回調達時(下図赤線)との差分がわかる実際のピッチ資料の1ページを抜粋します。ざっくり言うと、ユーザー数もトップラインも前回ラウンドより4~5倍成長していました。
覇王色の覇気を纏う
最近よく言っているのですが、岩崎は「総矢面時間が人に覇気をまとわせる」と考えています。
営業も同様なのですが、何か高い買い物をする際、人間は「誰から買うか」に大きく左右されます。では投資家がどんな経営者たちから株を買うのかというと、信頼できる人間なんていうのは最低ラインで、やはり「覇王色の覇気をまとった人」なのではないかと経営チームで話していました。
なので、是非ともご一緒したい本命のVCに関しては、矢面時間を重ねて覇気をまとえるようになった後半にお会いすることにしました。結果的に、ピッチもQ&Aも場数を踏んでたくさんの引き出しと大いなる自信をつけてから本命とお話しできたのは、少なからず功を奏したように感じます。
ちなみに、自分は女性社長という特性上、まだまだ無意識的に珍しく感じられてしまうことも少なくありません。なので、ピッチ時は必ずオールバックのヘアスタイルにオールブラックで身を包み、身長が高くなる靴(元々背が高いので、結果177cmくらいになります)で、ピッチは言い切り型で話すマイルールを課してやっていました。究極それがお相手にどう伝わったかは今でもわかりませんが、少なくとも自分に「これから戦だ!」というスイッチが入るので、これもやってよかったです。
とにかく“電話”
どこかのCFOの方が調達背景のnoteに「とにかく電話しろ!」と書いていたのを拝見していたので、今回は当初よりメッセージより電話で、ピッチ後温度のあるコミュニケーションをさせていただいていました。
当時、岩崎と金子は各社にピッチをやらせていただいているうちに「これはまさに営業だ」という認識を強く持っていました。営業でもよくあるのですが、良い商談だったとしても商談後時間が経つと忘れてしまったり、その人の中で優先度が下がるんですよね。そこで直後の電話です。
「温度感はいかがでしたか?」「その後、御社内で検討状況いかがですか?」みたいなのを先方の担当者と密に電話でコミュニケーションさせていただきました。
スタートアップ業界はメッセージベースのコミュニケーションが多いですし、なんなら後追いする文化も薄い印象ですが、追って電話するのはかなりよかったです。本音も聞けるし(同時に言えます)、もちろんお互いビジネスパーソンとして踏み込んだ交渉もテキストより行われて、ピッチ後の進行率は電話とメッセージだとだいぶ違う印象でした。
あと、電話だと私たちも先方の人柄や仕事の進め方がわかるので、ご一緒する際の解像度が上がっていたのは嬉しい誤算でした。
あのnote書いてくださったCFOの方、本当にありがとうございました。
「スタートアップだけしか使わないんじゃないんですか?」という問
投資の論点はいくつかいただいたのですが、ほぼ確実に聞かれたのが「エンタープライズ企業がYOUTRUSTを利用するのか?」という点でした。
こういう話は、とにもかくにも実績があれば話が早いので、資金調達と並行してエンタープライズ特化の事業部を作りました。全社の命運のかかったプロジェクトなので責任者は社長の岩崎です。といっても、エンタープライズ営業なんて人生で一度もしたことがなかったので、大学時代の友人や自分の親戚も含めて、知りうる限りの大企業の知り合いに連絡をさせていただきました。担当者をご紹介いただきました皆様、本当にありがとうございます。
実際やってみると「DX部門もしくは新規事業部門で中途でデジタル人材が必要」というニーズにうまくマッチしまして、商談機会のご縁があれば一定確率以上でご導入いただけることが実績で証明できたので、この論点もクリアすることができました。直近YOUTRUSTではいろんな取り組みをやっているので、気付いてくれていた方もいらっしゃるかもしれません。
おかげさまで素晴らしい企業様とお取り組みをご一緒させていただいているので、是非このnoteでも宣伝させてください。
賛否両論!狂気の紙芝居
ちなみにピッチ時には「YOUTRUSTは最終的にどういう存在になることを目指しているのですか?」と質問いただくことが多かったので、これはもう詳細に語るべきや!と相方の金子がカスタマーエクスペリエンスの20分はかかる紙芝居を入れたところがこれが大絶賛(もしくは大不評)という感じで私は大好きでした。大事な投資の最終役員ピッチで金子がこの紙芝居を始めたところ、応援してくれている担当投資家からその場でストップがかかったことを私は一生忘れないと思います。
2つのリード投資オファー
ありがたいことに、2社からリード投資のオファーをいただきました。
市況が良くなかったので、最大限譲歩する場合の条件の下限ラインはもちろん設定していたのですが、それを大幅に上回る形で最初にオファーをくださったVCには本当に感謝してもしきれません。
ちなみにこれより少し前に、既存株主にVCのバリュエーションの目線や価格の付け方を徹底的に教えてもらったのが非常に良かったです。我々の専門領域の転職市場でもそうなのですが、相場を大きく離れた強気すぎる交渉(例えば相場は年収500万円なのに1,000万円欲しい、等)は、相手にネガティブな印象を与えるリスクがあると考えていたので、「何もわかっていないとは思われないが、安すぎもしない金額」を基準として持てたのは、その後非常に良い武器になりました。
