島ひるごはん vol.3「ちょきちょき・てくてくお遍路で島一周」
小豆島は88ヶ所巡礼(お遍路)の島です。
島内で、白衣(はくえ)、菅笠(すげがさ)、金剛杖(こんごうつえ)で歩く”お遍路さん”を見かけることも珍しくありません。
ですが、小豆島と聞いて”お遍路”を連想する方はあまり多くはないのではないでしょうか。小豆島と航路で繋がる兵庫出身の私も、お遍路といえば四国で、小豆島のお遍路については移住を具体的に考えるまで恥ずかしながら知りませんでした。
移住して半年、お遍路体験行事等でこれまで私が参拝した札所は30余り。
無宗教の私ですが、信仰以外にも盛り沢山の要素を持つ小豆島お遍路はとても興味深く、88ヶ所霊場全て徒歩で参拝してみたいと思っています。
小豆島を訪れる人へのオススメには必ず挙げたい項目です。
しかし、お遍路道は今は日常的には使われない山道を多く含み、草木で荒れた場所も多いのが現実。
そこを「仕方ない」と放置するのではなく、楽しみながら出来る範囲でお遍路道を守っていこうとする取組み「チョキチョキ遍路」を8番札所・常光寺の副住職・大林慈空さんが主宰されています。→慈空さん主宰の歩き遍路情報はこちらから
慈空さん案内のもと、参加者が各札所でおつとめを行いながら、お遍路さんの行く手を遮る草木をチョキチョキと剪定バサミなどで刈り取っていくイベントです。
では、そろそろ今回の「島びと」のご紹介。
チョキチョキ遍路の常連メンバーでもある弘美さんです。
いつも華やかなオーラを放ち人目を引く弘美さんは、最近髪色を「オーシャンブルー」に染め、その華やかさはますますバージョンアップ!(この色がこれほど似合う人を私は他に会ったことがありません!)
さらに、まだ海外旅行が一般的とはいえなかった頃に国際線CAとして世界を股に掛けて活躍していた弘美さん。世界中での面白いエピソードを持つ彼女の話にはいつも惹き込まれてしまいます。
そんな弘美さんの現在の活動も実に多彩。親子やキッズ対象の遊びを通じて英語に触れ合う教室「スマイルキッズ」を立ち上げ代表を務められるほか、小豆島ボランティアガイドや霊場会運営のお手伝いもされるなど、日々島内を所狭しと活躍されています。
さて、「チョキチョキ遍路」に話を戻します。
四国の梅雨明けが大幅に遅れ、空模様が心配される7月半ばに今年4回目の「チョキチョキ遍路」が開催されました。幸い夏に長距離を歩く環境としては、これ以上望めないほどの“好天“=曇天の中、前回のゴール・宝生院に参加者は朝8時半に集合。
(「チョキチョキ遍路」は毎回、前回のゴールからスタートし1年で島内の88ヶ所霊場を全て巡るように企画されています。)
この日の行程は、
(54)宝生院〜(55)観音堂〜(56)行者堂〜(58)西光寺〜(58奥)誓願の塔〜(59)甘露庵〜(60)江洞窟〜(61)浄土庵〜(62)大乗殿〜(63)蓮華庵〜(外)霊場会総本院
メンバー構成は、弘美さんとお仲間などレギュラー組に加え、学生姉妹、大阪からの参加者、スペインからの移住者など19名。
多様で圧倒的に女性が多め。賑やかになりそうな予感です!
チョキチョキ。
テクテク。
ニョキニョキ。
ジョキジョキ。
テクテク。
ちょきちょき?
読経。
常連の皆さんはスラスラ。私はキョロキョロ。
午前中に6札所を参拝。
道中は草木やゴミを片付けながら歩き、疲労も溜まって皆無口になってきた頃、ようやくお昼休憩をさせて頂く予定の60番札所の江洞窟が見えてきました。
小豆島にいくつかあるパワースポットの一つとされる江洞窟。半地下のひんやりとした洞窟内にある御堂で午前の部、最後のおつとめを行います。
そして待ちに待ったお昼ごはん!
慈空さんの奥様が全員分のお弁当を用意して下さっていました。
この日は本格的なハンバーガー店「セインツ ブレックファスト アンド バーガーズ」のハンバーグ弁当。オーストラリアからの移住カップルが経営されていて100%オージービーフに拘ったメニューが人気です。
疲れた身体に肉汁溢れるハンバーグが染み渡り、みんなの顔にも笑顔が戻りました。
充分エネルギーチャージを終え、再び出発です。
海を横目にてくてく。
トンネルを抜けたら。
雲が晴れ、日差しが強くなりました。
冷たい飲み物を求め、自販機に引き寄せられます。
蓮池にしばし癒され。
あとひと踏ん張り!
ハイキングで人気の皇踏山を望み。
この日最後の63番札所蓮華庵でおつとめ。
成果を讃え合います。
札所ではありませんが、本日のゴール・小豆島霊場総本院に到着。
こちらでもおつとめを行い、午後5時頃、この日の行程はすべて終了です。
お疲れ様でした!
この日歩いた距離は17㎞!
疲れきって座り込む人もまだまだ元気な人も、話題は揃って次のチョキチョキ遍路について。次も皆さんやる気満々です。
最後に、58番札所西光寺から頂いた「おせったい」と呼ばれる差し入れが配られ、皆で有難く頂きました。
海に囲まれ、陸は山がちで起伏に富んだ小豆島は修行の島でもあったそうです。
島内に点在する88箇所霊場を徒歩で巡る全行程は約150㎞(ちなみに四国の場合は1,200㎞程)。
他の巡礼地と比べ、いにしえからお遍路さんが通ってきたままの未舗装路の多い小豆島お遍路は、決して楽とは言えない分、昔歩いた人びとと同じ感覚を体感出来るとても貴重で贅沢な体験と言えるのではないでしょうか。
お遍路を最低限のマナーを守りながら行うことは、この文化を守ろうと尽力される地域の方々に敬意を示すことにもなり、地元の人びととの交流も広がりやすくなります。
ぜひ、多くの方に小豆島を全身で感じられる「小豆島お遍路」を経験して頂きたいです。
皆さんが来島されてお遍路をされる頃の弘美さんの髪色は分かりませんが、もし皆さんが運よく見かけて声をかければ、最高の笑顔で応えてくれることは間違いありません!
※(感染症対策について)集合写真撮影時のみ全員マスクを外しています。また、食事中は黙食を行い、屋外での徒歩(運動)により息苦しくなった場合は、人との距離を考慮した上でマスクを外しています。
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