最終局面の条件交渉でモニョモニョするのは最も避けたかったので、この局面でCFO代わりに親身に相談に乗ってくれた既存株主には特に感謝しております。
覇気&スパコン?!のリード投資家
いただいたオファーの経済条件はもちろん細かく検討したうえで、最終的には我々を偉大な会社に大きく引き上げていただけそうかという目線を最も重視させていただきました。
結果、グロービス本体からのBS投資のオファーを同時にいただけて強い事業シナジーがあったことも魅力に感じ、GCPの「覇気 今野さん」、そして非常に賢くて人としての引力が強い「スパコン 中安さん(と今野さんがいじっていたのですが、これはまさにで。すでに中安さんなしでは無理です)」のお二人にリードをお願いすることにさせていただきました。
今野さんは、豊富な上場経験をお持ちですし、業界の大先輩で尊敬しているVISIONALさんにも投資をされていたご経験もあるため、業界知識や今後弊社で想定すべきリスク、他社事例の引き出し量も尋常でなく、早速経営会議に入ってもらったところ、さらに未来の解像度高く経営の意思決定ができるようになりました。
日本のモメンタムを上げる偉大な会社に、また一歩近づきました。
調達リリースは、社員全員でのBU☆CHI☆A☆GE
今回の調達リリースではいろんな方に「社員全員での盛り上げがすごい!」とコメントをいただきました(一部、X引用させていただきました。ありがとうございます)。
やろうと思えば誰でもできるものの、実際にはやりきるのが簡単ではない今回のリリース拡散の裏側をあるがままに共有させていただくと、まず調達リリースを出す日時を決めたタイミングで盛り上げ作業用に全社員のカレンダーをブロックします。
弊社は、毎週月曜日に”All hands”という全社員で集まり気合を入れる短い朝会をやるのですが、この日はmomentum局(社内のモメンタムを上げることをミッションとする各部署のモメンタムエースが集まる部門)が音頭を取り、70人弱の全社員で円陣を組みました。
そしてプレスリリースの時間には全員でカウントダウン。クラッカーなどで大盛り上がりの中、公開のタイミングを迎えました。
そしてそこからはカレンダーでブロックしていた通り、メンバー全員で各種SNSに貼りつき、いいね&拡散タイムです。もちろん、職種にも例外はなくコーポレートでもエンジニアでも営業でも社長でも全員でやります。
このイベントを弊社ではずっと”BU☆CHI☆A☆GE(ぶちあげ)”と呼んでます。☆を挟んだ正式表記でないとアプリエンジニアがパトロールに来るところまで、弊社では鉄板の文化として定着しています。
こういうときに垣根なく全員でやれるかどうか、何を普通とするかがカルチャーの礎になり、組織力というMOATになると信じているので、ここについてはかなり強い意思を持ってやっています。
「調達リリースでなんでそこまでやるの?」と思われるかもしれませんが、スケジュールを立てたときに言及した通り、弊社は調達リリース自体や盛り上がっているという事実がプロダクトの各種KPIを伸ばして中長期の事業のベースアップにつながるので、全力でやりきります。
Special THANKS
振り返りはいろいろあるのですが、何よりもこの市況で調達ができるくらい前向きに事業を伸ばしてくれていた弊社の全メンバーには非常に感謝しています。
資金調達は、前述の通りバトンリレーだなと感じているのですが、我々はシードではないのでその前に事業が伸びていることが前提になります。最高の状態でパスしてくれたみんなには非常に感謝しています。
最後に。「弊社のメンバーになりませんか?」
そんなカルチャーの強い会社なので、正直全ての人にとって良い会社というわけではありません。 でも、
「熱いメンバーたちとチームで熱狂したい」
「日本や社会に良い影響を与える事業を真面目にやりたい」
「毎日本気で仕事をやりきって美味しいお酒が飲みたい」
みたいな方にはこんなに良いチームはないと胸を張って言えます。
少しでも興味持っていただける方は是非、下記のイベントやカジュアル面談にご参加ください。
資金調達の裏側やYOUTRUSTの未来についてトークイベント
本イベントを皮切りに、各職種ごとのMeetupを連続開催します。 ご興味のある職種、領域にぜひご参加ください。
全職種採用していますが、特に注力しているポジションを。
アプリエンジニア
Webエンジニア
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プロダクトマネージャー
CFO候補
全募集ポジションはこちら↓
会社紹介スライドも是非ご覧ください。
以上です。最後まで読んでくださってありがとうございました。
よければ是非、日本のモメンタムを上げる 偉大な会社を一緒に創りましょう。
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